さがすのレビュー・感想・評価
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口の中が渇いた感覚のする作品
観終えた時に、口の中が異様に渇いた感覚のする作品でした。
佐藤二朗扮する父と伊東蒼扮する娘という父娘の物語ですが、2017年に座間市で起きた猟奇的連続殺人事件をモチーフにしながらも、強欲と傲慢、嫉妬と憤怒、色欲と怠惰、そして絶望と諦観という人間のダークサイドの感情によって齎される悲喜劇を描いている、といえます。
前半の社会ドラマ風ミステリードラマは、専ら娘の視点で描かれます。舞台となる大阪西成の土着的文化風俗の爛れた臭いを漂わせながらも、大阪らしいボケツッコミを間良く織り込んでテンポよく展開します。観客に不安感を煽った後にブレイクを誘い、巧妙にテンションを操り、情感と緊張の間で一種のトランス状態に浮遊させて、猶も探求心をそそるという上手いシナリオです。
ただ時制を遡る、後半の父親視点で描かれる殺人犯罪ドラマになると、情感は欠片もなくなり生々しい犯罪の客観描写に徹し、ひたすら畏怖感と嫌悪感が募るのみです。
台詞がない、又は殆どない、そして無論BGMなしでの長回しが頻繁に多用され、映像に深く重い余韻と息苦しいまでの重圧感を与えていきます。
特に後半は、ややローアングルでのカットが多いため、観客には余計に伸し掛かってくる、得体のしれない無気味な圧迫感を感じさせます。
父親、娘、そしてもう一人の若い男、主要な三人が挙って喜怒哀楽のない、殆ど無表情の演技で終始するのも鳥肌の立つ無気味さを煽ります。
ラストの父娘が卓球をするシーン、卓球台を挟んで打ち合う二人を、カメラはかなり引いた画面に収め、ほぼ無言で長回しするカットは、本作のシンボリックなシーンです。
親子といえども、その距離は目に見えながら、手が届かないほど遠く、実相は互いに計り知れない。見た目には、一定の心地良いリズムで機敏にラリーを続けながら、そこに通じるものはなく、ただ虚無空間が広がっているだけでした。
先の読めない展開が結実するラストが素晴らしい一作。
一見地味な印象を受けるポスターとタイトルだけど、全く先の読めない内容で最後まで目を離すことのできない作品でした。
話も巧みですが、特に中盤に驚くほどスリリングな場面もあり、全編にわたって緊迫感も十分詰まっています。日本の、しかも大阪じゃないと撮れないよ!と思わせてくれるチェイスシーンは本当に見事で、今までこんな撮影をした監督はいなかったんじゃないかな…。
間違いなくここ数年公開された日本映画の中でも傑作の部類に入る作品なんですが、いくつか実際の事件に基づいたと思われる要素が含められていて、しかもその凄惨さをあえてむき出しにしている場面もあるため、無条件に万人におすすめできないもどかしさもあります。
『空白』では、印象的だが出演時間としてはごくわずかだった伊藤蒼が、本作ではほぼ出ずっぱりの大熱演。こんなに演技巧者とは全く予想しておらず、ベテランの佐藤二朗に全くひけを取っていません。この二人の演技が結実するラストは、「ドラマチック」の一言では片付けられないほど見事かつ余韻を残すもので、このシーンを撮るためにどれだけテイクを積み重ねたんだろう、と嘆息せずにはいられません。印象的なラストシーンとしては、現時点で今年一番です!
色々な複線があり…
母と娘の関係性
タイトルなし
早くも2022年のベスト映画
ネットで好評との情報を見て、何気なしに鑑賞した映画だったが、早くも2022年のベスト映画だと思う。
映画としては三章構成になっており、主人公の楓目線で始まる。
章が進むにつれて、佐藤二郎演じる”原田 智”への見方・目線が変わっていく。
ピンポン玉は何を表現しているのか、いろんな解釈がありそうで見た人と意見を交わしたくなる。
一人で見たし、周りに見そうな人がいないので、誰とも会話できなくて残念。
親が思うより子は賢い
面白かった。
卓球映画
一緒にへそフェチになろう
そっちか!
素晴らしいラスト
1回目 2022年1月22日
先の読めない脚本が秀逸でした。
これを、どう納めるんだろうと、
嫌ぁ~な終わり方はやめてって!願いながらの
このラストは、素晴らしくて悲しいような、
ホッとしたような、何とも言えない感情に涙が出ました。
尊厳死を絡めつつも、ただの快楽殺人な男とのやりとり、
これは、大阪弁だから、どこか喜劇要素が感じられて、
重過ぎず観れたのかも知れないなぁ…。
清水尋也が演じた男は、マジでヤバいもん。
妻の病気と貧困で、心の弱い男につけこむ心が壊れた男。
※この男がどうやって出来上がったのかは、少し知りたかったかも。
そんな弱い親でも、子どもは愛情を掛けて育てられたんだろうな。
そんな彼女の正義に救われました。
伊東蒼が素晴らし過ぎて、とても得した気分です。
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2回目 2022年3月6日
伊東蒼さんの演技を、もう一度観たくて…。
佐藤二郎さんや清水尋也さんを相手に、
全く引けを取らない、いや上を行ってんじゃないか?!
って思えるぐらい魅力的だな。
映画を観た!!という満足を得られる脚本と演出。
全体に暗いけど、
楓の未来は、明るいと感じるラストは秀逸だな。
後味が、、、
斜め上ゆく展開にドキドキ
失踪した父を探す中学生の少女。手がかりの日雇い現場に行くと父の名で働いていたのは全くの別人で…では父はどこに?と、利発な少女が小さな手がかりから行動していくが、役者の演技力で多少の都合の良さも気にならずぐいぐい引き込まれ、途中からは意外な展開でさらにそううまく行くのかなあと思いつつも最後まで押し切られる。
たとえるなら、「ゴーンガール」に似た印象(ストーリーは全然違うけど)
とにかく、主要人物三人の異様なリアリティと、とりまく脇もみな、いるかもあるかもと思わせる凄み。
間違いなく日本の今が舞台なのに、海外の映画のようなドライさがあり、面白かった。
細かい???はあるけど(原田家の家計、娘がなぜガラケー、ALSでもスマホ打てるの?自殺の姿の違い、いつからあのアカウントで接触してた?等々)ストーリー自体の瑕疵というほどではない。
彼女がさがしていたものは…
実際に起きたいくつかの事件をベースに作られているが、主軸はエンタメ的面白さが先行している。多面的な視点で事件の輪郭が次第に浮き上がってくる構成が、捉えようのない物語に上手く働き、見るものを飽きさせない。一方で家族の関係性や社会問題に関しては深く描かれることはないため、登場人物に感情移入する余地はない。しかし、重くエッジの効いた物語をここまで成立させているのは間違いなく俳優たちの演技力のたまもの。感情をむき出しにした佐藤二郎のとあるシーン、伊東蒼の等身大でひたむきな姿と強い意志、清水尋也の死んだような眼差しと狂気、森田望智に至ってはとても本人とは思えない。これは俳優が光る映画。卓球の玉を踏み潰すシーンやラストシーンにみられる映像表現の巧さにはしびれた。片山監督の今後がますます楽しみだ。
観客へ傷跡を残していく
父はなぜ消えたのか?
という文言が書かれているが、根本的にはそこが一番重要な部分ではない気がしている。
あくまでもそれは物語の縦軸であり奥行きを生み出しているのは人の生死に対しての価値観。
他者の生きてほしいという思いと当人の死んでしまいたいという思い、何を尊重するべきなのか、それらの行いに付きまとう罪、そのメッセージこそ映画のテーマであり最も感じとるべき点なのかなと思った。
正直なぜ消えたのか?何があったのかという部分に関しては物語が進むにつれ明らかになっていくが、細かく詰められているという程ではなくまとまってはいるものの、そこ自体だけでいえばもっと見事でもっとカタルシスのある作品は少なくない。
ただこの作品に深みをもたらしているのは演者の技量は勿論のこと、我々受け手に対して行間でものを伝えるような丁寧なディレクションにあると思う。言葉だけでなく画面の中の描写で表現するようなシーンも多く、感受性へ訴えかけるような、観衆それぞれに解釈を委ね投げかけるような描き方にこそ特異性があるように感じた。
派手さこそ無いし謎が紐解かれていく気持ちよさがあるとも思わない。ただ見終わった後にまで記憶にこびりつく様な作品性を備えた映画だと思う。
見る人によって評価が極端に変わるかなぁ…。
今年41本目(合計314本目/今月(2022年2月度)13本目)。
ストーリーの筋自体はすでに多くの方が書かれているので大きなところは省略します。
PG12扱いですが、どちらかというとR15に近いところで、その中間点くらいにあると考えたほうが良いです(行為を想定できる表現、残酷な表現など)。
ミニシアター中心のランキングでは2位というとのことですが、そこまでは…という感じです。結局のところ、理由が何であろうと、悪い行為に手を染めた人は罰せられるという、ごく当然のことを描いた、に過ぎないからです。
一見すると、物語後半から登場する、ALSの患者さんへの描写もあるので、いわゆる「安楽死」の論点が絡んできているのかなとも思え、確かにそれを想定できるセリフも出てはきますが、結局のところ、その掘り下げは皆無に近く(ただ、作成協力にALS患者の会、のようなものは出る)、悪く言えば「ALS患者のように安楽死の対象にしやすい対象を物語に出した」ともいえます。ここは正直、「ちょっとまてまて」という人も出てくるのでは…と思います。
さて、さっそく採点に入りましょう。
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(減点0.3) ストーリー序盤、「懸賞金がかかっている怪しい人を見たから探して」という女子中学生(ストーリー上は、中学3年生っぽい。最後に高校受験の話をすることからわかる)に対して、大阪府警の各警察署が「いや、そんな証拠じゃ人なんてよこせない(派遣できない)」といってくるところです。
ここも程度問題で、例えば小学1年生の子が見たというなら、「記憶違いじゃないかな?」ともいえますが、小学1年生と中学3年生では当然、分別の理解にかなり差が出ます(そして、今年(令和4年)から、18歳で成人と民法は変わります)。すると、中学3年生の子の「言い分」を完全に全く無視する大阪府警の描写もどうなのか…というところです。
※ これに関しては、「実際に信じて現場に向かってしまうと映画が30分で終わってしまう」という問題があるため「仕方なし」ともいえますが、かといって、「大阪府警ってこんなに子供のいうことを信じないの?」と思われても困ってしまう。
(減点0.3) ALS患者の方にも当然、生きる権利はあります。そして、ALS患者の方を介護するのが本人(夫)であるなら生活が難しくなることもこれも当然で、当然、行政などに相談してちゃんとした対応をしてもらうべきものです(通常は生活保護費で対応するが、そもそも、難病の患者を夫とはいえ素人が見るのは最初から無理があるので、病院預かりにするのが普通)。この対応がないために「追い詰められた」という点はいなめず(刑を決めるにあたってある程度の考慮事項となりうる)、このことに対する一連のやり取りもないことから、取り方によっては「(地方)行政には地方税は納めてね、でも、何かあっても福祉サービス等は一切考えません」という「意地悪な自治体」が大阪府(←映画の大半は大阪府)なのだろうという取り方は可能です(実際、高齢者の比率が上がっていけば、どこもかしこも、近い未来にそうなるでしょう)。
(減点0.2) 物語中盤あたり。主人公(を誰に取るかは難しいですが、女子中学生の子としておきます)が、親が突然いなくなった時に、担当の先生がそれを心配して、「今日からここにしばらくお世話になると良いですよ」という紹介先は、どうみてもキリスト系の児童福祉施設。
ただ、理由が何であろうと信仰の自由は保障されるので、「親がいない等で児童福祉施設に預けられた子は、その施設の宗教に染まらなきゃいけない」というようなことになると、憲法との関係で間接的にまずいです。
※ 映画内では、「そんなところ探しているんじゃない」って断ってしまうだけでそれ以外の描写は出ませんが、こういう児童福祉施設は、宗教等に関してはできるだけ避けて中立であることが望まれるものです。
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見応えありました。
演出があざと過ぎる
「岬の兄妹」で期待が高かったのかもしれない。演出がまずあざとくて鼻につく。父親の探すビラぶちまけて携帯電話のヨリ???妻が死んで骨を持って歩くシーンの雨なのに傘ささない?島の爺さんの趣味エロビテオ?そしてそこで性癖に目覚める?何なんだ???シスターと会うシーン偶然すぎるでしょ??すべての演出、シナリオが鼻につく。ヒューマンミステリーにしたいなら、警察描写勉強してからにしたほうが良い。ベルトに指紋つくでしょ??青年や殺した女のスマホ調べるだろう。スマホ海に投げるとかやってるけど、それだけ???
青年に協力する動機がわからない。金目当てっぽくなってるけど、それならそれで人物演出しないと駄目だと思う。娘の父親を疑うきっかけとかないの?いきなり気づいてるし。ラストはなかなか良かったでしょって言いたいだけの映画だった。もっとシナリオ練ればいい作品になったと思う。「岬の兄妹」もツッコミどころはあったが見終わっまたあと何も気にならないぐらいシナリオや演技が良かったのに。とにかくシナリオが、ミステリーにもサスペンスにもヒューマンにもなれない中途半端な作品。だから演出が鼻に付くのかもしれない。
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