「カモン カモン」ホアキン・フェニックスと子役の関係性はどうだった? 監督が明かす裏話
2022年4月21日 09:00

「ジョーカー」のホアキン・フェニックスが主演を務める「カモン カモン」が、4月22日から公開される。メガホンをとったのは、父をモデルにした「人生はビギナーズ」や、母をモデルにした「20センチュリー・ウーマン」など、自らの人生を重ねた物語を創出してきたマイク・ミルズ監督。自身が経験した“子育て”を題材にした物語を美しいモノクロ映像で紡いだミルズ監督に、話を聞いた。

ニューヨークでひとり暮らしをしていたラジオジャーナリストのジョニーは、妹から頼まれて9歳の甥ジェシーの面倒を数日間みることに。ロサンゼルスの妹の家で、好奇心旺盛な甥っ子との共同生活が始まる。

自分と子どもの関係を描くと、子どものプライバシーを守らないといけないですし、子どもの生活を明かすのは嫌だったので、どうすればうまくごまかせるのか考えながら脚本を書き進めていきました。それでいろいろ変更するうちに、伯父にたどり着きました。
主人公のジョニーは子育てが初めての経験で、いろんな問題が発生してきます。これは、初めて父親になったときの感覚に似ているなと気づいたんです。何をしていいかわからない、でも子どもはどんどん成長していくあたふたした感じは、自分でも想定していなかったのですが、伯父と甥という関係性でも描くことができたと思います。

ホアキンからは「すごく面白いしやってみたいけれど、どう演じていいかわからない」と言われました。それから2人でジョニーというキャラクターについて話し合いをして、信頼関係を築いていって、楽しい時間を過ごして、ジョニーを演じてもらえることになったのですが、関係を築いていったことが僕たちの中ではとても大きなことだったと思います。
ホアキンのことは大好きで、とても面白いし、映画についても詳しいし、頭もいいです。ストーリーを良くすることを常に考えていて、ありきたりなことは嫌いな人です。それでいて努力家なので、一緒に働くパートナーとしては申し分のない、常に上を目指している素晴らしい人です。

(撮影中は)10歳ですが(※現在13歳)、本当に素晴らしい役者です。自分のことを理解していて、自分のやりたいことを正確に把握しています。そういう部分はジェシーに共通しているので、ぴったりだと思っていました。あとは、僕とホアキンを喜ばせるようなことはせず、彼は自分を貫きます。これはホアキンにも言えることですが、感性が鋭くて頭の回転も速い。2人には共通する部分があるのであれだけ息の合った芝居ができたと思います。
2人は現場でも仲が良かったです。ホアキンも子役として活動していたので、ウディのことを理解して手助けしてくれました。いい役者ほど、カメラの回っていないときの関係性が映画にどう反映してくるかを理解しているので、ホアキン自身も彼と絆を強めるよう努力していました。ウディは演技については教える必要がなく、彼も求めていなかったので、ホアキンもそこを汲み取って口出しはしなかったし、ウディの先の読めない行動やユーモアセンスをホアキンも楽しんでいたようです。

どういう経緯だったかは僕自身も謎です。ホアキンはミステリアスな人なので(笑)。確か衣装合わせでカメラテストをしたとき、僕のズボンをはかせてほしいと言われたので貸しました。次はその靴どう? と聞かれたので自分の靴を渡して、そういう繰り返しがあって、撮影でも僕の私物を衣装スタッフに手渡してラックに置いていたら、なぜかホアキンは僕の衣装を着るようになりました。ユアン・マクレガーも「人生はビギナーズ」で僕の服を着ていましたが、映画はお金がかかるので、家具なども僕の私物を使って節約をしています。

ロイ・アンダーソン監督が大好きで、特に「散歩する惑星」は最近見直しました。あとはチェコの監督でベラ・ヒティロバの「ひなぎく」、是枝裕和監督の「ワンダフルライフ」も大好きです。
「カモン カモン」は、4月22日から東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開。
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