クルエラ
劇場公開日:2021年5月27日
解説
ディズニーアニメ「101匹わんちゃん」に登場した悪役クルエラの誕生秘話を、「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーン主演で実写映画化。パンクムーブメント吹き荒れる70年代のロンドンに、デザイナーを志す少女エステラがやってくる。情熱と野心に燃える彼女は、裁縫やデザイン画の制作に打ち込み、デザイナーへの道を駆けあがるため切磋琢磨する。そのままデザイナーへの道を進んでいくと思われたエステラだったが、カリスマ的ファッションデザイナーのバロネスとの出会いが、エステラの運命を大きく変えることとなる。夢と希望にあふれた若きエステラが、なぜ狂気に満ちたクルエラとなったのか。その秘密が明らかにされる。エステラの運命を大きく変えるカリスマデザイナーのバロネス役を「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」「美女と野獣」のエマ・トンプソンが演じ、「キングスマン」シリーズのマーク・ストロングらが共演。「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」「ラースと、その彼女」のクレイグ・ギレスピーがメガホンをとった。2021年5月27日から劇場公開され、5月28日からDisney+でも配信(追加料金が必要なプレミアアクセスで公開)。
2021年製作/134分/G/アメリカ
原題:Cruella
配給:ディズニー
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1960~70年代のロンドンを舞台に、『101匹わんちゃん』のクルエラの前半生を描く。まあディズニーの一連の企画モノのひとつなのだが、監督が『アイ、トーニャ』のクレイグ・ガレスピーということもあって、音楽に音楽をつなぐことでクルエラの生き様を浮かび上がらせる語り口が実にエキサイティング。『グッドフェローズ』調という人もいるが、ガレスピーが手掛けると、本来なら共感しづらい人物へのシンパシーが通底にあって、作品の温かみにつながっている。
そしてエマ・ストーン演じるクルエラが、とにかく痛快なのがいい。不幸な生い立ちの少女は、もちろん悪の道に足を踏み入れて行く。それを「こんな理由があったからしょうがないんです」と言い訳するような面は確かにあるのだが、クルエラ自身が善を目指しているわけでもないので、そこはほどよくピカレスクロマンであり、倫理観より自分の欲に忠実な姿には爽快さが漂う。
正直、散漫になったり、もっと掘り下げてほしかったりする箇所はある。そもそも問題になって当然の「犬の皮を剥いでコートにする」という設定をどう扱ったかについては、ヌルいという意見もあるとは思う。しかし、本作のクルエラはそんなことは承知の上で悪を演じていると名言しているわけで、もはや『101匹』とは別の新クルエラの誕生を祝いたいです。
2021年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
生まれながら白黒真っ二つのダルメシアン・ヘアを持った少女エステラが、なぜ、ディズニー史上最凶のヴィラン、クルエラになったかを解き明かす前日譚は、何と言うか、取ってつけた感がほぼ皆無。知らず知らずのうちに、エステラを襲った悲劇に同情し、故に、彼女が辿るリベンジマッチに寄り添ってしまうのだ。老舗夢工房の匠の技が誘う煌びやかでどす黒く、同時に、パンクロックなネオ・ファンタジーは、『101匹わんちゃん』(61)からその実写版である『101』(96)、さらにその続編『102』(01)までの"クルエラ・ヒストリー"を追想する機会も与えてくれる。とまあ、そんな古いディズニー世代はもちろん、『アナ雪』(13)からのファンも引き込む、目眩くパンク・ファッション(『マッド・マックス 怒りのデスロード』でオスカー受賞のジェニー・ビーヴァン)と、'70sヒット・チューンで五感を刺激しまくる本作。中でも、ナンシー・シナトラの"にくい貴方"をバックにクルエラ=エマ・ストーンが闊歩する場面の高揚感が半端ない。コロナ禍の鬱屈を晴らしてくれる、ちょっと遅れてきたハリウッド・メジャーの目玉中の目玉だ。
本作は、ディズニーアニメーション映画「101匹わんちゃん」(1961年)のヴィラン(悪役)であるクルエラを主役に実写映画化したものです。「101匹わんちゃん」自体が古かったりするため当初はそこまで期待できませんでした。
ところが完成版を見てみると、終始クオリティーが高く、久しぶりに洋画で圧倒されました!
見どころの一つである、エマ・ストーン(「ラ・ラ・ランド」でアカデミー賞主演女優賞受賞)とエマ・トンプソン(「ハワーズ・エンド」でアカデミー賞主演女優賞受賞)という「Wエマのアカデミー賞女優の熾烈な共演」。これは両者が曲者で、やり取りが全く飽きませんでした。
特に主演エマ・ストーンの❝はじけっぷり❞は凄いものがあります。
1970年代のロンドンを舞台(幼少期は1960年代)とし、作風としてはファッション業界が舞台となるため、名作「プラダを着た悪魔」と似た雰囲気もあります。
監督は2018年アカデミー賞の話題作「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のクレイグ・ギレスピー監督です。
冒頭のディズニーのマークから「白・黒・赤」という独特な色使いがなされていたりと、とにかくスタイリッシュな映像に加えて、かなり楽曲のセンスも良く、映像、音楽も楽しめます。
本作は、「バットマン」シリーズにおけるヴィラン「ジョーカー」がなぜ生まれたのかを描いた名作「ジョーカー」に似た構造もあります。
「ジョーカー」は、「アカデミー賞最多11部門ノミネート」まで果たしましたが、感覚的には、あの快挙に匹敵するような出来栄えです。
もちろん「ジョーカー」のようなシリアス過ぎる作品ではなく、あくまで本作はファミリー映画ですが。
本作は、スタイリッシュな映像、楽曲、エマ・ストーンの名演技などを堪能するため、映画館で見ることが望ましい作品でした。
アニメーション映画「101匹わんちゃん」を知っていると、本作では、クルエラの相棒である「ジャスパー」と「ホーレス」、そして、「101匹わんちゃん」の主役の「ロジャー」「アニータ」などもキチンと出ていることが分かります。
見る前は、上映時間134分は長いのかな、と思っていましたが、体感的には、あっという間に終わり「まだまだ見ていたい」という状態でした。
「ジョーカー」は大ヒットし続編が噂されていますが、「クルエラ」も大ヒットすれば続編があるかもしれず楽しみです。
2022年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ファッション・デザインに天才的才能を持つクルエラ(エマ・ストーン)。
この映画は衣装を見ているだけでもう至福の時間でした。
著名なオートクチュールデザイナーのバロネス(エマ・トンプソン)の
いかにも高そうで権威的でゴージャスな衣装。
(エマ・トンプソンってこんなに姿勢が良くスタイルも良かったかしら?)
対するクルエラの着る服やデザインする服はアバンギャルドで
遊びも多くて凄いイケてます。
クルエラの黒と白に半分づつ分かれたヘアスタイルも、
ダルメシアンみたいで面白い。
この映画はクルエラとはアニメ映画『101匹のわんちゃん』の
悪役クルエラ・ド・ヴィル(デビル)の若き日を描いてるんですってね。
クルエラとバロネスとの因縁にも驚きます。
子も子なら親も親。
希代の悪役が2人揃い踏みですもの面白い訳です。
やはりクルエラが母の死の真相と自分の出自を知る後半は
感情移入してクルエラ頑張れと応援して観てました。
エマ・ストーンも影のある暗めのクルエラを感情豊かに表現して、
ディズニーの女性ヴィランとして最高に魅力的です。
マーク・ストロングが出てくると途端に引き締まりますよね。
好きな俳優なので、彼が出生の秘密を知る影の恩人なのも良かったです。
わんちゃんが可愛い。
特別に活躍する訳ではないけれど、
クルエラのバディ(雑種)、
ホーレスのウインク(チワワ)はお財布を口に咥えて、
ご主人思いで、いじらしい!
あとはダルメシアン。
クルエラと言えばアニメでは、
「毛皮にしちゃうぞー!!」って追いかけ回すんだけど、
映画では動物愛護の精神が流れていますね。
ダルメシアンも101匹とかは出て来なくて、バロネスのけしかける犬は
3匹でした。
次作も製作決定だそうですので、次はダルメシアン101匹で、
お願いしたいですね。
音楽も美術も(特にセットと衣装が)最高でした。