【第95回アカデミー賞直前】あの「タイタニック」も! ディズニープラスで味わう歴代の作品賞受賞作
2023年3月9日 13:00
世界最高峰の映画の祭典である第95回アカデミー賞授賞式がいよいよ、3月12日(日本時間13日)に開催されます。前回は濱口竜介監督作「ドライブ・マイ・カー」が日本映画として初めて作品賞にノミネートされ、国際長編映画賞を受賞。授賞式では、ウィル・スミスがプレゼンターのクリス・ロックを平手打ちする事件が起こるなど、良くも悪くも記憶に残る式典となりましたが、今年はどんなドラマが待ち受けているのでしょうか?
そんな映画ファン注目の最重要イベントを前に、ぜひチェックしてほしいのが、過去に作品賞を受賞した傑作の数々。ディズニープラスで配信されている歴代受賞作のなかから4本をピックアップし、ご紹介します。
1912年4月10日、イギリスの豪華客船タイタニック号が、米ニューヨークに向けて処女航海に出発する。出港直前に乗船券を手にした画家志望の青年ジャック(レオナルド・ディカプリオ)は、新天地アメリカを夢見てタイタニック号に乗船。そこで上流階級の令嬢ローズ(ケイト・ウィンスレット)と出会う。身分違いの恋に落ち、強い絆で結ばれていくふたりだったが、出発から4日目の深夜、タイタニック号は巨大な氷河に激突する。
1997年に製作され、当時としては破格の2億ドルという巨額の製作費が投じられた超大作。若きスター俳優が織りなす、美しくも切ないラブストーリーが世界中を涙させ、当時の全世界興行収入1位を記録した(現在は歴代4位)。第70回アカデミー賞では作品賞をはじめ、監督賞(ジェームズ・キャメロン監督)、撮影賞、美術賞、主題歌賞、音楽賞、衣裳デザイン賞、視覚効果賞、音響効果賞、音響賞、編集賞の史上最多タイ11部門で受賞した。
かつてヒーロー映画「バードマン」で世界的な人気を博すも、現在はキャリアのどん底を迷走する俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、再起をかけてブロードウェイの舞台に挑むことに。自ら脚色、演出、主演を務める一世一代の大舞台だったが、大けがで降板した出演者の代役として、実力派俳優マイク・シャイナー(エドワード・ノートン)が起用される。彼の才能に脅かされたリーガンは、次第に精神的に追い詰められていく。
ヒーロー役で一世を風びした元人気俳優を、「バットマン」の主演だったキートンが演じるキャスティングも話題を集めた。虚実が交差する人間ドラマを、ダークファンタジーに仕立て、高い評価を獲得した。第87回アカデミー賞では、「グランド・ブダペスト・ホテル」とともに同年最多となる計9部門にノミネートされ、作品賞、監督賞(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)、脚本賞、撮影賞の4部門を受賞。イニャリトゥ監督は翌年も「レヴェナント 蘇えりし者」で監督賞に輝いた。2年連続の監督賞受賞は、史上3人目となる。
物語の舞台は62年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザ(サリー・ホーキンス)は、研究所内に密かに運び込まれた“不思議な生き物”(ダグ・ジョーンズ)を目撃する。すっかり心を奪われたイライザは、人目を避けながら“彼”と交流を重ね、次第に心を通わせるように。そんな矢先、“彼”が実験の犠牲になることを知り、アパートの隣人や職場の同僚らの協力を得ながら、救出作戦を実行に移そうとするが……。
「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ監督が、自身の大ヒット映画「パシフィック・リム」の続編を蹴ってまで、製作に力を注いだ幻想的なラブストーリー。オリジナル脚本も手がけた本作は、“水の中の「美女と野獣」”と評され、第74回ベネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞。第90回アカデミー賞では、同年最多となる計13部門にノミネートされ、作品賞、監督賞(デル・トロ監督)、美術賞、音楽賞の4部門に輝いた。
企業の破綻とともに、長年住み慣れた米ネバタの住居も失ったファーン(フランシス・マクドーマンド)は、キャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込んで、“現代のノマド(遊牧民)”として、季節労働の現場を渡り歩く。
ジェシカ・ブルーダーのノンフィクションを、新鋭のクロエ・ジャオ監督が映画化。ノマドたちとの心の交流を通し、誇りを持った自由な放浪を続ける主人公の生き様を、大自然の映像美とともに描いた。コロナ禍のなか、ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅のふたつの会場で開催された第93回アカデミー賞では、計6部門にノミネート。作品賞、監督賞(ジャオ監督)、主演女優賞(マクドーマンド)の3部門を受賞した。女性監督の作品が作品賞と監督賞に輝くのは、キャスリン・ビグロー監督の「ハート・ロッカー」以来、2度目の快挙。マクドーマンドは「ファーゴ」(第69回)、「スリー・ビルボード」(第90回)に続き、3度目の主演女優賞を獲得した。
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ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
ハングルを作り出したことで知られる世宗大王と、彼に仕えた科学者チョン・ヨンシルの身分を超えた熱い絆を描いた韓国の歴史ロマン。「ベルリンファイル」のハン・ソッキュが世宗大王、「悪いやつら」のチェ・ミンシクがチャン・ヨンシルを演じ、2人にとっては「シュリ」以来20年ぶりの共演作となった。朝鮮王朝が明国の影響下にあった時代。第4代王・世宗は、奴婢の身分ながら科学者として才能にあふれたチャン・ヨンシルを武官に任命し、ヨンシルは、豊富な科学知識と高い技術力で水時計や天体観測機器を次々と発明し、庶民の生活に大いに貢献する。また、朝鮮の自立を成し遂げたい世宗は、朝鮮独自の文字であるハングルを作ろうと考えていた。2人は身分の差を超え、特別な絆を結んでいくが、朝鮮の独立を許さない明からの攻撃を恐れた臣下たちは、秘密裏に2人を引き離そうとする。監督は「四月の雪」「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」のホ・ジノ。