製作4年、構想45年超!?リュック・ベッソン、悲願企画「ヴァレリアン」の裏側を独占告白
2018年3月29日 10:00
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[映画.com ニュース]「レオン」「フィフス・エレメント」で知られるフランスの巨匠、リュック・ベッソン監督が、“ライフワーク”と言っても過言ではない悲願の映画「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」を完成させた。10歳で原作コミックと出合いすっかり魅了され、映画監督として次々とヒット作を生み出す間も、映像技術が原作に追いつく日を待ち構えていたというベッソン監督。「アバター(2009)」の現場を見学したことで「いける」と確信し、製作に着手してから約4年もの月日をかけ、一切の妥協なしにじっくりと作り上げた。映画.comは、来日したベッソン監督に単独インタビューを敢行。彼の言葉から、完成までのプロセスをひも解いていく。
西暦2740年、宇宙の平和を守る連邦捜査官コンビが、銀河の危機を救うために大冒険を繰り広げるさまを描く。「アメイジング・スパイダーマン2」のデイン・デハーンと「スーサイド・スクワッド」のカーラ・デルビーニュが、捜査官コンビを演じた。全世界の興行収入は、2億2500万ドルを突破している。
「まずは脚本だね。納得がいくまで、何回も改稿を重ねた」と口を開いたベッソン監督は、「脚本の執筆と並行して、世界中から10人のデザイナーを起用したんだ」と世界観の構築やキャラクターの開発に心血を注いだと語る。「1年目は脚本をデザイナーにまったく渡さなかった。お互い会うことも禁じたよ。彼らのコミュニケーションは私とだけと決めて、1週間に1度、スカイプで会話をした。なぜかというと、彼らの創造性を守りたかったから。余計な障壁なく、好きに作ってほしかったんだ。お願いしたのはたった一言、『舞台は25世紀、あとはご自由に』。デザイナーたちは好きにやってくれたよ。やれることにリミットがないからね」と独自のルールを設け、デザイナーたちを縛りつけるのではなく自由にアイデアを出せるような環境づくりに腐心した。
その後、「2年目になったら各デザイナーに脚本を見せて、あるいは私が、デザイナーから出てきたアイデアのどの部分を脚本に応用できるか考えていった」と明かすベッソン監督。宇宙中の異星人が集まる“宇宙ステーション”を舞台にした本作には、冒頭から末尾まで数え切れないほど多種多様な異星人が登場するが、「本作の全てのエイリアンには、それぞれに10ページ分の設定資料があるんだ。住んでいる場所、どんなものを食べるのか、故郷はどこか、どんな能力を持っているのか……といった具合にね。私たちは本当にやりすぎっていうくらいで、住所も決めていたんだよ。彼らの故郷の星は、本当に存在するものなんだ。だから望遠鏡を覗けば、彼らの住んでいる惑星を見つけられる。実際に住んでいるかは約束できないけれどね(笑)」と茶目っ気たっぷりに語りつつ、「エイリアンや宇宙船を含めて、ドローイングは8000枚用意した。1人ひとりのエイリアンをちゃんと見つめて、彼らのバックストーリーをきちんと考えておけば、セリフなんかなくてもリアルに存在している雰囲気は出るのさ」と“ものづくり論”までも披露した。
CGやVFXなどの技術的な部分に関しては、「私は『このカットを撮りたい。どうするかの解決は任せた』といったタイプなんだ。技術の方に入り込みすぎてしまうと、物語の感情面での道筋に気持ちが行かなくなってしまうんじゃないかと思うから。だからまず絵コンテを用意して、アニマティック(暫定的なアニメーション)を試しにやってもらった。大体その作業を6回繰り返してもらい、本番ではより良いものに仕上げていく。本作には2450枚エフェクトのカットがあるんだが、それの6倍分作業してもらっているよ」と満足いくまで何度も練り上げたという。数字を聞くだけで途方もない作業だが、それを可能にしたのは原作と共に歩んできた人生と、育ててきた愛があるからだろう。
ここまでプロセスについて多くを聞いてきたが、インタビュー中にベッソン監督が強調したのは「『エイリアン』という言葉には、“宇宙人”と“外国人”の両方の意味があるよね。そして、それらは“敵”じゃない」という言葉。本作に込めたメッセージもまた、多様性の尊さだ。「私たちが住んでいる惑星は2つとない星で、皆が同じ地球に住んでいて、全ての人間、あらゆる生き物もみな兄弟なんだ。宗教や肌の色がちょっと違うからといって起きる紛争、戦争はまったく理解できないよ。本当に馬鹿馬鹿しいと思う。アメリカの大統領が国境に壁を建てているなんて、人類が刻んできた歴史を全部忘れろと言われているような感じがしておかしなことだよ!」と語気を強めたベッソン監督は、「例えば君が私に赤色を渡してくれて、私が青色を渡す。そうしたら、2人とも赤と青の2つを持てるから、互いに豊かになれる。自分と違う人との出会いは豊かさとイコールなのに、なぜそのことが理解できないんだろうね」とテロや紛争がはびこる現状を憂う。
本作の冒頭では、人類と異星人たちの交流が“祝祭”として描かれており、ベッソン監督の平和への切なる願いを象徴しているようだ。物語全体を俯瞰(ふかん)してみても、こうした思いは作品の屋台骨として根幹を支えている。ベッソン監督は最後に、「本作には少なくとも20の国からスタッフが参加してくれた。サウンドエンジニアは日本の方で、デザイナーはブラジルの方。中国の方もニュージーランドの方も、フランスの方もいて、実際に多様性のある現場だったんだ。パスポートじゃなくて、才能で選んだ結果だよ。パスポートがいらない唯一の国、それが芸術だからね」と締めくくった。
「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」は、3月30日から全国公開。
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