ベネチア映画祭終盤、ポランスキー新作と「ジョーカー」が高評価
2019年9月6日 15:46

[映画.com ニュース]8月28日から始まったベネチア国際映画祭も終盤を迎え、概ねコンペティションの作品が出揃った。批評家による星取り表でダントツに評価が高いのは、ロマン・ポランスキーの「An Officer and a Spy」と「ジョーカー」。その後イタリア映画の「Martin Eden」、ノア・バームバック「マリッジ・ストーリー」、スティーブン・ソダーバーグの「ザ・ランドロマット パナマ文書流出」、是枝裕和の「真実」が続く。
ポランスキーの作品は、1894年に起きたフランスで反ユダヤ主義を象徴するドレフュス事件を映画化したもの。当時フランス陸軍参謀本部の大尉だったユダヤ人、アルフレド・ドレフュス(ルイ・ガレル)が陰謀によりスパイ容疑で有罪になり、12年後にようやく無罪が認められた事件を、無罪立証の立役者、ピカール中佐(ジャン・デュジャルダン)の立場から描く。社会派ドラマとしてもスリラーとしても一級の作品だ。
「Martin Eden」はジャック・ロンドンの原作「マーティン・イーデン」を、イタリアを舞台に置き換え、労働者階級から独学で作家となった主人公を描く。これが長編二作目となるピエトロ・マルチェッロ監督のスタイルは、初期のベルトルッチやパゾリーニを彷彿とさせるようなエネルギーに満ち、原作の力強さ、そして骨太な魅力を放つ俳優、ルカ・マリネッリの魅力と相まって観る者の心を揺さぶる。イタリアからまた新世代が登場した印象だ。
かたやベテランのソダーバーグは、社会的なテーマとエンターテインメント性が融合した彼らしい快作。「パナマ文書」で問題になったオフショア金融業界を舞台に、富裕層によるタックス・ヘイヴンと、複雑なシステムの犠牲となる庶民の対比を、コミカルなトーンのなかにも辛辣さを込めて描く。メリル・ストリープ、ゲイリー・オールドマン、アントニオ・バンデラスらベテラン・キャストのアンサンブルも見応えがある。
賛否両論に激しく分かれているのは、ジャージ・コジンスキの小説を映画化したチェコ映画の「the Painted Bird」だ。幼くして孤児になり、第2次大戦中生き延びるために放浪を重ねるなかで虐待され続けたユダヤ人の少年の姿を、モノクロのフィルムに刻んだ169分の大作。その妥協なき暴力性に意見が分かれた。
もっとも、今年の審査員長ルクレシア・マルテルはオープニング会見で、過去に性的暴行で有罪判決を受けたポランスキーに対して批判的な意見を述べているだけに、賞レースは複雑な様相を呈するかもしれない。(佐藤久理子)
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