人生はビギナーズ
劇場公開日 2012年2月4日
解説
ユアン・マクレガー主演で人生を前向きに生きようと変化してく人々の姿を繊細に描いた人間ドラマ。38歳独身で奥手なオリバーは、母に先立たれ5年がたったある日、ガンの宣告を受けた父からゲイであることをカミングアウトされる。衝撃を受けたオリバーは事実をなかなか受け止められず臆病になってしまい、運命的な出会いを果たした女性アナとの関係も自ら終わらせてしまう。しかし、真実を告白した父は残された人生を謳歌し、その姿を見たオリバーは自分の気持ちに正直に生きることを学んでいく。監督は「サムサッカー」のマイク・ミルズ。主人公の父親を演じたクリストファー・プラマーが、第84回アカデミー賞で助演男優賞を受賞。受賞時82歳で演技賞史上最高齢でのアカデミー賞受賞となった。
2010年製作/105分/G/アメリカ
原題:Beginners
配給:ファントム・フィルム、クロックワークス
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2018年1月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
決してコミカルで賑やかな映画ではない。むしろ人生の機微や繊細さに満ちた物語という形容がふさわしいだろう。中心となるのは、ゲイであることをカミングアウトした高齢の父。それを機にガンでありながら表情をより豊かなものへ変貌させていく姿には、誰もが一種の憧れを抱かずにいられないはずだ。そんな父の姿、家族の肖像を散りばめながら、本作は息子であるユアン・マクレガーの視点で展開していく。フラッシュバックする記憶。母の面影。一歩踏み出せずにいる自分・・・。愛犬の気持ちが字幕付きで表示され、仮装パーティーではフロイトに扮し、ヒロインは自分の意志をサイレントで表現するなど、愛らしい趣向が盛りだくさん。あらゆる瞬間が観る者の気持ちに優しく触れ、心をふっと軽くしてくれる。誰もがビギナーズ。前に踏み出す勇気さえあれば日常は変わる。何よりも本作そのものが、一度きりの人生を思いきり楽しんでいるように思えてならないのだ。
2022年3月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ー マイク・ミルズ監督は、寡作で有名な方で、私は「20センチュリー・ウーマン」を劇場で見て、初めて知った監督である。
同じく、今作のヒロイン、メラニー・ロランも「イングロリアス・バスターズ」での映画館の娘と、「グランド・イリュージョン」「複製された男」「英雄は嘘がお好き」位しか見ていない。
けれども、今作はマイク・ミルズ監督自身の経験に基づいた脚本と、メラニー・ロランの美しさにヤラレタ作品である。(スマン、ユアン・マクレガー・・)-
◆感想
・イラストレーターのオリヴァー(ユアン・マクレガー)が、何処か虚無的で、厭世観を漂わせる生き方をしている事は、劇中で頻繁に描かれている。
それは、母ジョージアと父ハル(クリストファー・プラマー)の表面上は夫婦の体裁を取ってはいるが、冷えてしまっている夫婦関係をオリヴァー少年が、繊細な感性で見ていたことに起因する。
- 夫婦仲を、子供はキチンと見ているのである。巷間で良く言われる、夫婦仲が良い男女の間に生れた子供は、反抗期などを示しつつもキチンとした大人になって行くのである。-
・父ハルが、長年隠して来た、実は同性愛指向者であった事。そして、妻が亡くなった後、ハルは第4ステージの癌になりながらも、ゲイである事をカミングアウトし、若き恋人、アンディを得て楽しそうに過ごす姿を、名優クリストファー・プラマーが見事に演じている。
・物語は、父ハルが亡くなった後から時系列を行き来しつつ描かれる。父を失った喪失感を抱くオリヴァーの前に現れた、”口頭炎で口がきけない”アナ(メラニー・ロラン)。
二人は、お互いに似た者同士である事を察し、距離を縮めて行く。
ー この辺りの描き方が絶妙に巧い。そして、フランス女優のメラニー・ロランの美しさに魅られれる。-
<人生の最期を、自分の心に偽りなく生きる事を選択した、オリヴァーの父、ハル。その姿を批判する人は誰もいない・・。
その姿を見て、オリヴァーが、虚無的で、厭世観を漂わせる生き方を真に愛する女性アナと出会った事で、徐々に変容させていく姿を、ユアン・マクレガーが絶妙に演じている。
”生きる中で、何かが切っ掛けになり、それまでの生き方をリセットして、初心者として生を始めても、良いではないか!”と、マイク・ミルズ監督が観る側に語り掛ける作品である。>
■寡作のマイク・ミルズ監督の最新作「カモン カモン」が今春、公開される。実に楽しみである。
2021年2月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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追悼クリストファー・プラマー。
「エーデルワイス」の歌は学校でも音楽の授業でやるし(今でもやってるかは知らないですが)誰でも知ってる歌だと思うんですけど、「サウンド・オブ・ミュージック」でクリストファー・プラマーが歌って有名になった事は意外と知られていないような気がします。個人的にはおじいちゃんなイメージしかないのですが、そんなクリストファー・プラマーが齢82歳にしてアカデミー助演男優賞を取ったのが本作です。なんというか、演技が繊細‼️アップになった時の表情筋の動きでスゴい感情が伝わってきて画面をちゃんと観てようってなります。上手いよなぁ。
もっとコメディよりかと思ったのですが、オサレなドラマでした。75歳の父親にゲイってカミングアウトされたってのはそんな大きなパートでもなくって、自分を見つめ直す息子がメインの物語でしたね。
ユアン・マクレガーが人付き合い苦手な息子オリバーを丁寧に演じています。そのオリバーが出会うのがメラニー・ローラン演じるちょっとエキセントリックな美女アナ。メッチャ美男美女カップルですね!
父親からのカミングアウトを受けたり母親を思いだしたりして、自分に自信が持てなくなって一度はアナを遠ざけてしまうオリバー。でもやっぱりアナがいるNYに行って、花を買ってはやっぱり捨てちゃったりってメチャメチャ迷ってしまう37歳男子です。人生に関しては誰もが初心者ですし、何が正しいかなんて誰にもわからないんで迷ってしまう気持ちって良くわかります。対して人生の終盤にカミングアウトしてからイキイキとし始める父親。そういう父親を思い出す事でオリバーもやっぱり前に進まなきゃって思えたんでしょうね。
で、大昔に読んだ伊坂幸太郎の本のセリフに
「人生については誰もがアマチュアなんだよ。
誰だって初参加なんだ。」
っていうのがありまして、良く考えるとスッゴい深いセリフだなぁっと思って記憶に刻みついています。自分がこの先どうなるか、何が正しいかなんて誰にもわからないし、そもそも誰が人の人生にスコア付けるのって話ですよ。人にスコア付けたがる人はいっぱいいますが、その人だってたかが人生の初心者なんですしね。歳を取ると自分が初心者であることを忘れがちですが、いつも何時でまでもビギナーである事を胸に抱いていたいと思います。
2020年12月3日
Androidアプリから投稿
いつも
うまくいくと思えなくて
うまくいかないよう
にしてしまう
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