松井玲奈×中島歩で島本理生「よだかの片想い」映画化! 監督は安川有果
2021年9月21日 08:00
女優の松井玲奈と俳優の中島歩が、人気作家・島本理生の小説を映画化する「よだかの片想い」に出演し、初共演を果たしていることが分かった。長編映画監督デビュー作「Dressing Up」で非凡な才能を発揮した新鋭・安川有果がメガホンをとり、精力的な活動を続ける城定秀夫が脚本を執筆している。
今作は、「勝手にふるえてろ」「寝ても覚めても」「愛がなんだ」などを手掛けたメ~テレと、制作会社ダブがタッグを組み、“へたくそだけど私らしく生きる”等身大の女性のリアルを紡ぐ映画シリーズ「(NOT) HEROINE MOVIES」(ノット・ヒロイン・ムービーズ)の第2弾作品。第1弾となる「わたし達はおとな」は加藤拓也監督のもと、木竜麻生(「菊とギロチン」)と藤原季節(「his」)が初共演している。
2018年に「ファーストラヴ」で直木賞に輝いたほか、「ナラタージュ」「Red」などの著書が映画化されてきた島本の同名小説(集英社文庫刊)が原作。主人公の理系女子大生・前田アイコには、顔の左側にアザがあるという設定。幼少期からからかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びは諦めていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュホンの取材を受けたことで、状況が一変する……。
アイコに息吹を注ぐ松井は小説家としても活動をしており、読書好きとしても知られている。かねて島本作品の大ファンを公言しており、なかでも「よだかの片想い」は初めて接した島本作品であるため、もし実写化する際には是が非でもアイコ役をと熱望し続けてきたという。
一方の中島は、アイコが思いを寄せる映画監督の飛坂に扮する。俳優として初めて主演した「グッド・ストライプス」(15)での演技が好評を博し、今後も第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した「偶然と想像」(濱口竜介監督)、第76回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に選出された「サタデー・フィクション」(ロウ・イエ監督)などの出演作の公開が控えている。
本編では、取材を受けたルポルタージュ本が話題になり映画化が決まったことで、アイコは編集者の友人の手引きで監督の飛坂と出会う。話をするうちに人柄に惹かれ、作品にも感動したアイコは、飛坂への片想いを自覚する。不器用に距離を縮めていくが、仕事最優先の相手は女性にも不自由しないタイプ。思いを募らせながら、自分のコンプレックスと正面から向き合うことになる……。映画は、22年に全国で公開。
なお、松井、中島、安川監督のコメント全文は以下の通り。
『よだかの片想い』は私にとって特別な一冊です。
描かれる恋愛模様に心奪われた日から、いつかアイコを演じたいと強く思い、そして今回その夢が叶いました。
敬愛する島本理生さんの、中でも特に思い入れの強い作品。その世界を生きることができるなんて、こんなにも嬉しいことはありません。
皆さんにご覧いただける日が来ることが、今から楽しみです。
安川監督と松井さんとは会ったその日から率直に話し合える風通しの良い関係でした。
それぞれが恋愛観を持ち寄り作品に織り込んでいった、気恥ずかしくも創造的な撮影でした。
皆様にご覧いただける日が楽しみです。
「まだ映画にできるか分からないが、感想を聞かせてください」とプロデューサーから薦めていただき、顔のアザによって生まれる不思議な関係性を描いた小説『よだかの片想い』を初めて読みました。
私がこれまで読んできた島本さんの小説とは雰囲気の違うライトな読み口が新鮮で、偏った美の価値観が蔓延する社会でアザごと自分を肯定したいと願う主人公アイコの魅力に心を捕まれ、読み終える頃には「他の監督の手に渡ってほしくない」と強く感じていました。
松井さんは、この役を熱望されていただけあって頼もしく、映画全体を引っ張ってくれました。シーンの相談の為に待機場所を訪ねると、びっしりと付箋のついた小説を読み込んでいた姿が今も目に焼き付いています。その覚悟と熱量で「島本作品の主人公を演じる」夢を叶えた松井さんの姿には幾度となく刺激を受けましたし、アイコに魂を吹き込んでくれた松井さんの魅力がそのままこの映画の魅力であると自信を持って言いたいです。
中島さんはユニークな方で、特に印象に残っているのは、撮影が終わってしばらくしてからアフレコにお越しいただいたときに、あるシーンの自分の演技を見て「この人モテてきた人ですね」と仰ったことです。その時は「(撮影時じゃなく)今?」と思いましたが、後になって、意識すると演技に影響が出るからわざと忘れていたんだな、と気がつきました。撮影の時にも準備してきたものを忘れることを意識的にされていた印象があり、安心できないところに身を投げ出す勇敢さに、俳優の凄さを垣間見た気がしました。
このお二人の間にしか生まれない素敵な瞬間を見つめることのできた撮影は、とても幸福な時間でした。
粘り強く何度も脚本を書き直してくださった城定さん、まだ発表されていない素敵なキャストの皆さん、支えてくださった優秀なスタッフの皆さんにも、この場を借りてお礼を言いたいです。
皆で作った映画が少しでも誰かの心に残るものになっているなら、こんなに幸せなことはありません。
お届けできる日が今から待ち遠しいです。
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