劇場公開日 1962年4月28日

「ドキュメンタリー「東京裁判」と双璧の軍事裁判劇映画」ニュールンベルグ裁判 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ドキュメンタリー「東京裁判」と双璧の軍事裁判劇映画

2023年2月15日
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第二次大戦後の軍事裁判映画としては、
小林正樹監督のドキュメンタリー「東京裁判」
が有名だが、
一方、この作品は劇映画。

今回が3~4回目の鑑賞だったろうか。
しかし、前回観たこの録画版以前の鑑賞では
多分2時間程度の短縮TV放映版で、
裁判所の外のシーンはほとんどカットされて
いたような記憶がある。

また、「東京裁判」で描いたのが、
A級戦犯の裁判であるのに対し、
「ニュールンベルク裁判」の方は、
ゲーリングやヘス等の
主要戦犯相手の裁判ではない点も
設定としては大きく異なっている。

改めて観ることにしたのは、
昨年に鑑賞したクレーマー監督の
「招かれざる客」に改めての感動を覚え、
この後に「手錠のまゝの脱獄」と
「おかしなおかしなおかしな世界」を
観る予定にしているので、
この作品を先にと思った次第。

このタイミングでの鑑賞では、
どうしてもロシアによるウクライナ侵攻が
想起され、
もちろん一義的にはロシア・プーチンの責任
ではあるのだが、
侵攻を思い留ませることの出来なかったとの
意味合いでは、
この映画での弁護士の熱い語りからも、
全ての関連諸国にその責任の一端が無かった
だろうかとの思いも微かに頭をもたげた。

アカデミー主演男優賞を獲得した
マクシミリアン・シェルや、
沈黙を解いたかのような
広田弘毅的バート・ランカスター等の
名優による法廷での意味深い応酬に、
改めて戦争の罪深さを考えさせられた。

KENZO一級建築士事務所