劇場公開日 2012年2月4日

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「【自分の心に偽りなく生きる事の大切さを、描いた作品。名優クリストファー・プラマーと共に、フランス女優のメラニー・ロランの美しさに魅入られる作品でもある。】」人生はビギナーズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【自分の心に偽りなく生きる事の大切さを、描いた作品。名優クリストファー・プラマーと共に、フランス女優のメラニー・ロランの美しさに魅入られる作品でもある。】

2022年3月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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ー マイク・ミルズ監督は、寡作で有名な方で、私は「20センチュリー・ウーマン」を劇場で見て、初めて知った監督である。
  同じく、今作のヒロイン、メラニー・ロランも「イングロリアス・バスターズ」での映画館の娘と、「グランド・イリュージョン」「複製された男」「英雄は嘘がお好き」位しか見ていない。
  けれども、今作はマイク・ミルズ監督自身の経験に基づいた脚本と、メラニー・ロランの美しさにヤラレタ作品である。(スマン、ユアン・マクレガー・・)-

◆感想

 ・イラストレーターのオリヴァー(ユアン・マクレガー)が、何処か虚無的で、厭世観を漂わせる生き方をしている事は、劇中で頻繁に描かれている。
 それは、母ジョージアと父ハル(クリストファー・プラマー)の表面上は夫婦の体裁を取ってはいるが、冷えてしまっている夫婦関係をオリヴァー少年が、繊細な感性で見ていたことに起因する。
 - 夫婦仲を、子供はキチンと見ているのである。巷間で良く言われる、夫婦仲が良い男女の間に生れた子供は、反抗期などを示しつつもキチンとした大人になって行くのである。-

 ・父ハルが、長年隠して来た、実は同性愛指向者であった事。そして、妻が亡くなった後、ハルは第4ステージの癌になりながらも、ゲイである事をカミングアウトし、若き恋人、アンディを得て楽しそうに過ごす姿を、名優クリストファー・プラマーが見事に演じている。

 ・物語は、父ハルが亡くなった後から時系列を行き来しつつ描かれる。父を失った喪失感を抱くオリヴァーの前に現れた、”口頭炎で口がきけない”アナ(メラニー・ロラン)。
 二人は、お互いに似た者同士である事を察し、距離を縮めて行く。
 ー この辺りの描き方が絶妙に巧い。そして、フランス女優のメラニー・ロランの美しさに魅られれる。-

<人生の最期を、自分の心に偽りなく生きる事を選択した、オリヴァーの父、ハル。その姿を批判する人は誰もいない・・。
 その姿を見て、オリヴァーが、虚無的で、厭世観を漂わせる生き方を真に愛する女性アナと出会った事で、徐々に変容させていく姿を、ユアン・マクレガーが絶妙に演じている。
 ”生きる中で、何かが切っ掛けになり、それまでの生き方をリセットして、初心者として生を始めても、良いではないか!”と、マイク・ミルズ監督が観る側に語り掛ける作品である。>

■寡作のマイク・ミルズ監督の最新作「カモン カモン」が今春、公開される。実に楽しみである。

NOBU