マレーネ・ディートリッヒ

ドイツ帝国プロイセン（現ドイツ・ベルリン）で、警察中尉の父の元に生まれる。1920年代に観客としてキャバレーに通うようになり、転じて歌手に。同時期にドイツのサイレント映画にも出演を重ね、30年には渡独していた米監督ジョゼフ・フォン・スタンバーグの「嘆きの天使」でヒロインに抜てきされる。同年、愛人関係となった同監督とハリウッドに渡り「モロッコ」に主演、アカデミー女優賞にノミネートされた。以降、スター女優として「上海特急」（32）や「真珠の頚飾」（36）で活躍するが、徐々に人気が低迷。俳優や芸術家と浮名を流す一方、 30年代後半には一時ヨーロッパに戻った。39年、ナチスに抵抗して米国の市民権を取得。西部劇「砂塵」で復活を遂げ、戦時中も作品の宣伝に邁進した。戦後は主演作「情婦」（57）がアカデミー作品賞にノミネートされたほか、同賞受賞作「八十日間世界一周」（56）やナチスの罪を問う「ニュールンベルグ裁判」（61）などに出演。歌手としても成功を収めたが、アルコール依存に苦しんで足を病み、晩年はパリの自宅で寝たきりの生活を送った。92年没。