さがす

劇場公開日:

さがす

解説

「岬の兄妹」の片山慎三監督が佐藤二朗を主演に迎え、姿を消した父親と、必死に父を捜す娘の姿を描いたヒューマンサスペンス。大阪の下町に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」と言う智の言葉を、楓はいつもの冗談だと聞き流していた。しかし、その翌朝、智が忽然と姿を消す。警察からも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にされない中、必死に父親の行方を捜す楓。やがて、とある日雇い現場の作業員に父の名前を見つけた楓だったが、その人物は父とは違う、まったく知らない若い男だった。失意に沈む中、無造作に貼りだされていた連続殺人犯の指名手配チラシが目に入った楓。そこには、日雇い現場で出会った、あの若い男の顔があった。智役を佐藤が、「湯を沸かすほどの熱い愛」「空白」の伊東蒼が楓役を演じるほか、清水尋也、森田望智らが顔をそろえる。

2022年製作/123分/PG12/日本
配給:アスミック・エース
劇場公開日:2022年1月21日

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映画レビュー

4.5いつも違う佐藤二朗氏の芝居を堪能できるハードな人間ドラマ

2022年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

駄目父役の原田(佐藤二朗)が理由もなく姿を消し、その娘・楓(伊東蒼)が必死にその行方を捜す。観客も娘と同じ視点で「さがす」ドラマを体験し、徐々に原田のバックボーンや姿を消した理由を目撃することになります。実在の事件を思わせる重くハードな描写を交えながら、予定調和におちいらない魅力的な物語が展開され、前知識をいれないで見ることをお勧めします。
テレビや普段の映画とは違った佐藤二朗氏のシリアス演技と、いつもと違った文脈で炸裂するユーモア節の両方が堪能できます。共演陣も皆素晴らしく、終盤で強烈なキャラクターとして登場するムクドリ役の森田望智氏の演技が特に心に残りました。

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五所光太郎(アニメハック編集部)

3.5得られたもの

2023年9月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

難しい

かなり壮絶なストーリーの割に最後に得られたものを考えると寂しくなります。
当初は、どうしようもない父が、懸賞のついた犯人を探しに行って行方不明になったのを娘がさがすだけのストーリーを想定していましたが、話は予想外な方向に進むのはびっくりでした。
それ以外は、暗く壮絶な内容のためあまり評価は高くつけれなかったです。
そしてラストの描写は、卓球のピンポンの音が虚しさを強調し、見ている私にインパクトを残しました。

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たけお

5.0すべてがハッキリと解明されないのがまた、気持ちいい

2023年8月25日
PCから投稿

R12だけど、大丈夫?R15くらいにした方が…と心配になるくらいには目を覆いたいなるような衝撃シーンが多い。メンタル的にもR15にするべきでは…
かくゆう私は、鑑賞してその夜寝れなくなったというはじめての体験をした。

色んな台詞、映像が頭の中にこびりついて、ずっと脳内が静かに興奮してる。
なので、安眠(整理)するためにも纏めている。

予告でもあった殺人犯と楓の対決が、プロローグに過ぎなかった事に旋律を覚えた。
予告編での「殺したんか」
てっきり中盤かラストの方かと思ってたら………
まさかこんな地獄絵図を魅せられとは

すべての謎が、ハッキリと解き明かされてないのがまた、気持ちいい。
語り過ぎないのがまた気持ち悪くて気持ちいい。

もう一度観たら、少しは解明されるものもあるかもしれない(解明されなくても良い)

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ふゆた

5.0骨太な見応え

2023年8月25日
PCから投稿

韓国ノワールや李相日もどきが日本映画のトレンドになっているので猫も杓子もみんなそういうのをつくるからこれもそういうのだと思っていたが違った。はきだめな雰囲気と座間の事件からもってきたぽいサイコ野郎とスリリングなミステリー。佐藤二朗も伊東蒼も清水尋也も森田望智もぐいぐいきた。

たとえば瀬々敬久監督や白石和彌監督なんかのふつうの日本映画だとシリアスムードへもっていくだけはもっていく。が、スリリングにはできない。この映画は途中から倒叙になり、しっかりとした謎解きをやって面白がらせる。かえりみて面白いという尺度で見ることができた超めずらしい日本映画だった。

はじめから泥臭い底辺のムードに気圧される。すてきかすてきでないかといえばすてきでない。
映画というものはときとしてわたしの出自をわすれさせるための幻影だ。きれいなものを見てじぶんが日本にすむ日本人であることを束の間忘れたいがための映画なのだ──という見地がないわけではない。そういうことを映画に求めるとき、じぶんの生活環境と五十歩百歩なはきだめが描かれる映画に食指が動かないのは当然だ。なんで日本映画というものは揃いも揃ってこうまで鬱陶しいのか。さんざん嫌な目に遭っている日常に、なんで映画の中でまで遭わなきゃならないのか。いったい誰がそんなの見るの。・・・。

片山慎三監督を知らなかったので「さがす」は営々といつもの日本映画をつくりだす瀬々敬久や白石和彌や大森立嗣や熊切和嘉や阪本順治などなどのシリアス演歌と同じなのかと思っていたが違った。演出がうまい。吉田恵輔のヒメアノ~ルを見たときの感じと似ている。

日本のクリエイターはたいがい不幸自慢型だと思う。日本のYouTuberがもっともよく使う釣り言葉は“ぎりぎり”や“がけっぷち”や“限界”であり、日本人は往往にして“俺の窮状はおまえより酷いんだぞ”とうったえる謂わば“4人のヨークシャー男”風(モンティパイソンのスケッチ)の自己アピールや作風を好んでいる。映画監督もそうだ。

したがって日本の映画監督は悲惨や下層を描いて自らの創作活動が悲惨や下層に寄り添ってきたという立脚点を訴えるのが好きだ。しかしそこに地獄を感じるかそれとも“俺は地獄を知っているんだぜ”という作り手の承認欲求を感じるのかは観客次第である。岬の兄妹を見た印象はやはり日本の映画らしかった。悲惨や下層といった不幸が誇らしげで日本映画らしい悲惨誇示感“スゲーだろ”感があるわけである。勢いは感じたが常套な日本映画だと思った。しかし“さがす”は面白かった。日本映画で面白かったという感想をもったのが超珍しかったので、はっきりいってよく解らないが、なにしろこれは面白かった。

佐藤二朗が見たことない骨太な印象を出して、すこし笑いもとる。じぶんは佐藤二朗がすきだったがはるヲうるひとという映画を見てすきではなくなった。が、演技しているときのひょうひょうとした感じはやっぱりよかった。

「さがす」は映画自体が嫌悪を発している。観る者は暗くて悲惨で嫌だ嫌だと感じるような奈落に落とされる。ホラーよりも効果てきめんに落とされる。それが最後までいっこうに晴れない。にもかかわらず何か力強い手ごたえがある。

しっかりものな楓(伊東蒼)のまともさが予定調和へもっていってくれるわけでもない。
くそな奴にはまってくそなことをするくそな世界で、嘱託殺人を依頼した女(森田望智)は最初の出会いでしねなくて、飛び降りをはかったが手足を骨折しただけでしねず、再度の依頼でしめ損ねて息を吹き返し、またしめろといってしめてもらってやっとしぬわけである。そんな夢も希望もない暗黒なのになんか得体もしれない力強さがある。それがなんなのかわからないが、得体の知れなさと面白がらせるのを両方やっている驚いた映画だった。

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津次郎
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