杉咲花に日本映画批評家大賞助演女優賞!「精一杯のものを出し切ることができた」
2017年5月16日 23:25
[映画.com ニュース] 第26回日本映画批評家大賞の授賞式が5月16日、東京・池袋の東京芸術劇場で行われ、「続・深夜食堂」で主演男優賞を受賞した小林薫、「聖の青春」で助演男優賞を受賞した東出昌大、「湯を沸かすほどの熱い愛」で助演女優賞を受賞した杉咲花、「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」で新人賞(小森和子賞)を受賞した高畑充希らが出席した。
作品賞に輝いた「湯を沸かすほどの熱い愛」は、中野量太監督が監督賞、宮沢りえが主演女優賞、杉咲が助演女優賞を獲得し4冠を達成した。今作で、第40回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞をはじめ数々の賞を受賞してきた杉咲は、「反省もいくつもあったが、あの時の自分にできる精一杯のものを出し切ることができた。それは映画に携わって下さったたくさんの方々のおかげ」と関係者に感謝。中野監督の「見せる演技じゃなくて見える演技になって欲しい」という言葉で、母親役の宮沢と撮影外でも関係を築けたと明かした。
また、3年前に「チチを撮りに」で同賞の新人監督賞を受賞している中野監督は、「今回は主演女優賞の宮沢りえさん、助演女優賞の花と一緒にこの賞を受賞できたことが何より嬉しい」と歓喜。出席がかなわなかった宮沢からは、「撮影からだいぶ月日が経ちましたが、『湯を沸かすほどの熱い愛』が起こした波紋はいつまでも続いているんだなとこの賞を通して感じることができて、すごく嬉しいですし、とても光栄に思います」「この作品がいつまでも色あせることなく、生き続けてくれるといいなと思っています」とコメントが届き、代読された。
深夜ドラマが人気を博し映画化されたシリーズの第2作「続・深夜食堂」で主演男優賞を受賞した小林は、セリフの少なさから「小林でいいのか、という声が聞こえてきそう」と苦笑い。それでも、「批評家の先生方は『事件を起こした人だけではなく、傍観者、立ち会った側にもドラマはある』ということをお示しになったのではと思い直しまして、堂々と受け取ることにしました」と誇らしげにトロフィーを掲げた。
難病のため29歳でこの世を去った棋士・村山聖さんの生きざまを描いた「聖の青春」で、現役棋士の羽生善治名人を演じ、助演男優賞を獲得した東出は、NHK連続ドラマ小説「ごちそうさん」で兄妹を演じた高畑と同じ授賞式に出席していることに感慨深げな表情を見せた。「こういう栄誉ある賞をいただけると、自分が何者かになれたんじゃないか、なってしまったんじゃないかという危機感も抱くが、本当にあの頃は何者でもなかったし、実際のところ今でも何者でもないんだと思う」と真摯に語り、「謙虚な気持ちと感謝の気持ちを持って、おごりを持たず進めればと思います。映画の現場が大好きです」と決意を新たにしていた。
「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」にダブル主演した高畑と岩田剛典は、そろって新人賞を受賞。受賞理由で「主人公のかわいらしさと弱さはもちろん、腹黒さも見事に見せた」と評された高畑は、「初主演の映画ですごく大切な1本。人生で1度の初主演が、この作品で良かった」「これからも輝けるように、そして腹黒く頑張っていきたいと思います」と茶目っ気たっぷりに挨拶し、会場の笑いを誘っていた。出席がかなわなかった岩田は、「この賞に見合う表現者に成長していけるよう、精一杯まい進していきたい」とビデオでメッセージを寄せた。