さがすのレビュー・感想・評価
全214件中、181~200件目を表示
満を持して封切られた邦画新時代、片山慎三監督のしぶとさが光る
邦画のこれからを片山慎三監督に託したくなる、そんな今年のベスト。あらゆる角度が浮かび上がらせる人間の渇望が、この3字で帰結する。世界に行く監督の片鱗を観た。
私がミニシアターにハマりたての頃、初めてポレポレ東中野で観た作品が『岬の兄妹』だった。その頃は、嫌なモノを観たのに、不思議と人間の臭みがあることを感じた記憶。我ながら選球眼があるな…と自負。笑 それから。商業デビューとなった今作。更にパワーを蓄えてとんでもないモノを生み出してくれた。
すごく導入はシンプル。何度も劇場で観た予告にある様に、父は懸賞金300万円をかけられた犯人を見つけたと言う。そして、姿をくらました。娘が父の名を聞いて辿り着いたのは、父が見つけた指名手配犯で…。その続きを見ていく度に訪れる衝撃と秘密、そして、その言葉の意味にただ言葉を失う。
片山慎三監督の面白い所は、映画に何層ものカラーを重ね、単なるドラマで片付けない所だ。邦画好きなら聞いたことのある、高田亮と小寺和久が脚本に名を連ね、重層的なプロットに更なる色を加える。その中にいくつもの工夫が施された画が展開されており、作品の太さを上げていく。内容は重くなるはずなのに、関西弁特有のテンポと柔らかさが飽和する。よって、そのドラマのギミックにひとつひとつが衝撃としてガツンとくる。そしてラストまで切らさない。そこが監督の最大の強みであり、邦画の在り来たりを塗り替える強さを兼ねている。
また、西成を中心としたロケーションにも感服する。これまでも格差や個々の生きづらさを街の中に落とした作品はあっただろうが、今作は違う。あくまで因果であり、この構造の問題のみを痛烈に写し出す。あくまでドラマの中で起きた事に終始するが、その色の引き具合が何とも絶妙。作品の面白さを増幅すると共に、本質を突いてくるのだ。
そして何より役者が素晴らしい。佐藤二朗は「パブリックイメージとは違う役」と自らパンフレットで言っていたが、今は彼以外ハマらない。監督が当て書きしたという脚本に、彼が持つユーモアとシリアスさが混じっていて、妥協がない。その鋭さが作品の幹となって価値観を揺らしてくる。また、伊東蒼も見事。『空白』では穴を開けた彼女だが、今作は父が作った穴をさがす役どころ。細かな仕草や表情が台詞の想像を掻き立てる。その中に等身大な姿を浮かばせ、幼さも滲む。次の清原果耶になると言っても過言ではない。更に、清水尋也や森田望智も憑依ぶりが凄い。凄くスタッフ自身も「託した」キャストによって出来たモノだと感じる。単に、「モネ出てた3人」とかで片付けちゃダメなやつ。笑
グルグルと、手を変え品を変え、映画の色を多岐に魅せる。その器用さとブレない強さが今も衝撃と共に回る。ああ、コレは誰かと語りたい…。
佐藤二朗って 最近はバラエティー系に行ってしまったけど もともとは...
佐藤二朗って
最近はバラエティー系に行ってしまったけど
もともとはこういう役者さんだったよね、
と思い起こさせる映画でした。
味のある役者さんだと実感できる作品に出て欲しい。
さがしてるのは娘だけ。
なかなか凝った話しで面白かったし絵も良かった。
父が突然失踪し、それを娘が探す。
そこに死んだ母と殺人鬼がからんでくる。
1人ずつ別の目線で話を語り、真相を炙り出すやり方は最近の流行だと思うのだが良く言えば同じシーンを別目線で見る「発見」、悪く言えば「また見せられてる感」のバランスかなぁ。「13カ月前」とかデカデカとタイトル出てやれやれと思うのはタイトルの入れ方が悪いのかもね。あと終わり方はもう少しキレ良く出来たんじゃないかと思うが、、きっとこれやりたかったんだよね。
出演者のレベルは高い。とくにトラックに轢かれてた子がこんなに良い役者だと思わなかった、将来が楽しみ。佐藤二郎もこういうの合う。清水、森田も良い。Hビデオに鉄心さん出ててびっくり。
期待しすぎは…
レビューを拝見し、期待もしながら観たけど…😓何というか、探しているのは父親ではなく、父親の良心というかジャスティスだったのかもしれない…モヤモヤ感が残る、すっきりしない作品。期待しすぎたこともあり、このエンディングは残念でした。
世の中知らない方が良いこともある
※後半で若干ネタバレ含みます。
「お父ちゃんな、今日電車で指名手配犯見たんや。」
その翌日、父・原田智は姿を消した。
母親を亡くし、日雇いで働く父親と2人暮らしの楓は、早速父親を探し始める。
しかし、行方不明の父親を探していくと、知らなかった真相があらわになっていき…
心の奥がモゾモゾした。
『パラサイト』を観た後に近い感覚との口コミを聞いていたが、確かに邦画ながら韓国映画のようだった。
連続殺人鬼を追う父親を追うだけでは終わらない、予測不能な父親探索。
探せば探すほど、見ようとすれば見ようとするほど、見たくなかった真実が見えてくる。
「君はいったい誰を探してんの?」
最初は父親を探していたはずが、観ている側も途中から何を探していたのか分からなくなる。
明らかになる父親失踪事件の真相も、良いか悪いか簡単に判断できない、なんとも言いがたいものだった。
あの境遇と状況で山内照巳にあんなこと言われたら、誰だってそちらへ靡いてしまうよ。
とにかく構成が上手い。
登場人物ごとの視点による章立てと少しずつ過去に遡るやり方は『悪なき殺人』を彷彿とさせる。
ポスタービジュアルから分かるように、それぞれの視点によるすれ違いを意識しているらしい。
原田家の家族の繋がりを表すような卓球も効果的。
会話のキャッチボールならぬ会話のラリーや、踏み潰されるピンポン玉、そしてエンディングの音楽にも取り入れられているピンポン玉の弾む音は、いつまでも耳や目に残る。
伊東蒼という女優さん、最近来てます。
一個一個の表情が本当に良い。
無口な役のイメージだったけど、喋らせるとなお良い。
今年はもしかしたら彼女の年かも。
冒頭で、車道へ飛び出したりスーパーに入ったり『空白』っぽかったのでヒヤヒヤしたけど、万引きしたのは父ちゃんでした…
その父ちゃん役の佐藤二朗もまた良い。
最近は福田組でのあのノリを捨てた、静かな佐藤二朗が見れて嬉しい。
私的にはうるさい佐藤二朗も嫌いじゃないけど、静かな狂気を纏った佐藤二朗は無敵なので。
清水尋也は冗談抜きで怖かった。
「これは人助けです」とか言ってる時の正義に満ち溢れた目も怖いし、人殺しをなんとも思わなくなった時の何かに取り憑かれたような目も恐ろしい。
とりあえず役者みんな良かった。
案外探し物はすぐそばにあるのかもしれない。
父親捜索中に楓のすぐ近くに父親がいたように。
死は思っている以上に隣り合わせなのかもしれない。
指名手配中の“名無し”が楓に深く関わっていたように。
おっと、ここから先は有料コンテンツですね。
伊東さん良かった
佐藤さん主演なので見に行きました。
ほぼ満席。
途中、え?こういう話??
どうしよう。。。。と思いつつ
父親を探すそして犯人も探す映画と思って期待していたのだけど。
なんか、びっくり‼️
最後の卓球ラリーのシーンがあって救いでした
娘役の伊東さんとても良かった。
これから、楽しみな俳優さんです。
心拍数が上がる
普段よく見るおちゃらけた佐藤二朗とはまた違う顔を見せてくれた。
伊東蒼はいい娘だなー。
ダメな父親を決して見放さない。この子がいることでまだ救われる。
ほんとにどうしようもないストーリーと、登場人物たちの違和感のある行動の数々になんで?なんで?と理解できないままに残虐なシーンの連続で心拍数だけが高くなっていった。
また、同級生男子の胸を見せてっていうシーンは辟易。
彼女のことが本気で好きなら誠実に本気で心配して島に行け!
そしたらもう少し娘の未来に希望がもてたのに。
シスターに唾を吐いてるし、先行きがとても心配だ。
ひたすらピンポン玉がラリーし続ける音に被さるサイレン!
ラストシーンがとても良かった。
伏線が貼られているとわかる展開
レビューが高めなのと佐野二郎のあの声がいいので観てみた。ミステリー要素もからんでいて、最後の結末はどうなっている?って伏線が多く貼られている展開だった。少し動機という面では弱いような気がしていまひとつ感情移入ができなかった。
異常心理な犯人とそれに共謀するかのような父親と、それを探す娘という構造なんだけれど、やはり動機かなぁ。いい大人がなんのためにそんな異常心理の犯人に加担するようになっていくのか。そこがもっと納得がいくような脚本にしてほしかったけれど。それとやはり、佐野二郎はもっと笑いに振った雰囲気の脚本が合っているのかなと。
カメラワークは寄りから引きへの動き、チルトアップ&ダウンの動き、パンの動き、わりと動きが多かったという印象。その分、ミステリアスな要素も引き出しているのかなと思えた。
師ポンジュノに敵わぬのが悔しい。
捻りがズルい。
正攻法で物語る勇気を。
佐藤の演技法の新味に痺れたが、
物語、テーマ、キャラ何れも凡庸。
エグさと喜劇性の同居は韓流の手触りだが、
師ポンジュノの強靭な撮る動機の表出に敵わぬのが悔しい。
期待の片山慎三、策に溺れて欲しくない。
じゃりん子チエな小気味良さは救い。
ネット上での多くの絶賛コメントに釣られて観に行ったものの・・・
この映画、初めは観る候補から外していたのですが、たまたま時間に余裕が出来て、色々と調べてみたところ、多くの人達があちこちで大絶賛しているのを見て、それに釣られて観に行く事に。
映画館で席に着くと、口コミが凄いのか、予想以上に多くのお客さん達が入っててビックリ。
娘役の伊東蒼ちゃんが素晴らしい演技で魅せてくれるので、ここは見どころの一つです。
後半、家に案内してくれる老人の某コレクション部屋が凄くて、面白かった(笑)。
コメディ要素もあり、実際の犯罪事件からヒントを得たであろう視点も良い。
しかしながら、全体的なストーリー展開、脚本がイマイチ練り上げられてない印象です。
ラストのオチのために作られたであろう伏線が冗長過ぎて、面白味が薄いのが問題。
この長さに堪えるのが少々キツく、真相の解明まで待ちくたびれてしまう疲労感があります。
突っ込みどころが幾つも出てきてしまう、リアリティーに欠ける部分も目につきます。
そのため、感情移入がしにくく、作品世界に引き込まれる吸引力が弱いです。
ネット上で多くの絶賛コメントにあった「衝撃」というのも、それほど感じられませんでした。
お客さん達の反応や、空気感から判断しても、個人の勝手な解釈かもしれませんが、
場内に期待ハズレ感や物足りない感が漂っていたように感じました。
面白いと感じたシーンは幾つかあったし、俳優陣も悪くなかっただけに、ちょっと惜しい作品。
60年代の某名作映画のオマージュ的シーンの撮影は見事で、これは良かったです。
韓国映画の方で助監督として活躍していたという情報も観に行ったキッカケの一つですが、
残念ながらその観点からも、満足度はイマイチ低かったというのが正直な感想。
事前の絶賛評が妙に多過ぎた事も踏まえて、厳しいですが辛口評価になります。
この監督はまだ2作目という事なので、次の3作目の方に期待したいと思います。
「さがす」の果てにあるもの。
ある日突然姿を消した父。懸命に父をさがす娘。目の前に現れた父の名を語る連続殺人犯。正直まんまと予告に騙されてしまった。先入観を見事に裏切られた。二転三転する展開。予想外のクライマックス。途中混乱しつつもスクリーンに釘付けで、終わった頃には目がカピカピでした。
脚本、演出はもちろんのこと音楽も良い。妙に胸がざわつくエンドロールがお洒落。サスペンスとホラー要素を融合した見ごたえのある1本でした。後々効いてくる人物像の断片が垣間見える表現も上手かった。
そしてなんといっても伊東蒼が圧倒的な演技力で本当に素晴らしかった。ただ佐藤二朗よ。あの界隈が舞台ならその大阪弁はないですよ。あの辺のおっちゃんらのパンチ力もっとエグいですよ。
規則正しいピンポンのリズムに乗って明かされる「さがす」の本当の意味。その果てに背負うものの正体に息をのんだ。
手に負えないかも
岬の兄妹未見。
新しい才能なのだろう。現在の日本映画の枠からは異形の形で、人生を深掘りした形の作品
佐藤さん、娘役の方、指名手配の方(失礼、名前が覚えられまへん・・笑)すべて共感は出来ませんが、いかにも大阪の市井にはたくさんいてはると思います。
最後のピンポンのシーンに、この映画の主題がよーく現れていました。打って打たれて人生はそれでも続いている。永遠かとも思われますが、ある日終わりを告げる!それが人生なのかな?
これ以上は「有料コンテンツになりま~ス!!」 お後がよろしいようで・・
衝撃的な作品でしたが、前作には及ばす
商業作品としてはかなり衝撃的な作品でした。
お父さんも娘役の女優さんも悪役も皆さんお見事でした。
しかし肝心のストーリーがキャラクターと合ってないシーンがちらほら。
特に奥さんと娘の関係を描かないのは無理がありました。
ラストの二人の会話で更にそれを感じました。
見応えはありましたが、前作の岬の兄妹には及ばす。
ダメだ…
始めから終わりまでの流れ、伏線の回収も含めて、良くできてるんだろうけど、題材がね…
個人的には好みではないです…
良くも悪くも評価が分かれる映画ではないでしょうか。
先週、今週公開の気になる作品が多い中、この作品を優先して観たんだけども…
なんだかモヤモヤ、終始胃のムカつきが取れない映画でした。
試される倫理観
衝撃作『岬の兄弟』の片山慎三監督が再び観客の倫理観を激しく刺激します。
二朗さんと伊東蒼の配役が重過ぎる内容に堪えられる絶妙な空気を。
個人的に殺人は別ですが死自体には肯定的な立場なので共感する場面も。生きる定義や死生観は人それぞれ。生に執着させられる苦しみも当然あるはずです。
異常な欲求を持つ山内を演じた清水尋也の役者としての覚悟が素晴らしかったです。
観る人の倫理観が問われる
8件の連続殺人者を見かけたと言ってフッといなくなった父を探す少女の話
連続殺人者に関しては完全に座間の殺人のオマージュ
自殺志願者を楽にしてあげという名目
ただ座間と違うのはなるだけ捕まりたくないと思ってるところ
連続殺人者を果たして追い詰めていいのか
自殺願望がある人を殺めるのは人助けなのか
観る人に倫理観を求めてくる映画だった
二重にも三重にもストーリーが重なってて面白かった
スナック‘‘ぴえろ’’
人間は見る角度や、光の当たり方、見る人間によって、事の善悪や解釈が分かれる。
そう、人間って、‘‘ぴえろ’’なのさ、笑ってるようで実は泣いているかもしれない曖昧さが何とも悩ましい生き物なのだ。
全214件中、181~200件目を表示