好きでも嫌いなあまのじゃく : 特集

2024年5月20日更新

【あ、これ1人が100回観るやつ】
これは“私の映画” 頭じゃなくて心に残る! 注目の
スタジオコロリドが放つ、少年少女によるラスト最高系
青春ファンタジー…人生で大切な瞬間を観る準備はOK?

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心に染み込んで、何度も観たくなる――そんな作品に出合いました。5月24日から劇場公開&Netflixで独占配信される「好きでも嫌いなあまのじゃく」です。

先日、本作の試写会に参加したのですが、上映後に周囲の人々を見渡すと、浮かべる表情はさまざまでした。

正直なことを書くと、今はまだ、他の人がこの映画に対してどう思うか興味はありません。私自身が好きと思うなら、周りの評価なんて関係ない――でも、自分の様に“この作品は私の話”と強く刺さった人の顔をちょっと見たい。そんな気持ちになって、つい映画が終わった後に、周りを見渡しました。そう思える作品に出合えた喜びで胸がいっぱいなんです。

制作したのは、「ペンギン・ハイウェイ」「泣きたい私は猫をかぶる」「雨を告げる漂流団地」などで知られ、エモと青春とファンタジーを得意とする注目のスタジオコロリド。この特集ページでは、筆者と同じく本作が“めちゃめちゃ刺さりそうな人”へ向けて、本作の魅力を伝えていきます。

★スタジオコロリドについて紹介した特集記事はこちら>>


【予告編】心が行けと告げるから。

【本作をめちゃめちゃ好きになった編集部員がレビュー】みんなに伝わらなくてもいい。でも、超刺さるはずの“1人”には、絶対に届け!!!

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「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「パトレイバー」など数々の傑作アニメを生み出してきた押井守監督を表す言葉に「押井守の映画は1人が100回観る」というものがあります。100人が1回観るのではなく、1人が100回観る。それくらい深く刺さる作品、ということです。

本作「好きでも嫌いなあまのじゃく」は、筆者にとってまさにそんな映画です。刺さる1人にとっては何度も観たくなるほど、きっと大切な1本になるはず。次に観る映画を探すあなたにとって、そんな可能性を秘めた作品なんです。

おすすめしたい理由は山ほどあるのですが、文字数の都合で泣く泣く、6つの項目だけ紹介していきます。


●筆者紹介
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【心に刺さったポイント①】
キャラクターが発明レベルにイイ
人に嫌われたくない少年×世界一自分勝手な鬼の少女 正反対の2人が出会って…
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まずは、このポスターを見てください! どーんと前に出た少年少女の姿からもわかる通り、とにかくキャラクターが魅力的でした。

主人公の一人・柊(ひいらぎ/CV:小野賢章)は、みんなに嫌われたくない、誰かのために一生懸命になるも“なんか”うまくいかないというキャラクターです。周りの顔色を窺って、自分の気持ちに蓋をすることが多い柊には、きっと共感できる人も多いのでは。

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もう一人の主人公、鬼の少女・ツムギ(CV:富田美憂)は柊を自分勝手に振り回しますが、意志がはっきりしていていて、愛らしさも持ち合わせています。ツンツンしていて目が離せないキャラクター(そして記号的なキャラデザ)は、「新世紀エヴァンゲリオン」のレイとアスカを彷彿とさせます。ツムギも爆発的な超人気キャラになりそう……そんな高いポテンシャルを持っています。

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この正反対の2人が出会い、幼い頃に行方不明になったというツムギの母親を探す旅に出ることになるのですが、2人の関係性も少しずつ変化していくのです――胸がときめく展開も待ってますよ!

【心に刺さったポイント②】
主題歌&挿入歌「ずっと真夜中でいいのに。」の破壊力
何度も聴きたい、観たい スタジオコロリド長編作の楽曲は今回も間違いなし
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スタジオコロリドといえば、実は主題歌のかっこよさも大きな魅力の一つなんです。「ペンギン・ハイウェイ」では宇多田ヒカル、「台風のノルダ」ではGalileo Galilei、「泣きたい私は猫をかぶる」ではヨルシカ、「雨を告げる漂流団地」ではずっと真夜中でいいのに。と、錚々たる顔ぶれの楽曲が物語を彩ってきました。

本作の主題歌&挿入歌は、「雨を告げる漂流団地」に続いて、ずっと真夜中でいいのに。が担当し、主題歌として新曲「嘘じゃない」、挿入歌「Blues in the Closet」を書き下ろしました。どちらの楽曲も流れ始めるタイミングが本当に神で、流れた瞬間から「あ、これ絶対好きだ」と感じました。疾走感があって、切なさもあって。美しい背景のシーンとともに楽曲が流れていき、本作でもスタジオコロリドの音楽センスがさく裂しています。

【心に刺さったポイント③】
観れば一瞬でわかる映像の力
柔らかいタッチ、くるくる変わるキャラの表情 そして、色彩美に圧倒される
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もちろん、映像もとてつもなく素晴らしかった! 素人でも観れば一瞬でわかるほどの変態的(褒めています)な描き込み、柔らかいタッチ、くるくると変わるキャラクターの表情。幻想的な雪のシーンでは、美術館に飾られるべきと思うほどの美しい画力に圧倒されます。

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でも、きっとスタジオコロリドのクリエイターたちは、これが“普通なこと”だと思っていそう……そんな風に思わせるほど、かなりすごいことを自然にやっているのです。気になる人はぜひ劇場で! せめて予告編だけでもご覧あれ!


★一旦ブレイク★
スタジオコロリドって、そもそもどんなスタジオ? 何がすごいの?
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ここで、一旦休憩。皆さんが知っている前提で話しちゃいましたが、そもそも「スタジオコロリド」はどんなスタジオなのかを紹介します。

スタジオコロリドのスローガンは「日常から、非日常へ」。これに象徴されるように、ファンタジーと青春の描写を得意としています。長編アニメーション作品は、壮大・美麗な映像、胸に迫る大切な物語と作家性、オリジナル作品をつくりつづける挑戦心、秀逸なキャッチコピー、ずば抜けた音楽センスが光るのも特徴です。

本作のメガホンをとった柴山智隆監督の長編監督デビュー作「泣きたい私は猫をかぶる」は若い世代を中心に「泣ける」と人気を集め、“ポスト・スタジオジブリ”とも称されている、今注目のアニメスタジオなんです。

はい、これで休憩は終わり! まだまだ語りたいことがあるのでレビューに戻ります。

★スタジオコロリドについて紹介した特集記事はこちら>>


【心に刺さったポイント④】
あらゆるシーンが「わかる」の連続&感動
泣いて笑って、懐かしくなって……分かんない人はごめんなさい!
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どうしてこんなに刺さったのかよく考えてみたのですが、1番は「わかる」と共感できるシーンが多かったからかもしれません。周囲の顔色を窺いつつ、それが空回りしてしまう柊を見て、自分の中学生時代を思い出しました。あの当時はクラス内という狭い空間で人に嫌われることが怖くて、自分の“本当の気持ち”をなかなか言い出せずにいたんです。大人になった今も自分の気持ちに蓋をして、そんな自分が嫌になることがあります。

もう1つは、ツムギと母親の関係性にグッときたからです。元気があって、気が強そうに見えるツムギは、柊に母親のことを話すときも笑いながら話していました。でも、熱を出して寝ているときに見た夢では、母親に対して抱いていた“自分に対しても隠している想い”が描かれています。ツムギのことがもっともっと愛おしくなるシーンであり、涙もろい筆者がウルっときた場面でもあります。

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……で、その刺さったポイントなのですが、この作品はあえて“説明セリフが少なく”作られているみたいんです。柊やツムギと同じように思っていることを“言えない”、自分で“言わない”を選んだ結果、わだかまりを抱えてしまう。そういう経験がない人には、筆者が言っていることがなかなか伝わりにくいかもしれないです。

それでも、スタジオコロリドならでは、“アニメーションだから”“映像作品だから”出来る演出で、キャラクターの感情や出来事が表現されているので、筆者のように刺さる人にはとにかくめっちゃ刺さる。キャラクターたちの姿と、心の写し鏡である“ファンタジー表現”。それらがもたらす効果は絶大で、作品自体がなんだか“友達”みたいに寄り添ってくれるんです。観終わった帰り道、「また柊とツムギに会いたいな」と思ったり、なんか疲れてるなっていうときに、ふと2人の顔を思い出したり。

この“スタジオコロリドらしさ”を貫いて、これまでもオリジナリティーあふれる作品を生み出してきました。そういった作品の特有性が合う、合わないはもちろんあると思いますが、私はこの技術に自信がないとできないであろうスタイルにも惚れ込みました。

【心に刺さったポイント⑤】
最高に爽やかなラストシーン
感情を揺さぶられた後、待っていた展開で笑顔になる!
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思い出しただけでも震えるくらい好きだったのが、ラストシーンです。母親探しの旅に出た柊とツムギが迎える結末は、ちょっと余韻があって、微笑ましくて…、最高に爽やかな終わり方でした。前述した「ずっと真夜中でいいのに。」の主題歌「嘘じゃない」が流れるタイミングもやっぱり最高!

大人になってしまった筆者は少し照れそうにもなりましたが、気持ちが上がる終わり方に思わず笑顔になっていました。このラストシーン、きっと(個人的には)毎日観ても飽きないです、むしろ毎日観て気分を上げたい!

【心に刺さったポイント⑥】
全員優しい……あのキャラも好きです!
個人的過ぎてすみません でも、まだまだ“細かすぎるけど好きなところ”を推させてください
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細かいけれど超好きだったシーンについても語らせてください! 柊とツムギが旅の道中で出会う人たちが、全員優しいんです。特に、柊が働かせてもらうことになる旅館で出会う人々にほっこりしました。厳しいけれど、干渉し過ぎず、必要なときにさらっと金言を授けてくれる。こんな人たちに近くにいてほしいなと思いました。

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あと、物語序盤で柊のお母さんが作ってくれるコロッケがやたら美味しそう。コロッケ揚げる音、熱々をはふはふしながら食べるシーンがあまりにもリアルで、その場に一緒にいて食べたいと本気で願いました……。

【まとめ】ここまで読んでくれた人=この映画が刺さる人
絶対に映画館へ…頭で観るんじゃなくて、“心”で観てほしい!
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ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。そんなあなたには、きっとこの作品が確実に刺さるはずです! 途中でお伝えした通り、本作にはセリフでの細かい説明がありません。そのため、頭で考えながら観るよりも、“心で感じながら”観てほしいと思います。

5月24日から劇場公開です。本当に刺さるのかどうかを確かめに、ぜひ劇場へ行ってください!

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