「ダウンサイズ」アレクサンダー・ペイン監督、キーキャラクターはあの日本映画に着想
2018年2月13日 11:00

[映画.com ニュース]「サイドウェイ」「ファミリー・ツリー」でアカデミー賞脚色賞を受賞し、マット・デイモンと組んだ「ダウンサイズ」の公開が控えるアレクサンダー・ペイン監督が、作品の舞台裏や日本への愛情について語った。
よりよい生活を送りたいと願う平凡な男ポール(デイモン)が、妻と共に人類を14分の1に縮小する“ダウンサイズ”計画に参加し、予想外の出来事に巻き込まれていくなかで、“本当の幸せとは何か”という問いと向き合っていく。「LIFE!」「ゴーストバスターズ」のクリステン・ウィグ、「イングロリアス・バスターズ」「007 スペクター」のオスカー俳優クリストフ・ワルツらが脇を固める。
ハリウッドを代表する作家肌の監督の1人だが、これまで以上に大規模な予算を必要とする本作の資金繰りには苦労したという。「僕が作ったのは6本の長編映画というだけで、1億ドルを超える予算の長編を撮ったわけじゃない。そこそこのヒットはできたかもしれないが、巨大なヒット作は作っていない。これまでの映画の予算をはるかに超える本作のような映画を作りたかったら、今までの映画の何倍も稼がなくちゃいけないんだ。私はこの映画のアイデアがすごく面白いと思って、さまざまな国で撮影したかった。それからビジュアル・エフェクトが映画にもたらすような効果がほしかったんだ。そうしたことがどんどん予算を膨らましていった」。
本作のプロジェクトは遅々として進まず、「この映画が作れるようになる良い機会が訪れるまで持ちこたえることにしよう、と考えた。その間に、2本の長編映画を撮ったよ」というペイン監督。「本作は、私の最初の6本の映画の要素の多くが詰まっている」と総括し、本作が自身にとって念願の企画だったことをうかがわせる。本作では共同脚本も手がけており、「今現在アメリカで、40代で“普通の男”を演じるには最も近い」という理由からデイモンに半ば“あて書き”したほか、日本映画にインスピレーションを受けて、キーキャラクターのノク・ラン(ホン・チャウ)を生み出したという。
ランは、足が不自由ながら貧しい人々を助けて回る、献身性あふれる女性。ランをユーモアたっぷりに演じたチャウは、第75回ゴールデングローブ賞の助演女優賞にノミネートされるなど話題を集めた。ペイン監督は、「“助けが必要な人々をぜひ助けたい”と思っている彼女のキャラクターのインスピレーションは、黒澤明監督の『赤ひげ』なんだ。黒沢監督と三船敏郎さんの最後のコラボレーションで、僕の大好きな映画の1つだ。あの映画は思いやりを描いているからね。そしてホン・チャウが彼女を演じたからこそ、キャラクターも女優も、映画の話題をさらった。彼女はある意味、映画の、鼓動を打つ心臓のようになったんだ」と明かす。
ペイン監督の日本愛は止まらず、「他には、成瀬巳喜男監督の『妻よ薔薇のやうに』、五社英雄監督の『御用金』『鬼龍院花子の生涯』かな。最後の2作は、とにかく仲代達矢さんの演技が光っていた。日本へ行く際は、毎回小津安二郎監督と黒澤明監督のお墓参りに行くようにしているんだよ。この2人のお墓はそんなに離れていないんだ」と語る。「1930~1980年代の日本映画からは多くを学んできたし、もちろん見ていない作品もたくさんあるから、自分が死ぬまで学ばせてもらうつもりだよ」と意気込んだ。
「ダウンサイズ」は、3月2日から全国公開。
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