「はい、泳げません」渡辺謙作監督の生涯ベスト映画、最近感銘を受けた作品は?【あの人が見た名作・傑作】
2022年6月10日 20:00

映画を見に行こうと思い立ったとき、動画配信サービスで作品を鑑賞しようとしたとき、何を見れば良いのか分からなかったり、選択肢が多すぎて迷ってしまうことは誰にでもあるはずです。
映画.comでは、新企画「あの人が見た名作・傑作」をスタートさせます。映画業界、ドラマ業界で活躍する著名人がおすすめする名作、傑作をご紹介していきます。第3回は、最新作「はい、泳げません」が公開されたばかりの渡辺謙作監督です。
(C)2022「はい、泳げません」製作委員会脚本家、俳優としての顔も持つ渡辺監督は、1990年に荒戸源次郎事務所に入り、「夢二」(91)で助監督を務めて以降、鈴木清順監督に師事。98年に「プープーの物語」で脚本家、映画監督としてデビューを果たすと、2000年代は「ラブドガン」「となり町戦争」「フレフレ少女」などでメガホンをとりました。三浦しをん氏の代表作のひとつを映画化した「舟を編む」(13)には脚本で参加し、第37回日本アカデミー賞で最優秀脚本賞に輝いています。

渡辺:1本には絞れませんが、「狩人の夜」。最初は日本初上映で、六本木の今はヒルズになっている映画館(シネ・ヴィヴァン六本木/六本木WAVEの地下にあったミニシアターで99年に閉館)で。その後、リバイバル含めて何度か観ました。
渡辺:主演のロバート・ミッチャムの怪演。小動物と夜の風景。朗々と響くミッチャムの歌声。自分は、リアルから零れ落ちるファンタジーにやはり惹かれるようで、最新作「はい、泳げません」でも、その魅惑的な渦に引き寄せられてしまった。否、引き寄せられたというより、嬉々として自ら進んで……。
Photo by FilmPublicityArchive/United Archives via Getty Imagesチャールズ・ロートン監督によるフィルム・ノワールで、狂気の伝道師に扮したロバート・ミッチャムの演技が高く評価された1955年製作のカルト作品。ミッチャム扮する悪魔のような伝道師ハリー・パウエルが、ある策略をもって母子家庭に取りつき、やがて母を殺害してしまう。その後も逃げる幼い兄妹を、パウエルが執拗に追跡する姿をモノクロの幻想的な映像で描いている。封切り当時は散々な興行成績だったが、リバイバル上映を重ねるごとにミッチャムの怪演が話題を呼び、フランソワ・トリュフォーやマルグリット・デュラスらが絶賛するほどの再評価に繋がった。

渡辺:「ひらいて」。うろ覚えですが、ネットニュースかな。
渡辺:主演の山田杏奈さん。初めて拝見しましたが、プリズマティックで魅力的でした。嚥下しづらそうな題材なのに飲み込めたのは、監督のバランス感覚が優れているからかもしれない。
渡辺:色々ありますけど、男子高校生のセリフにオッ! と来て、原作を買いました(未読)。わからない主人公を、わからないまま受け入れられた。それはなかなかすごいことだと思う。
(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会芥川賞作家・綿矢りさが、高校生による禁断の三角関係を描いた同名小説を、注目の若手監督・首藤凜が「ジオラマボーイ・パノラマガール」の山田杏奈主演で映画化。明るく成績優秀で校内では人気者の愛は、同じクラスのたとえ(作間龍斗)に片思いをしている。地味なタイプのたとえは、人と関わりを持つことを避けているように見え、愛はなかなか近づけずにいた。そんなたとえが誰かからの手紙を大事そうに読んでいる姿を偶然目撃した愛は、悪友たちと夜の学校に忍び込んだ際、その手紙を盗んでしまう。手紙は、持病の糖尿病を抱える陰気な少女・美雪(芋生悠)からのものだった。美雪とたとえが密かに交際していることを知った愛の思いは乱れるが、その気持ちを隠して美雪に近づく……。

渡辺:いつも注力し過ぎるので、今回は注力しないことに注力しました。
渡辺:長谷川博己さんを見ていたら飽きないのでは……。仮に飽きて、途中で寝ると混乱すると思います。なので、寝るなら前半か後半のどちらかがお薦め。
渡辺:知り合いの(売れていない)俳優が出ている新作邦画。例えば(宇野祥平が出ている)「ビリーバーズ」とか。
(C)2022「はい、泳げません」製作委員会(C)2022「はい、泳げません」製作委員会
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