ドリームプラン 劇場公開日:2022年2月23日
解説 ウィル・スミスが主演・製作を務め、世界最強のテニスプレイヤーと称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界チャンピオンに育てあげたテニス未経験の父親の実話を基に描いたドラマ。リチャード・ウィリアムズは優勝したテニスプレイヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿をテレビで見て、自分の子どもをテニスプレイヤーに育てることを決意する。テニスの経験がない彼は独学でテニスの教育法を研究して78ページにも及ぶ計画書を作成し、常識破りの計画を実行に移す。ギャングがはびこるカリフォルニア州コンプトンの公営テニスコートで、周囲からの批判や数々の問題に立ち向かいながら奮闘する父のもと、姉妹はその才能を開花させていく。2022年・第94回アカデミー賞では作品賞、主演男優賞、助演女優賞ほか計6部門にノミネートされ、主演男優賞を受賞。ウィル・スミスが3度目のアカデミー賞ノミネートで初のオスカー像を手にした。
2021年製作/144分/G/アメリカ 原題:King Richard 配給:ワーナー・ブラザース映画
スタッフ・キャスト 全てのスタッフ・キャストを見る
× ※無料トライアル登録で、映画チケットを1枚発行できる1,500ポイント をプレゼント。
2022年12月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
King Richard is a quality film that unforunately lost attention due to the behavior of its lead star. Smith is definitely at his finest; he plays a strict, loner father figure who pushes everybody to the limit whether it's his daughters, their coach, or the league itself. A sample of black urban life from transitioning from one era to the next. Fascinating background on the Williams' tennis stars.
ネタバレ! クリックして本文を読む
主演とプロデュースを兼ねていウィル・スミスがこの物語、というか実話のどの部分に強く惹かれたのか、その意図はわからないが、素直に美談として受け取るには、ずいぶんいびつな話だとは思う。もちろん、いびつであることが悪いわけでもなく、なんならマイノリティと父性という檻に閉じ込められた男が、間違っていようとなかろうと信念を貫こうとするスコセッシ映画的な主人公の物語なのだと思う。戸惑うのは、そこに批評的な視線が向けられているのかがよくわからないまま、ハリウッド映画的な感動実話もののフォーマットに落とし込まれていること。似たフォーマットを流用して、あきらかに間違った人物を描いて怪作となった『ファウンダー』のような凄みはないが、このリチャード・ウィリアムズという人物の白黒つけられない奇妙さは確かに作品に残っていて、作り手の意図の有無に関わらず、偉大な実話とされるもののグレーゾーンが感じ取れたことを評価しています。あ、ヴィーナスとセリーナ姉妹に黒人の希望が託される展開には、素直に熱くなりました。
2022年2月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
ヴィーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹をテニス界のトッププレーヤーに押し上げた実の父親、リチャードの教育法は、いわゆるスパルタとは違う。未来のスター選手を育てるテニススクールではなく、一家が住まうアメリカで最も危険な街と言われるL.A.のコンプトンの公営テニスコートで練習を積み、姉妹の才能をいち早く見抜いたコーチとの契約を高額を理由に断り、やがて、テニススクールに入門後も学業を優先させ、若くしてプロ契約を結ぶことを拒否する。早過ぎるプロデビューが才能を台無しにしてしまう例を見てきたからだ。 そんなリチャードに興味を持ったウィル・スミスが主役を演じ、製作に妻のジェイダ・ピンケット・スミスやヴィーナス&セリーナ姉妹が名を連ねる人物伝は、リチャードの負の部分を意図的に覆い隠している可能性はある。でも、スポーツの才能がある幼い子供たちをビジネスの道具にしたり、国威高揚の手段に使うような価値観が罷り通るような今の世の中で、コンプトンが生んだ"星一徹"の姿は見る側の心を清々しくしてくれることは確かだ。 そういう意味で、今見るべきなのはコレ。実物そっくりの役作りで初のオスカーを狙うウィル・スミスの本気を確認する意味でも。
本作はストーリーだけなら、まるで「マンガのような映画」だと感じました。 ウィル・スミスが扮する主人公は❝テニス未経験❞にも関わらずテレビで「優勝したテニス選手が4万ドルの賞金を受け取る姿」を見たことで、自分の子供をテニスの世界チャンピオンにしようと考える、という初期設定から強烈です。 そして本などで知識を得ながら、子供が生まれる前に「世界王者にする78ページの計画書」(ドリームプラン)を独学で作り、その計画書に基づき娘2人にテニスの特訓。 ただ、黒人ということもあり、練習さえままならない劣悪な環境まであります。 さらに、お金もコネもなく有名なコーチらに連絡し「娘に才能があるから無料でコーチしてほしい」と無謀なお願いをせざるを得ないなど「絵に描いたような逆境」です。 ところが最終的には2人の娘が世界チャンピオンに…! まさに、「何が起こった?!」の世界ですが、そんなあり得ないような物語を「実話」という強みを最大限に活かして埋めてくれているのです。 しかもスポーツ映画ならではの迫力もあり、特にテニスシーンは圧巻で引き込まれます。 加えて、ウィル・スミス扮する父親は、世の中の常識的な手法とは違う「独自の考え」を頑なに守るなど端々から「信念の強さ」が感じられ、文字通りアカデミー賞級で演じ切るなど、演技の面からもリアリティーがありました。 現実離れした様々な設定を見事なまでに違和感なく1本の映画としてまとめることに成功しているため、非常に興味深く面白い映画に仕上がっています。 家族の絆や、信じる強さが巻き起こす信じ難い「奇跡」を体感できる作品は、本作以上はなかなか難しいのかもしれません。