ニュールンベルグ裁判

劇場公開日:

解説

アビー・マンの原作のテレビ・ドラマを原作者自身と「渚にて」のスタンリー・クレイマーが共同脚色し、クレイマーが製作監督した異色の法廷劇。撮影は「ガン・ファイター」のアーネスト・ラズロ、音楽は「栄光への脱出」のアーネスト・ゴールドが担当。出演者はスペンサー・トレイシー、バート・ランカスター、リチャード・ウィドマーク、モンゴメリー・クリフト、マレーネ・ディートリッヒ、ジュディ・ガーランド、マクシミリアン・シェルなど。

1961年製作/アメリカ
原題:Judgment at Nuremberg
配給:ユナイテッド・アーティスツ
劇場公開日:1962年4月28日

ストーリー

アメリカの地方判事ヘイウッド(スペンサー・トレイシー)が裁判長に任命されてやって来た法廷は、ナチス首脳部の戦争裁判に次いで行われたものだけに世間の関心は多分に薄れていたが、ヘイウッドは正義に基づいた裁判を行うことを誓った。被告の1人ヤニング(バート・ランカスター)は世界的に知られた法律学者で、かつて司法大臣として第三帝国憲法の起草に加わった過去を持っていた。アメリカ側の検事ロースン(リチャード・ウィドマーク)は、これら法律学者たちがヒットラーに迎合してドイツの法律を改変し無実の大衆をテロの恐怖で虐待した責任を糾弾した。対するヤニングの教え子であるドイツ人のロルフ弁護人(マクシミリアン・シェル)は激しく反論した。もし被告たちに罪が認められるなら、全ドイツ人も同じ罪に問われなければならないと言う熱弁に弁護された被告たちは、罪状認否の問いに無罪を主張したがヤニングはなぜか沈黙を守っていた。ロースン検事は断種の犠牲者ペータースン、ユダヤ人と関係があったために悲惨な半生を過ごしてきたホフマンを証人に立てたが、ロルフ弁護人の反対尋問も鋭かった。ヤニングが発言を求め、かつてのホフマン事件はナチスの罪悪であり、自分にも責任があると述べて法廷を大きくどよめかせた。一方、ヘイウッド裁判長は、ヤニングの筆になる法律書を探して読み、彼の法律学者としての偉大さにうたれた。絞首刑になった将軍の未亡人ベルトホルト(マレーネ・ディートリッヒ)から、彼がヒットラーにしばしば苦言を呈していたことも聞いたが裁判に影響させてはならないと決意した。検事側は最後の証拠として被告たちが不法な逮捕や監禁の法令に署名した書類や大量殺人のフィルムを提出して裁判はいよいよ大詰めを迎えた。ヘイウッド裁判長は被告たちに最後の発言を求めた。だれもが無罪を主張する中にあって、ヤニングだけは自らの罪を認めた。判決は全員に有罪、終身刑だった。それは正義と法の尊厳のための厳しい宣告だった。帰米前のヘイウッドが訪ねた獄中で、ヤニングはヘイウッドの裁判長としての態度と判決を賞賛した。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第34回 アカデミー賞(1962年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 スタンリー・クレイマー
男優賞 スペンサー・トレイシー
助演男優賞 モンゴメリー・クリフト
助演女優賞 ジュディ・ガーランド
撮影賞(白黒) アーネスト・ラズロ
編集賞 Frederic Knudtson
衣装デザイン賞(白黒) ジャン・ルイ
美術賞(白黒)  

第19回 ゴールデングローブ賞(1962年)

受賞

最優秀主演男優賞(ドラマ) マクシミリアン・シェル
最優秀監督賞 スタンリー・クレイマー

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀助演男優賞 モンゴメリー・クリフト
最優秀助演女優賞 ジュディ・ガーランド
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映画レビュー

4.0ドキュメンタリー「東京裁判」と双璧の軍事裁判劇映画

2023年2月15日
スマートフォンから投稿

第二次大戦後の軍事裁判映画としては、
小林正樹監督のドキュメンタリー「東京裁判」
が有名だが、
一方、この作品は劇映画。

今回が3~4回目の鑑賞だったろうか。
しかし、前回観たこの録画版以前の鑑賞では
多分2時間程度の短縮TV放映版で、
裁判所の外のシーンはほとんどカットされて
いたような記憶がある。

また、「東京裁判」で描いたのが、
A級戦犯の裁判であるのに対し、
「ニュールンベルク裁判」の方は、
ゲーリングやヘス等の
主要戦犯相手の裁判ではない点も
設定としては大きく異なっている。

改めて観ることにしたのは、
昨年に鑑賞したクレーマー監督の
「招かれざる客」に改めての感動を覚え、
この後に「手錠のまゝの脱獄」と
「おかしなおかしなおかしな世界」を
観る予定にしているので、
この作品を先にと思った次第。

このタイミングでの鑑賞では、
どうしてもロシアによるウクライナ侵攻が
想起され、
もちろん一義的にはロシア・プーチンの責任
ではあるのだが、
侵攻を思い留ませることの出来なかったとの
意味合いでは、
この映画での弁護士の熱い語りからも、
全ての関連諸国にその責任の一端が無かった
だろうかとの思いも微かに頭をもたげた。

アカデミー主演男優賞を獲得した
マクシミリアン・シェルや、
沈黙を解いたかのような
広田弘毅的バート・ランカスター等の
名優による法廷での意味深い応酬に、
改めて戦争の罪深さを考えさせられた。

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共感した! 1件)
KENZO一級建築士事務所

4.0硬質な映画文体ながら、正義を貫く困難さを描いたアメリカ映画の良心

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

社会派監督で名高いスタンリー・クレイマー監督の代表作。第二次世界大戦のドイツの戦犯を裁く占領国アメリカの法の下の正義を題材にした法廷劇。堅苦しい軍事裁判の大作ながら、検察と弁護両方の分かり易い論説の攻防が、3時間の長尺を忘れさせ最後まで飽きさせない。名優たちの豪華キャスティングも適材適所の見せ所を持って、アメリカ映画の懐の深さを思い知らされる。興味深いのは、スペンサー・トレイシーの裁判長以外の裁判官や検察官が無罪の判決を期待している点であり、当時の占領政策に配慮した思惑があることだ。まして、被告であるバート・ランカスターの法学者は自らの罪を認めており、マクシミリアン・シェルの弁護人の雄弁かつ人道的な弁護にも否定的な姿勢を貫く。戦争の善悪に止まらず、裁判が行われる時代や国際状況の社会的損得の背景もあってのニュールンベル裁判である。どんな立場の人間でも、正義を貫くことの難しさを印象付ける作品である。

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共感した! 1件)
Gustav

4.0過剰に感じるけれどそれ故分かりやすい

2019年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

興奮

演出に過剰さや偏りを感じたけれど、それ故に難しい問題・題材が分かりやすく理解することができた。しかも長い作品ながら、素晴らしいくらいに最後まで興味を引きつけてはなさないだけの吸引力があった。戦争裁判を題材にしながらも、その中身はヒューマンドラマになっているからか容易に受け入れることが出来たような気がする。

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共感した! 0件)
SH

4.0ひと言ひと言に重みがあり耳を傾けて真剣に観ていた。戦争犯罪について...

2018年3月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ひと言ひと言に重みがあり耳を傾けて真剣に観ていた。戦争犯罪について深く考えさせられた。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
tsumumiki
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