ひらいて

劇場公開日:

解説

芥川賞作家・綿矢りさが、高校生による禁断の三角関係を描いた同名小説を、「ジオラマボーイ・パノラマガール」「樹海村」の山田杏奈主演で映画化。明るく成績優秀で校内では人気者の愛は、同じクラスのたとえに片思いをしている。目立たず、教室でもひっそりと過ごす地味なタイプのたとえは、どこか人と関わりを持つことを避けているように見え、愛はなかなか近づけずにいた。そんなたとえが誰かからの手紙を大事そうに読んでいる姿を偶然目撃した愛は、ある夜、悪友たちと学校に忍び込んだ際、その手紙を盗んでしまう。手紙は、糖尿病の持病を抱える陰気な少女・美雪からのものだった。学校でも目立たない美雪とたとえが密かに交際していることを知った愛の思いは乱れるが、その気持ちを隠して美雪に近づく。そこから愛と美雪、たとえの三角関係が始まるが……。監督はオムニバス映画「21世紀の女の子」でも注目を集めた若手監督・首藤凜。

2021年製作/121分/PG12/日本
配給:ショウゲート

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(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会

映画レビュー

3.5「私をくいとめて」「勝手にふるえてろ」に比べると小粒感

2021年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

綿矢りさの小説の映画化といえば、近年では大九明子監督による松岡茉優主演作「勝手にふるえてろ」(17)、のん主演作「私をくいとめて」(20)が記憶に新しい。一方この「ひらいて」は、監督が長編商業映画デビューとなる首藤凜、主演が現在20歳の山田杏奈。単純比較するのは気の毒にも思うが、作品のスケール感(製作費の差ももちろんあるだろう)、演出力、演技のインパクトなどで、先述の2作より小粒な印象だった。

話の筋は、積極的なタイプの女子高生・愛がおとなしい男子の“たとえ”に恋心を抱くが、たとえが手紙のやり取りで病弱な美雪とプラトニックな交際をしていることを知り、美雪に同性愛的なアプローチを仕掛けていく、というもの。片想いをこじらせた挙句の変則的な三角関係の行方はそれなりに興味をそそるものの、そもそも現実味の薄い話であり、演技も演出もそれを丁寧にトレースしたレベルにとどまっていて、作品世界に力づくで引き込むような強度を獲得するには至らなかった。

山田杏奈については、スプラッターホラーの「ミスミソウ」で映画初主演を飾り、本作でも下着姿になるなど、若手女優の中でもかなり意欲的に多様なジャンルや思い切った演技に取り組んできたと評価している。今年公開の映画には5作に出演(うち2作で主演)する売れっ子でもあり、さらなる飛躍を期待したいところだ。

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高森 郁哉

3.0年寄りのオラにはちと持て余すというか理解が及ばないというか

2023年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

レンタル110 いつも見ている映画サイトで
いとみちと同じく年間BEST10に入っていてリストアップしていた
オラとしてはいとみちの方が好きかな

綿矢りさ原作モノはわたしをくいとめてとか勝手にふるえてろというのもあったな
本作は少しダーク寄りで年寄りのオラにはちと持て余すというか理解が及ばないというか

時間があったら原作を読んで行間を埋めたいという気もする

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北枕寝二

3.5好きという感情の底流に流れるもの

2023年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

原作未読。わりと勝気な女子高生・愛が、大人しい、自分の殻に閉じこもっていそうな男子高生・たとえを好きになる。ってこの設定自体が、あり得るのかな。あんな勝気な感じの愛は明るそうな感じの男子高生と仲良くやりそうな気もするが。
いや、愛は、たとえがこれまた大人しい感じの清楚系の美雪が好きなことを知って、奪い取ることにサディスティックな欲望を感じたのか。それで、美雪に近づき、美雪とレズのようなフリをしてまで、美雪に入り込もうとする。
だとしたら、愛は相当にメンヘラな女子高生ということになる。愛がたとえを好きという感情も、底流には、美雪に勝ちたいという気持ちがあるようにも見受けられる。好きという感情がなんだか嫉妬、サディズムといった感情が入り交ざって出来上がる場合もあるんだなという感慨にふけることになった映画だった。

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菜野 灯

4.0高校生の男女のカップルと一人の女子生徒の強引な行動が複雑に絡み合う。

2022年11月18日
PCから投稿

広島国際映画祭の会場で見た。
首藤監督のトークショーもあり、ちょっとは制作過程の面白さが実感できた。あまり核心については触れられず。
そのコメントも含めて印象に残ったこと。
1.高校生の恋愛を描いた綿矢りさの小説が原作で、ずっとこれを映画化したいと長年の思いが実現した映画。
2.女子生徒2人と男子生徒1人の恋愛関係。こんなことがあるのかと思わせる展開。
3.自分でもやりたいこと伝えたいことがよく分からず自分中心的な主人公。

高校生の危ない感情、一途な思い、仮面をかぶった本心、親から逃れたい気持ち、先のことがまだ見えない不安定さ、この年代でしか経験できない感受性。2つの男女の関係、一つの女性同士の関係。一歩主人公が中に踏み入っていったことでさまざまな事が少しずつ動き出す。

中でも予告編でも出ている女子生徒二人の性的関係が衝撃的。最後この3人がどうなっていくのか。そこは見ている人に委ねられる。

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M.Joe
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