潮騒(1964)

劇場公開日:

解説

三島由紀夫の同名小説を「浅草の灯 踊子物語」の棚田吾郎と「真白き富士の嶺(1963)」の須藤勝人が共同で脚色「こんにちわ20才」の森永健次郎が監督した文芸もの撮影もコンビの松橋梅夫。

1964年製作/81分/日本
原題または英題:The Sound of Waves
配給:日活
劇場公開日:1964年4月29日

ストーリー

歌島は伊勢海に面する周囲一里にもみたない小島である。そこでは、男達は漁に出、女達は海女となって貝をとった。漁師の息子新治は、今日も太平丸に乗って浜に帰ってきた。そこで新治は舟を引きあげようとする船主照吉の娘初江に会い、手をかして舟を引きあげてやった。新治は浜にあがると、山の手にある灯台長のところに魚を届けにいった。しかしそこで新治は、もらったばかりの給料を浜で落したことに気づき、あわてて引きかえした。浜には、そんな新治を、笑いながらも、給料袋をひろって家に届けてくれた初江がまっていた。家に帰っても新治は、初江の美しい瞳が忘れられなくなっていた。そんな新治の様子を察した母トミは、初江が高嶺の花であることを言いきかせた。だが新治は、初江のことを想いぼんやりする日が多くなった。そんなおり、弟の十吉から、初江の婿になるのは、東京の大学を出て島に帰って来た安夫だという噂を聞いた。ある日新治は林の中の“観的哨跡”でマムシにかまれた初江を助けてやり、漁の休みの日に再会を約した。やがて漁が休みの嵐の日に、二人は観的哨で会った。ずぶぬれになった二人は互いに着物を脱いで焚火をかこみ自然に唇が触れ合った。数日後初江は水くみにいった林の中で、安夫に襲れた。新治に好意を寄せる灯台長の娘千代子が、新治と初江の仲のいいのをみて、あることないこと安夫につげ口したのだった。噂は島中にひろがり、二人は会うことを禁じられた。しかし一人前の漁師になるために、歌島丸に乗りこんだ新治は、嵐の中を、海にとびこみ、ロープで船をつなぎとめて、船を救った。照吉も、もはや二人の仲をさこうとはしなかった。

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映画レビュー

2.5安定の二人

2024年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 浜田光夫と吉永小百合。そのコンビだけで安心できる。何度もアイドル映画としてリメイクされる典型的な作品となってますが、どこが面白いのかといつも疑問に思ってしまう。見せ場である小屋で「その火を飛び越えてこい」と、清純そうな初江が一瞬だけ大胆になる台詞だけが印象に残る映画。

 吉永小百合もまだ下手だと思うけど、新治のことを好きな千代子(松尾嘉代)がとても魅力的に映っている・・・

【2008年視聴】

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kossy

4.0あまちゃんの「潮騒のメモリー」は本作の伝説のシーンをモチーフにしています

2020年9月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

傑作です!
19歳の吉永小百合
少女の面影のままで、本作では清純でありながら、エロチックなシーンをこなします
あの伝説というべき有名な焚き火の「火を飛び越えてこい!」の名シーンです

NHKの朝ドラで超人気になった「あまちゃん」で、重要な劇中歌として歌われる「潮騒のメモリー」は本作のそのシーンをモチーフにして歌詞に取り入れています
そもそもあまちゃんでの海女も、吉永小百合の海女シーンがある、本作からの由来であると思います

伊勢志摩の離島の漁村の暮らしを現地ロケ、海上ロケにより活写しています
漁師達のタコや伊勢海老の漁の様子や、島の浜と急斜面にそっている漁村と神社の様子
どれも楽しめる光景です

ただ主人公の二人はあまりにも都会的な雰囲気を持っているため、どうしても島の人間には見えないことだけが残念なところ
それでも吉永小百合は島の女性らしく真っ黒に日焼けしています
メイクによるものだけとは思えないです

海女で母役の清川虹子、頑固爺役の石山健二郎の名脇役ぶりは素晴らしいものがありました

クライマックスの嵐のシーンに続く、大団円の清々しいカタルシスは気持ちの良い余韻が残ります

公開当時の併映は石原裕次郎と浅丘ルリ子の「夕陽の丘」
なんて豪華で強力な番組だったのでしょう!
この併映でも本作の方に軍配が上がると思います

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あき240

2.5海に生きる人々の島の生活感が希薄

2014年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

幸せ

総合50点 ( ストーリー:60点|キャスト:60点|演出:50点|ビジュアル:65点|音楽:65点 )

 私は未読だが三島由紀夫の有名な同名小説が原作で、しかし演出が下手なのか物語の流れは平凡に感じてそれほど印象に残るものではなかった。この作品にのめり込めなかったのは、この時代の島の漁師や海女といった、海に生きる人々の独特の生活や価値観といったものが作品中で上手く描かれずに希薄に思われるからだろうか。三島本人は、舞台設定の際には社会から離れた海の町を色々と調査して書いたらしいが、観ていてどうにもそのようなものが伝わってこなくて、どこにでもある若者たちの古いだけの恋愛劇の域を出ていない。吉永小百合の若いころの映画を初めてみたけれど、こちらも特に新鮮さもなく平凡だった。短い作品だけど、それでも時間が長く感じた。

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Cape God