吉田凜音×久間田琳加「ヌヌ子の聖★戦」で得た財産、“ニコイチ”としての野望
2018年11月14日 12:00
[映画.com ニュース] 「神様のカルテ」「サクラダリセット」などで知られる深川栄洋監督が初プロデュースを手がけた「ヌヌ子の聖★戦 HARAJUKU STORY」。ティーンから絶大な人気を誇る現役女子高生アーティスト・吉田凜音、雑誌「Seventeen(セブンティーン)」専属モデルとして活躍する久間田琳加がダブル主演を飾っているが、今回のキャスティング、この2人以外には考えられない。ともに17歳、プライベートでも大親友だからこそ、まるで“双子”のようなキャラクターが輝きを放つ。阿吽(あうん)の呼吸で撮影を乗り切った吉田と久間田――女優としての日々は、それぞれの活動のスキルを高める結果となったようだ。(取材・文/編集部、写真/間庭裕基)
原宿で大人気の双子コーデタレント「ヌヌ子」として活動している田原葵(吉田)と三好里奈(久間田)が、それぞれの夢や希望、不安や悩みからすれ違いながらも固く結ばれた友情のもと夢を追いかける青春物語。長編映画デビューを果たした進藤丈広監督がメガホンをとり、人気モデルで女優の本田翼が衣装スタイリングに初挑戦している。
吉田と久間田が“急接近”したのは、白石和彌監督作「女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。」の現場でのこと。共演シーンは多くはなかったものの、登壇イベントなどで交流し「一番一緒にいた」というほど仲を深めていた。互いに根は真面目だが“楽しむ時は楽しむ”といった波長が合ったようで、その後は吉田の楽曲「パーティーアップ」のミュージックビデオに久間田が出演。そして今回のダブル主演へとつながり、「一緒の仕事が多すぎて“ニコイチ”感があるんです。2人で生きているのかなって感じです」(吉田)という言葉がベストな配役だったことを裏付ける。
葵の人柄に親近感を抱いていた吉田は「吉田凜音と葵を混ぜ合わせる」形で役作りを心がけつつ「表情がコロコロ変わる子なので、その表現には気をつかいました。それに“ぶっ飛んでいる”印象が強くて、私にはぴったりだなって(笑)。普通の女の子でいようとは思っていませんでした」と告白。里奈役を「今までにない役。似ているようで似ていない部分もある」と説明した久間田は「彼女の気持ちを理解するために、監督と話し合いを重ねました。ご覧いただくとわかるんですが、表情をアップで映すカットが多いんです。“表情だけの演技”というのはあまり経験してこなかったので、大変でした」と“役を生きる”ことは一筋縄ではいかなかったようだ。そして、2人を待ち受けていたのは、現実とフィクションの交錯。日本最大級のファッション&音楽イベント「Rakuten GirlsAward 2018 SPRING/SUMMER」の場で“1発勝負”の撮影に挑んだ。
久間田「“映画風”にやると観客の方々はびっくりしちゃいますし……。葵と里奈らしくしなければいけないと思っていたんですが、監督から撮影する前に『素の琳加と凜音でいてほしい』と言われていました」
吉田「(撮影時は)常にそんな感じだったよね。久間田琳加と吉田凜音という存在の“上”を超えたら、ヌヌ子になる。普段からランウェイを歩くことはあるんですけど、『GirlsAward』の時はいつもより緊張していました。1人で歩いている時よりも……こけたらどうしようとしか思わなかったかも」
久間田「監督も絶対緊張してたよね(笑)」
吉田「間違いない!(笑)」
時折視線を交わして笑い合い、仲睦まじい様子を見せる吉田と久間田。劇中さながらの絆の深さを感じられたが、ライバルともなり得る“ヌヌ子”のような存在になる可能性は「絶対にない」と断言する。アーティストとモデル、別々のジャンルで活躍するからこそ「なんかずっとこのままでいたいよね」(久間田)、「ゆるゆるとね。お互いそんな意識だと思う。だから(相手を)すごいなって思える」(吉田)と互いへのリスペクトは途絶えない。そして、本作はそれぞれの仕事に嬉しい効果をもたらしていた。
吉田「音楽も映画も何かを表現するという点が似ています。今回“誰かになりきる”というものを毎日やっていたら、音楽活動でも表現が豊かになったんです。スタッフさんやファンの方から『感情が豊かになった』と言われるようになりました。葵は全身で物事を楽しむ女の子だったので、そこに影響されたんです」
久間田「私も凜音と同じなんですが、今回の撮影が終わってから、モデルとしての現場に行った時、カメラマンさんに『表現力が増えた』と言ってもらえて。『あ、女優やねんな。ポージングが女優やねんな』と(笑)。いじられてるのかもしれないんですけど、嬉しかったですね」
今後も女優業への意欲は高い。久間田は「全くジャンルが異なる役でも頑張りたいですし、見ていただく方に認められたい。『あの役はあの子だったから良かった』といつか言われるようになりたいな」と胸中を吐露。一方の吉田は「物語が完成している時点で、私のために役を作ってくれて、脚本に反映してくれるような女優さん。そういう方は、とても“求められている”人だと思うんです。(あてがきは)『はらはらなのか。』の時にも経験していますが、もっと年を重ねてから、もう1度やってみたい」と展望を明かした。
映画鑑賞を頻繁に行っているようで「印象的な作品は?」と質問すれば、話は止まらない。
吉田「『クワイエット・プレイス』はめちゃくちゃ泣きました。ホラー映画が大好きなんですけど、全身で飛びあがって驚いたのは、初めてだったかも。映画を見ると、すぐ泣いちゃうんですよね。『ジュラシック・ワールド』シリーズで泣きました。恐竜、死んじゃったって……。もちろん『カメラを止めるな!』も見てます!」
久間田「泣いてしまったのは『プーと大人になった僕』。最近は『君の名前で僕を呼んで』も見ました。ベスト1は、ダントツで『50回目のファーストキス』(福田雄一監督)なんです。なんでキュンキュンするのに、こんなに笑えるんだろうって思いました」
そして、興奮冷めやらぬトークは“再共演”の話題へと転じた。
吉田「『ちはやふる』のような“メンバー”でずっといる作品は?」
久間田「やりたい! めっちゃやりたい! 私はもっと年をとってから、会社の同僚役をやりたいかな。給湯室で社長の愚痴を言うようなやつ(笑)」
吉田「『下妻物語』が好きなので、そういうテイストのものもやってみたい! ずっと昔から言ってるんです。そのくらい『やりたい』と思える相方が欲しかった!」
タイトルが挙がったどの作品でも、2人が生き生きと芝居に興じるさまが容易に想像できる――このコンビが揃って新たなキャラクターに息吹を注ぐ日は、そう遠くはないだろう。
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