赤ひげ

ALLTIME BEST

劇場公開日:1965年4月3日

解説・あらすじ

原作は山本周五郎の「赤ひげ診療譚」。江戸時代の小石川養生所を舞台に、そこを訪れる庶民の人生模様と通称赤ひげと呼ばれる所長と青年医師の心の交流を描く。長崎で医学を学んだ青年保本は、医師見習いとして小石川養生所に住み込む。養生所の貧乏臭さやひげを生やした無骨な所長赤ひげに反発する保本は、養生所の禁を犯して破門されることすら望んでいた。しかし、赤ひげの診断と医療技術の確かさに触れ、また彼を頼る貧乏人に黙々と治療を施すその姿に次第に心を動かされていった……。

1965年製作/185分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1965年4月3日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第26回 ベネチア国際映画祭(1965年)

受賞

ボルピ杯(最優秀男優賞) 三船敏郎
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映画レビュー

4.5 天才黒澤明が本気で作った骨太の「お涙頂戴」の凄さに圧倒されまくる!

2026年4月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

幸せ

癒される

このレビューを書いている現時点で自分にとっての生涯ベストワンの映画は黒澤明の『七人の侍』である。

ちなみに正直に生涯ベストスリーまで挙げろと言われると2位が『用心棒』で3位が『隠し砦の三悪人』となる。
さすがにベストスリー全てが黒澤作品というのはやり過ぎというか、いかがなものかと思うので(笑)、映画.comの生涯ベスト5では別の作品を挙げている。

そのくらい自分は黒澤明のモノクロ時代劇を愛している人間なのだけれど、今まで本作をずっと敬遠していた。

「時代劇と言ったらやっぱり痛快アクションでしょ!お涙頂戴の人情話なんてかったるくて観てらんないよ」という精神年齢の低いオタク野郎だったからである(笑)。
…って言うか、そういうスタンスは今でも基本的に変わってない気がする(笑)。

本作を敬遠したのは、若い頃『用心棒』を観てメチャクチャ興奮した後に『椿三十郎』を観てちょっと肩すかしを食ったせいもある。
『椿三十郎』はラストの壮絶な立ち合いで世界のアクション映画史上に名を残す作品となったけれど、山本周五郎のチャンバラなしの小説がベースとなっていて、全体に春風駘蕩というのか、ほんわかとしたムードが漂っている。

その頃の自分は「座頭市」や「子連れ狼」みたいな殺伐としたアクション時代劇にハマっていたため、『椿三十郎』のほんわかとしたところに不満があって、それ以降山本周五郎という名前を見ると警戒するようになってしまったのである(笑)。
若気の至りというヤツである(笑)。
…って言うか、そういうスタンスは今でも基本的に変わってない気がする(しつこい)。

そんな成長しない自分もいつの頃からか、ちょっとずつ山本周五郎の小説を読んだりするようになり、市井の人々の日々の暮らしを描く人情話の本当の凄さというのを感じるようになってきている。

人の心を動かすような人情話を生み出すには人間に対する深い洞察力が必要だと思うのだけど、そんな洞察力は安易に性善説などに頼っても得ることはできない気がする。

人間のミもフタもない醜悪さ、残酷さを真っ正面から見つめる冷徹な観察眼と、それでもなおギリギリのところで人間の真心を信じるような温かい優しさの両方がなくては優れた人情話というのは生まれてこないのではないだろうか。
本作の原作である「赤ひげ診療譚」を書いた山本周五郎はそんな冷徹さと優しさの両方を兼ね備えた作家だったと思う。

本作は、人間に対する深い洞察力を持つ山本周五郎の原作、映画の天才黒澤明のモノクロ時代のテンポの良い隙のない演出、日本の映画界でもトップクラスの俳優陣による迫力ある演技が組み合わさった、ほとんど完璧と言ってもいいような人情話の傑作である。

銀幕の大スター、ジョン・ウェインはどんな役を演じてもジョン・ウェインだと言われたけれど、日本が誇る銀幕の大スター三船敏郎もどんな役を演じてもほぼ三船敏郎であり、本作の赤ひげ先生もどこを切っても金太郎飴のように三船敏郎である(笑)。
決して貶しているのではなく賞賛しているのである。
三船敏郎のブレない演技があればこそ、赤ひげ先生が医師としても人間としても信頼できる人物だということが観客にはっきり伝わってくるのだ。
この盤石の安心感は、三船敏郎の大スターとしての風格もさることながら、黒澤明と三船敏郎の間に長い時間をかけて育まれた信頼関係があるからだという気がする。

若き医師、保本登を演じる加山雄三は撮影当時26、27歳くらい。
Wikipediaによれば本作に参加している間は当時大人気の「若大将シリーズ」の制作は見送られたそうで、それだけ気合を入れて撮影に臨んだだけのことはあり、保本登が小石川養生所で悪戦苦闘し、悩み苦しみながらも成長していく姿から目が離せなくなる。

そして、何と言っても養生所の患者たちの凄まじいまでのドロドロの人間ドラマ!
座敷牢の狂女(香川京子)、蒔絵師の六助(藤原鎌足)、車大工の佐八(山﨑努)、女郎屋に拾われた十二歳のおとよ(二木てるみ)、盗みを繰り返す七歳の長次(頭師佳孝)、いずれのエピソードも強烈な印象を残す。

特に自分は七歳の長次のエピソードで涙腺が決壊しそうになってしまった。
年のせいか子供が辛い目に遭う物語というのに弱くて、ひどい境遇に置かれているのに精一杯気丈にふるまう子供とか見せられると、もうウルウルしてしまうのである。

普通は「お涙頂戴」というと安っぽくてあざとい感動ポルノみたいなものを指すのだけれど、本作は黒澤明が本気で作った骨太の「お涙頂戴」であり、その凄さに圧倒されまくる!
ある意味では凡百のアクション時代劇なんかよりもよっぽど壮絶なドラマだと言える。

ずっと本作を敬遠していた自分が言うのもなんだけれど(笑)、感動ポルノなんていう言葉が生まれてしまう世知辛い今の時代だからこそ多くの人に観てもらいたい熱い人間讃歌である。

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共感した! 7件)
盟吉津堂

5.0 名作でした

2026年2月13日
スマートフォンから投稿

信念のある行動が感情を動かし行動変容をさせていく、素敵な映画でした。
照れた時とか嬉しい時に感情を隠しきれずヒゲを触る赤ひげがかわいかったです。

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dd2e07

3.5 そんな大根の使い方

2026年2月7日
iPhoneアプリから投稿

三船には乱闘は欠かせぬものか。医者にも関わらずばったばったと成敗する。娯楽要素多し。様々なエピソードが続くオムニバスのようであり、それだけにキャストも豊富。世知辛い世の中を、三船は父が如くそびえ、加山は息子のように苦労する。ヒューマンドラマである。三船に好物を取り上げられる殿様、千葉信男の顔がいい。

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Kj

4.0 眼光鋭い三船敏郎

2026年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

三船敏郎扮する小石川養生所医師新出去定は赤ひげと呼ばれていた。そこへ加山雄三扮する保本登が見学にやって来た。

やっぱり三船敏郎の眼光は鋭いね。それに引き換え保本登はわがままぼんぼんだな。死にそうにならないと恭順しないとはね。

貧困と無知が世の中を悪くしているとな。人間の一生の中で臨終ほど荘厳なものはないとも言った。なかなか趣深いね。患者のドラマにひとつひとつ付き合っていく。並大抵の覚悟では出来ないね。

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重