チャン・ツィイー審査員長、東京国際映画祭にエール!「映画祭独自の位置づけを獲得してほしい」
2019年11月5日 22:20
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[映画.com ニュース] 第32回東京国際映画祭のアウォード・セレモニーが11月5日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで行われ、デンマークのフラレ・ピーダセン監督作「わたしの叔父さん」が最高賞の東京グランプリに輝いた。セレモニー終了後、コンペティション部門の審査委員長を務めたチャン・ツィイー(中国/監督)をはじめ、審査員のビル・ガーバー(米/プロデューサー)、ジュリー・ガイエ(フランス/女優、プロデューサー)、マイケル・ノアー(デンマーク/監督)、廣木隆一(監督)が会見した。
映画祭最終日を迎えたツィイーは、東京グランプリを獲得した「わたしの叔父さん」は満場一致で選ばれたことを明かし、「コンペティション作品は多様性に富んでいました。脚本や映画の完成度が高く、役者のパフォーマンスも素晴らしいので、とてもリッチなセレクションでした」と満足げに振り返る。さらに、「今回強く感じたことをお話したいと思います。『東京国際映画祭はどのようなキャラクターで、どのようなDNAを持っているのか』ということが大事だと思います。どんな映画祭も独自の視点や特徴が過去、現在、未来で貫かれています。(本映画祭も)今後、世界の国際映画祭の中で独自の位置づけを獲得できると良いと思います」と力強くエールをおくった。
昨年メガホンをとった「氷の季節」が審査員特別賞と最優秀男優賞に輝き、今年は審査員として参加したノア―監督は、「長年忘れかけていた、映画を見る楽しさを思い出しました」「映画を通して人と交わると、非常に短時間でその人の深いところを知ることができると再確認しました。今回の審査員の皆さんとは知り合ったばかりなんですが、本当にお互いのことをよく知ることができました」としみじみ。廣木監督は「審査される側」から「審査する側」になる困難もあったといい、「(審査員の)皆さんは映画に対する愛情があって、人との出会いを強く感じさせてくれた映画祭でした。『僕も頑張らなきゃ』と思いました」と語った。
「わたしの叔父さん」のピーダセン監督は、主演女優イェデ・スナゴー、プロデューサーのマーコ・ロランセン氏とそろって登壇した。美しいデンマークの農村地を舞台に、酪農家として生きる若い女性クリスと体の不自由な叔父の関係を通し、社会問題を鋭く描き出す本作。ピーダセン監督は「非常にハッピーな気分です! 作品に携わったスタッフにも情報共有し、皆とても喜んでいます。デンマーク、今は朝早い時間帯なんですけど、皆でお祝いをしているようです」と喜びを爆発させる。
撮影方法に関して、ピーダセン監督は「じっくりと(舞台となる地域に)腰を据えて、被写体を撮るスタイルには前から興味がありました。最初は農場に住みこまずに、近くにとめたトレイラーで生活しながら脚本を書きました。その中で農村の生活を撮り、リアリティをとらえることができました」と解説。影響を受けた監督を問われ、デンマークで90年代に起きた映画運動「ドグマ95」の映像作家たちから「キャラクターがけん引していくようなストーリーを語る」「俳優にじっくり演じさせる」という手法を学んだという。さらに、「マーコとの話し合いの中で、『仮に小津安二郎がデンマークで撮るなら、こういう映画を撮るだろう』という作品を目指しました。小津監督の作品の中では、『東京物語』から始まる(紀子)3部作や『早春』がお気に入りで、絵で語っていく手法やキャラクター描写がとても好きです」と締めくくり、日本映画の影響を受けていることをうかがわせた。
会見には、日本映画スプラッシュ部門「i 新聞記者ドキュメント」(作品賞)の河村光庸プロデューサーと出演した東京新聞の望月衣塑子記者、「叫び声」(監督賞)の渡辺紘文監督と弟で音楽監督の渡辺雄司、アジアの未来部門「夏の夜の騎士」(作品賞)のヨウ・シン監督、「死神の来ない村」(国際交流基金アジアセンター特別賞)のレザ・ジャマリ監督、コンペティション部門「喜劇 愛妻物語」(最優秀脚本賞)の足立紳監督、「チャクトゥとサルラ」(最優秀芸術貢献賞)のワン・ルイ監督、「ジャスト6.5」(最優秀監督賞&最優秀男優賞)のサイード・ルスタイ監督と主演ナビド・モハマドザデー、「アトランティス」(審査委員特別賞)の主演アンドリー・リマルークも出席した。
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