池松壮亮、可能性を模索し続ける人気俳優が醸し出す魅力
2016年3月3日 17:00
[映画.com ニュース] 熱を帯びずに続く不倫関係――新鋭・三浦大輔監督渾身の舞台を、映像配信サービスdTVがオリジナルドラマ「裏切りの街」として映像化した。唯一無二の存在感を放つ人気若手俳優・池松壮亮が、女優の寺島しのぶを相手に堕落したフリーターを演じきった。
今作が映像配信サービスのオリジナルドラマであることについて、「現場はひょっとしたら映画よりもいいんじゃないかという環境でやらせてもらえた」と率直に話す。「表現ということに関してもすごく自由にやらせてもらえた。現場にいるときの熱量も、(撮影が)終わった後の愛情も変わらないです。思う存分三浦組としてやれたので、すごく自信を持っていますし、幸せな思いをさせてもらった」。
映画「愛の渦」(2013)、舞台「母に欲す」(14)に続き、3年連続の三浦監督作品出演となった池松は、「単純に三浦さんの作品が好き。三浦監督が舞台をやってきたなかでの代表作を、一緒に映像化できたのはすごく嬉しい」と笑みを浮かべる。ミューズの座は「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(09)に出演した峯田和伸にあると少し悔しそうに話し、「若い役、20代の役となるといないので(笑)」と野心をのぞかせた。
ドラマは、フリーターの菅原(池松)と専業主婦の橋本(寺島)が、明確な愛や目的もないまま禁断の関係に堕ちていくさまを描いた。舞台版とは違う結末を気に入っているといい、「見ている側にもう一歩踏み込んでくるような、どこか身につまされて、『ひょっとして自分たちもこうなんじゃないか?』となんとなく思わせられる」とリアルさに言及。ゆえに、役作りも「ひたすらその作品と向き合っているという時間も役を作る。『裏切りの街』に思いを馳せる時間が全部役作りでした」と振り返る。
三浦監督が描いた菅原という人物を「一歩引いて見たらどうしようもない奴」と分析しつつも、「それが三浦さんの作品のキャラクター像」と納得の表情。「人たらしな部分が無いといけない。誰しもが持っている愚かさや醜さ、人間が本来持っているものをえぐり取って、その奥にある人間のはかない部分や美しい部分を浮き彫りにするのが、三浦さんの得意とする技。それはずっと一貫してやってきたこと」と敬意を示す。さらに、今後も三浦監督との仕事は「確実にやる」と断言し、「三浦さんがここだと思って声をかけてくれたときに、全身全霊でいける準備はしておきたい」と背筋を伸ばした。
一方で、共演の寺島にも「素晴らしかったです。凄みをまじまじと感じました。何でもないシーンでさらっとすごいことやられていました」と最敬礼。「日々苦労をともにした。三浦さんは強敵なので、なかなか納得してくれない。それを何とかお互いを持ち上げながらやったという感じ。相手が寺島さんじゃなかったら引き出されなかった部分を、根こそぎ引き出されたと思うし、もらったものはすごく大きい」と感謝は尽きない。
「僕自身も人(相手)が変われば新しい僕の顔を見られると思っている」と語る池松は、寺島との共演作で2月に封切られた「シェル・コレクター」をはじめ、今年公開の映画だけで「無伴奏」「ディストラクション・ベイビーズ」「海よりもまだ深く」「セトウツミ」「だれかの木琴」「デスノート 2016」と7作品に出演している、まさに“売れっ子”俳優。今後のキャリアプランを聞くと、驚くほど正直な答えが返ってきた。
「僕も探しているんです。やりたいというよりも、どういう役をやるべきか。今までのことを壊しにかかる時期に入っているのか、それを踏まえて新しいことをしようとしているのか。でも常に新しいことを目指しているつもりではあります」。その真摯な表情から、底知れぬ可能性と魅力が垣間見えた。
「裏切りの街」(全6話)は、dTVオリジナル作品初のR15指定ドラマ。dTVで独占配信中。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
犯罪が起きない町で、殺人事件が起きた――
【衝撃のAIサスペンス】映画ファンに熱烈にオススメ…睡眠時間を削ってでも、観てほしい
提供:hulu
映画料金が500円になる“裏ワザ”
【知らないと損】「映画は富裕層の娯楽」と思う、あなただけに教えます…期間限定の最強キャンペーン中!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
【史上最高と激賞】人生ベストを更新し得る異次元の一作 “究極・極限・極上”の映画体験
提供:東和ピクチャーズ
予想以上に面白い!スルー厳禁!
【“新傑作”爆誕!】観た人みんな楽しめる…映画ファンへの、ちょっと早いプレゼント的な超良作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。