【第94回アカデミー賞総括】「コーダ あいのうた」が作品賞含む3冠! 「ドライブ・マイ・カー」は国際長編映画賞
2022年3月28日 14:00
第94回アカデミー賞の授賞式が3月27日(現地時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、シアン・ヘダー監督作「コーダ あいのうた」が作品賞を含む3冠を達成し、幕を閉じた。最多受賞は、技術部門を独占した「DUNE デューン 砂の惑星」の6部門。また、4部門にノミネートを果たしていた濱口竜介監督作「ドライブ・マイ・カー」は、国際長編映画賞に輝いた。
フランス映画「エール!」をリメイクした「コーダ あいのうた」が、ノミネートされた作品賞、助演男優賞、脚色賞の3部門すべてを受賞した。男性のろう者の俳優で初めてオスカー候補になったトロイ・コッツァーが、助演男優賞を受賞。オスカー像を手に取り、「私が俳優としてのキャリアを築く機会を与えてくれた、ろう者のための素晴らしい劇場に感謝を伝えたいと思います。実は最近、スティーブン・スピルバーグ監督の本を読んだんですが、彼によると『最高の監督の定義は、非常にスキルのあるコミュニケーターである』ということでした。シアン・ヘダー監督は、最高のコミュニケーターです。なぜなら、ろう者の世界と、それ以外の世界の橋渡し役を務めたわけです。あなたの名前は、いつまでもハリウッドのその橋に残るでしょう」というメッセージを、世界中に届けた。
作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門にノミネートを果たした日本の「ドライブ・マイ・カー」は、国際長編映画賞を受賞。流暢な英語で感謝の思いを語った濱口監督は、降壇をうながす音楽が流れると「ちょっと待ってください」とスピーチを継続。「西島秀俊さん、岡田将生さん、霧島れいかさん、パク・ユリムさん、ジン・デヨンさん、アン・フィテさん、ソニア・ユアンさん、おめでとうございます!」と日本語で伝え、さらに「ここに来られなかった俳優の皆さんに感謝いたします。特に赤いSAAB900を見事に運転してくれた三浦透子さんに感謝します!(日本語で)三浦(透子)さん、獲りました!」と思いの丈を、やや興奮気味に語っていた。
この日は、ハプニングも起こり、長編ドキュメンタリー賞のプレゼンターとして登壇したコメディアンのクリス・ロックを、ウィル・スミスが平手打ちするひと幕があった。ロックがスミスの妻ジェイダ・ピンケット・スミスの髪型を侮蔑する発言をしたため、激怒したスミスが客席から舞台に向かい、ロックの顔を叩いた。
スミスはその後、「ドリームプラン」での演技を評価されて主演男優賞を獲得。そのスピーチで、「自分は川のような存在にならないといけない。悪口を言われても、ビジネスのなかで自分が軽蔑されることに慣れないといけない。でも、デンゼル・ワシントンから『悪魔の誘惑に負けるな』とアドバイスをもらった。自分は愛情のための船のような存在になりたいんです」と自らの行動を謝罪。そして、「僕はアカデミー賞の皆さん、候補者の皆さんに謝罪をしなければなりません。この美しい瞬間です。僕は受賞したから涙を流しているわけではありません。いま、人々に光を差すことができることが嬉しいのです」と涙ながらに感謝の気持ちを明かした。
第94回アカデミー賞の受賞一覧は、以下の通り。
「コーダ あいのうた」
「DUNE デューン 砂の惑星」
「DUNE デューン 砂の惑星」
「クルエラ」
「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」
「The Queen of Basketball(原題)」
「ドライブ・マイ・カー」
「DUNE デューン 砂の惑星」
「タミー・フェイの瞳」
「ミラベルと魔法だらけの家」
「The Windshield Wiper(原題)」
「The Long Goodbye(原題)」