友よ、静かに瞑れ

劇場公開日:

解説

罠にはまって留置所に入れられた友人を救出すべく行動する男を描いたハードボイルド映画。原作は北方謙三の同名小説、脚本は「ユー・ガッタ・チャンス」の丸山昇一、監督は「いつか誰かが殺される」の崔洋一、撮影は「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」の浜田毅がそれぞれ担当。

1985年製作/103分/日本
配給:東映セントラルフィルム
劇場公開日:1985年6月15日

ストーリー

沖縄の小さな港町・多満里。一人の男がホテル“フリーイン”に車を止めた。40歳前後の一見うらぶれた感じのする男・新藤。彼は旧友・坂口がこの町の再開発を企てている下山建設の社長に刃物で襲いかかって逮捕された、という新聞記事を読んで、はるばるやって来たのだった。フリーインはその坂口が経営するホテルで、彼は下山建設の大規模な買収に応じず、執拗ないやがらせや脅迫にも屈しなかった。その坂口を逮捕したのは下山建設と癒着している徳田刑事だ。新藤は坂口の一人息子・竜太と連れだって、坂口にレモンを差し入れた。フリーインは、フロント係・小宮が坂口の留守をあずかり、それに町のクラブ“KENDO”を経営する坂口の愛人・志摩とそこで働く時枝、静子、留美、冴子が住みついていた。新藤は事件の真相を探るべく単独で動きだした。まず下山建設の開発部長・高畠にジャブを入れる。しかし、ボクサーくずれの高畠は動じる様子もない。次に徳田刑事。小心な徳田は下山建設との癒着を指摘されると、動揺しながらも権力をカサに着て逆に新藤や志摩たちを脅す。事件の真相が分かった。下山の部下たちに拉致された竜太を救出しようと坂口が単身、乗り込んだのだった。竜太が事情を警察に言いさえすれば、坂口は釈放されるのだが、竜太は報復が恐くて言い出せないのだ。夜。寝ていた新藤は突然、下山建設のチンピラ・石井に拳銃をつきつけられ、外に連れ出された。その危機を救ったのは意外にも高畠だ。彼は男として、坂口や新藤の心情が理解できるが、立場上、二人と対立しなければならないことに、忸怩たる思いを抱いていた。新藤が必死になって坂口を釈放させようとするのには理由があった。船医の新藤は坂口の命が肺ガンであと数ヵ月だと知っていたのだ。坂口が動けるうちに、今一番したいことをやらせたい--。新藤は徳田と下山建設との癒着の証拠を徳田につきつけて坂口を釈放しようとする。深夜、新藤は下山建設の事務所に行く。高畠が新藤を待ち構えていた。凄絶な死闘の末、新藤は証拠書類を手にした。坂口が釈放された。新藤、竜太が坂口を迎え、その様子を下山をはじめ下山建設の社員たちが見守る。坂口は無言で下山に接近し、突然、ポケットに手を入れた。恐怖におののいた下山は、いきなり拳銃を発射した。崩れ落ちる坂口の手からレモンがころがり落ちた。新藤は目をそむけようとする竜太に、父親の死に様の一部始終を見せつけた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第9回 日本アカデミー賞(1986年)

受賞

主演女優賞 倍賞美津子

ノミネート

音楽賞 梅林茂
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映画レビュー

4.5再視聴にも耐えられる和製ハードボイルド。崔監督の忘れがたき作品

2022年12月12日
PCから投稿

初視聴の時、予想外の感興が得られ、印象に強く残っていた作品。
今回の再視聴ではじっくり演出の意図などにも思い巡らせ、監督訃報の後だけにより深く感慨を新たにした。

北方謙三原作では山梨が舞台らしいが、それを沖縄としたことで舞台効果が鮮明となり、気怠い空気感も相俟って得も言われぬ心境にさせられた。

また何年か後に見てみたい。

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resuwisshu311

5.0繰り返し観た作品

2013年6月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、DVD/BD、TV地上波

泣ける

悲しい

興奮

俺が、北方謙三を初めて知ったのは、この映画の予告編だった。
その時から劇場で公開されるまでに、この作家の小説は20冊以上読んでいた、と俺は思う。つまり北方ワールドにドップリ浸かった状態で、劇場に足を運んだのだ。
最初の印象は、かなりガッカリな感じだった。
理由は明確で、ポスターに撮影された藤竜也で造られていた主人公イメージと比べるとスクリーンに映された藤竜也の主人公は、終始ボロボロな感じがしたからだ、と俺は思う。
しかしその後、北方謙三の作品を読む度にスクリーンのイメージの方が強くなって来て、もう一度観たい!て思った時にはロードショーは終わっていて、途方にくれた覚えがある。
その直後くらいに、レンタルビデオができて、松田優作の映画なんかと一緒にしょっちゅう借りていた。当時付き合っていた女がディズニー映画中心に借りて来るので、いつもどれを先に観るかで喧嘩になったっけ。
話が横道に逸れたが、この作品のすごいところは、原作の世界観をスクリーンで表現するためにステージをまるっきり変えて、キャスティングを完璧にして、後は藤竜也をどれだけかっこ良く撮影するか、だけで出来ている単純さだ。小説の再現、に集中してメッセージ性とかは全て原作に任せる。原作が良いとこれだけで済むって事の見本だな。
ラストとかで、今ではちょっと小っ恥ずかしい表現もあるけれども、やっぱり良い映画だ、と俺は思う。

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ジャッカル