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ジェームズ・ガン監督が明かす「スーパーマン」を作る意義 DCスタジオの社長業についても語る【撮影現場で直撃】

2025年3月22日 11:00

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撮影現場で直撃!
撮影現場で直撃!
(c) &TM DC(c)2025 WBEI / IMAX(R)is a registered trademark of IMAX Corporation.

スーパーマン」は、ジェームズ・ガン体制下で製作された、新生DCユニバース(DCU)の記念すべき第1弾作品となる。

スーパーマンには、「ノーマル・ピープル」で注目を集めたデビッド・コレンスウェット、ロイス・レイン役にエミー賞女優のレイチェル・ブロズナハン、そして悪役レックス・ルーサー役にニコラス・ホルトと、フレッシュなキャストを揃えている。

なにより最も注目を集めるのは、DCスタジオの共同社長として新たなDCUの舵取りを任され、本作でメガホンをとるジェームズ・ガン監督だろう。マーベル・シネマティック・ユニバースで「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」3部作を大ヒットに導いた彼が、伝説的ヒーローをいかにして現代に蘇らせるのか注目が集まる。

本サイトは、米オハイオ州クリーブランドで撮影中のガン監督を直撃。ティーザー予告編で話題をさらった注目のスーパードッグ「クリプト」誕生のきっかけから、この正統派ヒーローに挑む意義にいたるまで、たっぷりと語ってもらった。(取材・文/小西未来


――あなたが正統派のスーパーヒーローの映画を撮ることに正直驚きました。どういった経緯で引き受けることになったのですか?

もともとスーパーマンは大好きだし、DCコミック全般をずっと愛してきた。でも、数年前に「スーパーマン」の脚本を書く機会がめぐってきたとき、「うわっ、どうやって書けばいいんだ?」と思った。ご存じのとおり、いつも変わり者やアウトサイダー、普通じゃないキャラクターを書くことで知られてる。でも、スーパーマンは最も普遍的なスーパーヒーローだ。どうやってアプローチすればいいかわからなかった。

だからいったん「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」(2021)をやることにした。でもそのあいだもずっと考え続けていた。どうやったら上手くこなせるか、と。そして、あるとき気がついた。スーパーマンは究極のアウトサイダーである、と。彼は善良な人物なのに、世界はそうじゃない。どんなに世界が分断されても、芯がぶれることはない。そんなスーパーマンは、いまの世界でどうやって生きていくのか? このアイデアが突破口となったんだ。

画像2(c) &TM DC(c)2025 WBEI / IMAX(R)is a registered trademark of IMAX Corporation.
――この映画には複数のスーパーヒーローやモンスターが登場します。すべてをまとめるのは大変だったのではないでしょうか?

いや、実はすごく簡単だった。すべてがスーパーマンとロイス(・レイン)、そしてレックス(・ルーサー)を中心に回っているからね。すべてのイベント、すべてのキャラクターが、この3人を軸にしている。この三角関係に関係のないキャラクターは誰もいない。まあ、厳密に言うと三角形じゃないな。スーパーマンとロイスは基本的に同じ側にいるから。でも、彼らを中心にすべてが回っている。クリプトからミスター・テリフィック、ホークガールまで、全員がスーパーマンとロイス、レックスの一面を見せるために存在しているんだ。

――怪獣が登場するのもあなたらしいですね。

怪獣のシーンには明確な目的があるんだ。スーパーマンがどんな人物なのかを紹介するためにある。彼は人々を救うことに執着していて、犬やリスまで救う。最初から頭のなかにあったアイデアで、とても楽しいシーンだよ。撮影は地獄のように大変だったけど(笑)。

――クリプトというスーパードッグを登場させることにした理由は?

いまから2年前に犬を引き取ったんだ。名前はオズ、日本の映画監督(小津安二郎)から取ったんだけど。裏庭で60匹を保護している女性から譲り受けたもので、1歳くらいだった。人間を知らずに育ったせいで、世界一手のかかる犬なんだ。

今日(現場にも連れてきていた)は愛想がいいけれど、最初は人間をまったく信用しない。逃げ回って、隠れて、誰に対しても攻撃的だった。僕が台所で電話しながら歩いていると、素足を噛んでくる。噛むのを止めないから、(ワーナー・ブラザース・ディスカバリーCEOの)デイビッド・ザスラフと電話するときは、カウンターの上に座らなきゃいけなかった。すると、カウンターまで飛び上がってきて、さらに足を噛もうとする。

そんなオズと付き合っているうちに、「もし世界一手のかかる犬に超能力があったら、どんなひどいことになるだろう」って考えた。そこから、クリプトが誕生した。性格は100%、僕の犬がモデルになっているよ。

――DCスタジオによる新ユニバースの第1弾として、どのくらい脚本を調整する必要がありましたか?

未来の計画のために現在を犠牲にするようなことは一切していない。目の前のストーリーが常に最も重要だ。このユニバースで今後何が起こるかという基本的な計画はあるけど、思い通りに行かなければ変更する。映画やテレビドラマでも、サプライズがあったしね。

たとえば「スーパーガール」が2作目になるとは必ずしも思っていなかった。でもアナ(・ノゲイラ)が素晴らしい脚本を書いて、すごい監督(クレイグ・ギレスピー)も見つかったから、ゴーサインを出した。最高だったからね。準備していた他の映画の脚本は、うまくいかなかった。だから、そういう流れに従っていく。どのプロジェクトでも、まず良質であることが重要で、それは大きな全体的なストーリーを語ることよりも大切なんだ。

――DCUは、MCUよりもずっと柔軟な姿勢でいく、と。

大きなストーリーはあるけれど、他の作品を観なくてもついていけるようにしている。たとえば、いまは「ピースメーカー」のシーズン2を撮影中だけど、視聴者には前のシーズンで何かが起きたか知っておいてもらう必要がある。それで、フラッシュバックとして過去を説明している。全作品を見なければついていけないMCUとはここが違う。

もっとも自分が手がけた「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は違うけどね。あれは独立した作品として、楽しめることを目指した。たとえば「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3」では、クリス・プラットがエレベーターのなかで「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」と「アベンジャーズ エンドゲーム」のストーリーを話しているし。

――たしかに(笑)。

だから、他の作品を観なくても楽しめる。同時に、「スター・ウォーズ」や「ゲーム・オブ・スローンズ」のように、同じユニバース内で異なるストーリーを語る作品からもインスピレーションを受けている。すべての作品がひとつの大きな物語を語るために存在しているわけじゃないんだ。

それに、MCUは基本的に現代世界を舞台にしている。ニューヨークがあって、実在のものが登場して、そこにスーパーヒーローが存在する、という設定。でもDCUは現代世界とは違う舞台なんだ。少し違って、少しずれている。ニューヨークのかわりにゴッサム・シティがあり、シアトルのかわりにメトロポリスがある。架空の世界であり、その設定には徹底的にこだわっている。

画像3(c) &TM DC(c)2025 WBEI / IMAX(R)is a registered trademark of IMAX Corporation.
――いまは監督だけでなく、DCスタジオの共同社長も務めていますが、いかがですか?

とても忙しいよ。かなりの時間、惨めな気分を味わうけど、やってることには充実感がある。ありがたいことに、ピーター(・サフラン共同社長)が多くの弾を受け止めてくれていて、長い会議もたくさんこなしてくれている。新しい才能との面会や財務関係も彼が担当している。

僕は基本的にクリエイティブな部分に集中している。それはすごく楽しくて、やりがいがある。いまこの瞬間もグレッグ・モットーラ監督(「スーパーバッド」)が「ピースメーカー」を演出し、デイモン・リンデロフ(「LOST」)が「ランタンズ(原題)」の脚本を執筆し、個人的にとても重要だったトム・キングのコミックの映像化など、尊敬してきたクリエイターたちと仕事をこなせている。彼らにこちらの意見を押しつけるのではなく、むしろ解放し、彼らのボイスを表現できるようにすることを心がけている。それぞれのアーティストの個性を表現しながら、より大きな世界を一緒に作っているんだ。

――昔、トロマピクチャーズで働いていた若き日のあなたに、30年後に「スーパーマン」を監督することになると未来から来た誰かに告げられたら、どんな反応をしたと思いますか?

そんなに驚かなかったと思うな。

――本当ですか?

うん。正直に言うとね。だって、こういう映画を昔から作りたかったんだ。映画界に足を踏み入れて、自分に何ができるか分かってきた時から、僕はずっと大作を作りたかった。小規模なインディーズ映画を作るためにこの業界に入ったわけじゃない。

バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ゴッドファーザー」のように、世界中の人々に届き、人々を結びつける素晴らしい映画を作りたかった。そしてスーパーマンは、その究極のキャラクターだと思う。人々を結びつけ、政治的な違いや文化的な違いなど、あらゆる違いを脇に置かせる。こんなに分断された世界で、そうじゃないキャラクターを描くことはとても価値があることだと信じている。

スーパーマン」は、7月11日に日米同時公開。

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