伝説的特集上映「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ」6月24日から再び開催!「ラヴ・ストリームス」は2Kレストア素材をDCP化
2023年4月19日 15:00
現代映画に多大なる影響を与え続ける孤高の映画作家ジョン・カサベテスの特集上映「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ リプリーズ」が、6月24日から開催されることが決定。あわせて、ポスタービジュアルが披露された。
「インディペンデント映画の父」と称され、ジャン=リュック・ゴダールやマーティン・スコセッシ、ビム・ベンダース、ジム・ジャームッシュといった世界の巨匠たちから敬愛された唯一無二の映画監督カサベテス。ハリウッドの商業主義に対抗し、公私ともに最良のパートナーである女優ジーナ・ローランズや信頼できる仲間たちと「自分の撮りたいものを撮る」という信念のもと、自身の俳優活動で得た収入を注ぎ込んで映画を製作し、インディペンテント映画の可能性を知らしめた。
カサベテス監督は、現在目覚ましい活躍をする世界中の気鋭の映画作家たちにも絶大なる影響を与えている。「バービー」のグレタ・ガーウィグや、「わたしは最悪。」のヨアキム・トリアー、カンヌ国際映画祭でパルム・ドール2作連続受賞を果たしたリューベン・オストルンド、「aftersun アフターサン」の日本公開が控える新星シャーロット・ウェルズなどが賛辞を送っている。
今回の特集では、1989年に59歳で逝去したカサベテスが残した監督作品11本の中から「アメリカの影」(59)、「フェイシズ」(68)、「こわれゆく女」(74)、「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」(76)、「オープニング・ナイト」(77)、「ラヴ・ストリームス」(84)といった代表作6本を上映。「ラヴ・ストリームス」に関しては 2Kレストア素材を今回のためにDCP化し、初めて劇場で公開する。
今回のレトロスペクティヴは上映権の再取得が叶ったことで実現したが、一方で、撮影監督、プロデューサーとしてカサベテスと併走したアル・ルーバンが2022年に亡くなったことから、その追悼とも言えるタイミングでの開催となる。12年に開催され、映画ファンを熱狂させた特集「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ」に、ルーバンはこのようなコメントを寄せていた。
「日本の皆様、ジョン・カサヴェテス作品にようこそ。ジョンの作品はアメリカの中流社会の生活を、ユニークな視点で捉えながら、緊張感と時にはユーモアを交え、そして何より誠実に描いています。アメリカのメジャー作品とは違い、強い注意力が必要なので覚悟してください。自ら脚本を執筆し、自ら創り上げた世界の中で、彼が作り出した人たちの困難な挑戦を描くジョン・カサヴェテスは、私が知る限り、最も創造力に溢れたクリエイターです」
ポスタービジュアルは、ベネチア国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した「フェイシズ」よりジーナ・ローランズの写真を大きく使用。ビンテージ感が漂うキーアートには、ルーバンへ追悼の意を込めて「in memory of Al Ruban」の文字も添えられている。
「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ リプリーズ」は、6月24日から7月21日まで渋谷のシアター・イメージフォーラムにて開催、順次全国の劇場でも開催される。オリジナルB3ポスター付前売券(3回券)が、4月29日より、シアター・イメージフォーラムで発売開始予定。上映作品の詳細は、以下の通り。
マンハッタンに暮らす若者たちのありのままの姿を描いた、カサベテスのデビュー作にして、後の映像作家たちに大きな影響を与えたインディペンデント映画の金字塔。シナリオなしの即興演出で、俳優たちの揺れ動く感情を見事に捉え、映画の新たな方向性を確立した。大のジャズ好きだったカサベテスが依頼したチャールズ・ミンガスの即興演奏もスタイリッシュで魅力的。
関係の破綻した中流アメリカ人夫婦の36時間を描く。男女の愛の葛藤を描いたカサベテス一連の作品の原点。自宅を抵当に入れて撮影した監督第2作。アカデミー賞3部門(脚本賞、助演男優賞、助演女優賞)にノミネートという成果を挙げ、ハリウッドにその存在を認知させた革命的傑作。ベネチア国際映画祭最優秀主演男優賞、最優秀監督賞。
精神のバランスを崩した妻と、土木工事の現場監督を務める夫。壊れかけそうな家庭を繋ぎとめようとする夫婦愛を描いたカサベテスの代表作の一つ。脚本はジーナ・ローランズ主演の戯曲として執筆。ゴールデングローブ賞最優秀女優賞(ドラマ)受賞。アカデミー賞主演女優賞、監督賞ノミネート。
暗黒街のマフィア、ストリッパー、ナイトクラブ、犯罪。フィルム・ノワール的なテーマを持つカサベテス作品の中でも特異な1本。カサベテス映画の要の役者であり、公私ともに盟友のベン・ギャザラが、巨額の借金を背負いこみ事件に巻き込まれていく場末のクラブのオーナー、コズモを見事に演じ、圧倒的な存在感を示す。
一人の有名舞台女優を通して、人が“老い”を自覚し始めた時に感じる焦燥や不安を描いた作品。ベルリン国際映画祭で主演女優賞を受賞したジーナ・ローランズの演技は必見。カサベテス作品の中で本作が唯一「夫婦役」として共演している。
他人を愛することに不器用ながらも、愛や孤独をテーマにした小説を書く弟と、その深い愛ゆえに狂気に陥っていく姉の内面の荒廃を描く。「愛、孤独、家族」を主題にしたカサベテス映画の集大成ともいうべき傑作。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。
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