坂本龍一、海老蔵主演「一命」音楽手がけ再びカンヌへ
2011年4月15日 06:00
[映画.com ニュース] 音楽家の坂本龍一が、市川海老蔵の主演映画「一命」の音楽を担当していることがわかった。同作は、5月11日に開幕する第64回カンヌ映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが発表されたばかり。坂本の手がけた重厚な音楽が、武士の誇りと家族愛を描いた同作をパルムドール(最高賞)へと導く。
坂本とカンヌ映画祭の“縁”は、1983年にまでさかのぼる。第36回のコンペ部門に出品された大島渚監督作「戦場のメリークリスマス」に出演するとともに、音楽も担当。このとき、同所でベルナルド・ベルトルッチ監督と出会い、87年の「ラストエンペラー」への布石となる。デビッド・バーン、コン・スーとともに音楽を担当。日本人としては初のアカデミー賞オリジナル作曲賞に輝き、映画音楽家としての地位を不動のものとした。
その後、大島監督の13年ぶりのメガホンとなる「御法度」の音楽を制作し、カンヌ映画祭に出品。くしくも同作ではビートたけし(北野武)が主演を務めており、「戦場のメリークリスマス」以来となるトリオ復活となった。今回の「一命」は、坂本にとってフランソワ・ジラール監督作「シルク」(08)以来、約3年ぶりに映画音楽を手がけることになる。
「一命」は、世界3大映画祭(カンヌ、ベネチア、ベルリン)のコンペ部門では、実写版として初めて3D作品での選出。またカンヌ映画祭では、コンペ部門で初の3D上映となる。滝口康彦が1958年に発表した「異聞浪人記」が原作。62年には、仲代達矢が主演した不朽の名作「切腹」として映画化され、63年のカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞したというめぐり合わせもある。
海老蔵のほか、瑛太、満島ひかり、役所広司という日本映画界を代表する面々が結集。貧しくても愛する人とともに生きることを願い、武家社会に立ち向かったふたりの侍の生きざまを、世界がどのように受け止めるのか目が離せない。
「一命」は、10月から全国で公開。