セトウツミ
劇場公開日 2016年7月2日
解説
池松壮亮と菅田将暉のダブル主演で、此元和津也の人気漫画「セトウツミ」を実写映画化。原作は、関西弁の男子高校生2人が放課後にまったりとしゃべるだけというシンプルな内容で、2人の繰り広げるシニカルな会話劇の面白さで人気のコミック。「まほろ駅前多田便利軒」「さよなら渓谷」の大森立嗣監督がメガホンをとり、塾通いの日々を送るクールな内海を池松が、天然で元サッカー部員の瀬戸を菅田が演じる。その他、ヒロインの女子高生・樫村役に「ライチ☆光クラブ」などに出演するモデルの中条あやみが扮している。
2016年製作/75分/G/日本
配給:ブロードメディア・スタジオ
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2022年4月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
帝一の國の菅田将暉×ちょっと思い出しただけの池松壮亮という、クリープハイプに縁のある2人の映画。短くて面白い映画を探そうと思い、鑑賞。そんなに期待していなかったけど、超超面白かったです!!笑
ただ男子高校生が放課後の暇な時間に会話するだけの映画。一見何がおもろいんだって感じだけど、流石だった。菅田将暉と池松壮亮の芸人顔負けのトーク力にめちゃくちゃ笑える。腹がよじれるほど笑える。2人だからこそ面白くなったんだろうな。息がピッタリで高校生にしか見えない。天才です。
セリフの一つ一つがほんと笑えるし、何個かにエピソード分けされているのも見やすくて最高。この感じだったらドラマの方がいいじゃんと思っていたら、いい具合に話がつながっていて、ちゃんとひとつの映画として完成されている。でも、ドラマで見たい。ずっと見ていたい。大森監督、見直しましたぞ。
2人の周りの人物も非常に良くて、どのシーンも愛おしい。中条あやみがどの映画よりも美しく見えたのは何故だろうか。岡山天音が魅力的に見えたのは何故だろうか。2人の会話だけではなく、それ以外にも見所が沢山あったため、全くもって飽きずに最後まで見れました。絶妙だなぁ。
映画って2時間絶対に必要だからなかなか見ようと思えないんだよねぇ〜。という方はぜひこの作品を。何も考えずに大笑いできますから。
2022年4月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
川辺の階段で、主人公である二人の高校生・瀬戸と内海(菅田将暉、池松壮亮)が他愛のない会話をして過ごす。ただそれだけの物語であるが、全編を通して、心温まる、穏やかな気持ちになれる作品である。
川辺の階段の向こう側には道路があり、行き交う自動車、足早に通り過ぎて行く通行人が映し出される。現代生活そのものである。本作は、そんな気忙しい現代生活を舞台背景にした二人芝居といった趣がある。背景の気忙しい現代生活を尻目に、二人は、自分達の時間間隔で、シリアスなもの、青春の定番である恋愛などの様々なテーマで会話をしていく。
肩の力を抜いた、のんびりとはしているが、時折核心をついた、二人のやり取りが絶妙。急の背景に緩の会話が際立っている。時間がゆっくりと流れていて、忙しない毎日から開放された気分になれる。二人の若手男優の演技力の賜物である。
二人の服装の変化で、春夏秋冬、季節の変化が表現され、ゆっくりと感じられても時間は確実に過ぎ去っていることを告げている。二人の会話=青春は永遠でないことを暗示している。青春を象徴しているような哀切感溢れる音楽も効果的。
ラスト近くで、内海のことを好きな同級生・樫村一期(中条あやみ)が呟く一期一会という言葉が印象深い。人生に一度だけしかない青春を偶然知り合った友達と語り合って過ごす。目的もなく、結論もなく、ただ語り合う。そんな時が人生には必要なのかもしれない。二人を観ているとそう思えてくる。
脚本、カメラワーク、出演者の演技力が優れていれば、それだけで十分。大仕掛けなんかなくても、観客の気持ちをしっかりと掴むことができる。そんな問題提起をしてくれる作品である。
2022年3月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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此元和津也による原作は、私史上一番好きな漫画です。何度読み返してもめちゃくちゃ笑います。言葉が見事なのはわかるんですが、それだけでなく台詞と台詞の間の時間の流れまですべて練られているような印象を受けます。
とは言えそちらを褒める場ではないですね。映画ですが、原作の方が面白かった。
やはり俳優がセトとウツミになりきれなかったところでしょう。どんな作品でもそうなんですが、セトウツミは特殊すぎた。普通の作品は物語に一貫するテーマや見せたいものがあって、そのために演者から衣装、場面、音楽、背景、全てを使ってそのテーマを訴えかけます。漫画原作を実写化すると演者の見てくれは絵から実在の人へ変わりますが、別の素材で同じテーマを訴えかけているだけなので、同じタイトル同じ物語をまた別の素材で見られる楽しみがありますね。
しかしセトウツミは、この二人のキャラと関係性とやり取りと、つまりこの二人が見せたい全てなんですね。そして見せ方において、原作は非常に完成されていました。だからどこをどう変えても難しい、もっというと音楽すら余計な気がしてしまいました。多分これ、アニメ化でもうまくいかないと思います。町田康さんの小説が小説でしかあり得ないように、セトウツミもまた漫画でしかあり得ない。基本的にとある人間ドラマを描写したものは、小説と漫画と映像と互換性があるのでしょうが 、その表現を極めて個性になっているものについては互換が難しくなるのでしょう。
それからウツミの一々長い台詞、読むのに精一杯という感じでしたね。声に出して読み上げるとこんなにくどいのかと驚きました。では原作ではどうだったか思い出してみると、ウツミの(セトもだが)台詞中は、時間の流れが止まっていたように思う。歩きながら喋っているはずの台詞、例えばスロベニア~なんかも漫画では、絡んでくる同級生に一言で切り捨てるように言い放っているような表現です。その意味で現実における時空を超越して編集された漫画という媒体の極致における作品だったと、改めて気づかされる思いです。
けどこの傑作の映像化に挑んだのは素晴らしいし、私も観ていて寒いとかは全然なくて、ずっと楽しかった。観ていて楽しいなら、いい映画です。
2021年10月21日
iPhoneアプリから投稿
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