さがすのレビュー・感想・評価
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複数のジャンルをミックスした構成
【鑑賞のきっかけ】
本作品は、映画ファンの間で評判が高いのは知っていたものの劇場での鑑賞は逃していた作品。
今回、動画配信が始まったので、早速、鑑賞してみました。
【率直な感想】
<どんなジャンルの映画なのか?>
題名が「さがす」であり、公式HPなどのあらすじからすると、父と娘の二人暮らしのところ、佐藤二朗演ずる父親・原田智が失踪するお話。
失踪ものは、ミステリのサブジャンルとして定着しているものなので、「ミステリ」作品か?と思いつつ鑑賞開始。
冒頭、男の姿が、リストの「愛の夢」のBGMが流れる中、映し出されます。
私は、このシーンは重要なのではないか、と感じました。
「ミステリ」作品であるとするならば、本編が始まる前のちょっとしたシーンに、後の展開で重要となる事柄(いわゆる「伏線」)が潜んでいることが多いからです。
本作品でのこのシーンの意味合いは、このレビューでは敢えて触れません。
さて、本編が始まると、父親が早々に失踪し、娘が彼を必死に探し始めることで、やはり「ミステリ」作品と感じられる展開となります。
じつは、あらすじ紹介には触れられていないのですが、本編開始直後のシーンで、原田智がスーパーで万引きをしてしまい、娘が身柄を引き取りに行くのです。
結局、商品が低額だったので、代金を支払うことで店との示談が成立し、帰宅を許される。
これはその後の展開として重要です。
つまり、父親の失踪届を警察に提出するが、「事件性」がないということで、捜査はしてくれなさそう。
娘は、「事件性」を探り当て、警察に訴えるが、真面目に取り合ってくれない。
なぜなら、失踪した父親は万引きをしていたから。
犯罪者なので、優先順位は低いということです。
これで、この物語は、「ミステリ」ではあるけれど、警察が介入してこない中での、「父親探し」の物語となるのだ、と感じました。
<多様なジャンルを包含>
さて、上記までだと、本作品は、「ミステリ」作品となる訳ですが、じつは、失踪の直前、父と娘のやり取りの中に、親子ならではの、心の交流が描かれ、「人間ドラマ」としての要素も取り入れていることが分かります。
また、時間軸を遡り、現在は、一緒に暮らしていない、父・原田智の妻との心の交流が描かれるシーンが展開し、ここは、「シリアスな人間ドラマ」になっているのです。
さらに、あらすじ紹介で想像がつくと思われますが、「サイコ・ホラー」を思わせる展開も用意されています。
このように、本作品は、単純な「ミステリ」作品ではなく、「人間ドラマ」などの要素も取り込んだ、ミックスジャンル的な作品であるということができると思います。
<評価の難しい点>
それでも、後半は、「ミステリ」作品の要素がどんどん強くなっていき、特に、ラスト30分くらいになると、意外な展開が連続し、この作品のオチは果たして?という見どころ満載のものとなっていきます。
この辺りは、本作品が高く評価されている理由だと思われ、私も評価したいです。
しかし、私としては、「人間ドラマ」パートが、「ミステリ」パートを純粋に楽しむのを妨げてしまったように感じられ、少し残念な気持ちを抱いています。
つまり、物語展開が意外であればあるほど、前半で描かれていた人物像と乖離していってしまう。
特に、主人公の父・原田智の選択した行動は、とても意外であったけれど、では、この人物の真の姿、本音としての人生観、世界観は何だったのだろう?
そんな疑問が生じてしまい、それが解消されないままラストを迎えました。
【全体評価】
「ミステリ」「人間ドラマ」「サイコ・ホラー」とそれぞれの要素が強烈なインパクトで観客を惹きつけるという点では優れた作品と思いました。
先述の「前半で描かれていた人物像と乖離」という部分は、原田智の人間性が様々な出来事の中で変化した、つまり、そういう人間の心の移り変わりがテーマと捉えることも出来るかとは思います。
ただ、私は、ネタバレになるので書けませんが、ストーリー全体を通してみると、その心理状態にどこか腑に落ちないものを感じてしまい、主人公の気持ちに完全により寄り添うことはできませんでした。
この点が、少々残念な部分でした。
佐藤二朗を見直しました。
切ない
【「さがす」の意味が深い。ラストまで目を離せない物語構成に魅せられます】
・2022年公開の日本のヒューマンサスペンス映画。
・金銭的な苦労をしながらも仲睦まじく生活する父 智 と娘 楓(中学生)。ある日、智は「電車で300万の懸賞金がかけられた連続殺人犯をみかけんた」「そんな金があったらなぁ」と楓に伝える。しょうもない、と聞いていた楓だが、翌日、智が失踪。困った楓は父を探し回っていると父の働く日雇い現場で父と同じ名前で働く連続殺人犯が。一体何が起こったのか。その真相と父の居場所を見つけるべく、楓はさらに探し回ることに。父は一体なぜいなくなったのか。一体どこにいるのか… という大枠ストーリー。
[お勧めのポイント]
・「さがす」の意味が深い
・智(佐藤二郎さん)、楓(伊藤蒼さん)の演技が抜群
・読めない物語展開に引き込まれる
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
[物語]
・この作品は大きく2つの軸で楽しめました。一つ目は、父 智は「なぜ失踪したのか」「どこに行ったのか」というミステリーに近いサスペンス要素。そして、もう一つは、「さがす」の意味。シンプルな言葉であり、それがタイトル。だからこそ、観客としては「単純に父をさがすだけではないだろうなぁ」と深読みしながらその趣旨を探ろうとします。真意不明なまま鑑賞し、ラストで「さがす」意味がはっと分かると「ふ、深い…」と感嘆。しかも、論理的には明示せず、もう一度物語を観て考察をしたくなるように作られているのです。他の人にも意見を聞きたくなる横に広がる映画でした。
[演出]
・靴底のガムを取るシーン、ラストの卓球のシーン、とても印象的に演出されています。ここに片山監督の哲学が隠れているような気がしました。その哲学を観客に対して、台詞や文字にはしないまでも、映像シーンとして「魅せている」ところも好きです。暗示がすぎる演出だと読み飛ばしてしまうことが多々あります。が、「これ」とは言わないまでも「重要だよ」とわかりやすく提示してくれる演出のように思いました。
・そういう意味では、哲学的でありながら、わかりやすく演出されている映画、だと思います。
[映像]
・泥臭く生きる大人、未来に希望ある子供の雰囲気が共存したような映像に感じました。小汚い智の半面、妙に小奇麗な楓。その2人を取り巻く周囲もそのように構成されているようで、泥臭い世界に透明純粋なものが入り込んでいくような映像に感じました。
[音楽]
・際立って感じたことはありませんでした。
[演技・配役]
・佐藤二郎さん、評価分かれそうですね。笑 個人的には凄く好きな演技でした。普段、求められているシュールな笑いを生み出す演技の90%が封じられた状態でシリアスな演技です。ですが、残りの10%分がそのシリアスさと非常にうまく絡み合って、リアリティが生み出されているように感じます。佐藤二郎さんに対する固定観念がない方なら、一気に引き込まれると思います。佐藤さんの演技を観るときに、どうしても邪魔された個人的な固定観念は「遠い目をするとき(はシュールな笑いを演出する方法と捉えてしまう)」でした💦
・楓役の伊藤蒼さん、凄いですね。私は初見の方でした。苦労の中でも明るく生きている関西系女の子をはっきりと魅せてくれます。彼女たち親子の境遇の中でもつつましい幸せを感じながら生きている希望を感じます。にもかかわらず、ラストで見せる深く思慮的な行動。なんでも発言する子が、多くは語らずに、心で父と会話する。なんて聡明な子供なんだ…と驚嘆です。
[全体]
・ミステリアスなサスペンス。そして、「さがす」の意味。とても見応えのある映画でした。
・見終わった後に、自身の日常生活に落とし込んだ哲学、のようなものはありませんでした。しかし、この物語を「なぜこのように構成したのか」「彼らは何を思い、どんな行動をしたのか」という哲学はしっかりと感じ取ることができました。そういう意味では寄り添う共感、というよりは趣深い物語を傍観するイメージです。にもかかわらず、面白い。映画館で観ても「よかった」と思える映画だと思いました。ありがとうございました。
#映画 #さがす #2022年 #ミステリー #サスペンス #ヒューマンドラマ #片山慎三監督 #佐藤二郎 #伊藤蒼 #清水尋也 #「さがす」の意味が深い
#全体3.6 #物語3.8 #演出3.6 #演技3.7 #配役3.7 #映像3.5 #音楽3.4
20円と20万円
女装界の西のメッカが舞台だよ!٩(ˊᗜˋ*)و 憧憬の街大阪西成は新世界
この映画の舞台って、大阪の魔窟こと、新世界じゃないですか。
だから、ほんっとウキウキしたのね。
「あぁ、ここがあそこなのか!」「ここはこんな感じだったのか!」とか「ここが下車駅か!」とか。。
と、申しますのも、私この春に新世界に女装旅行する予定を立てていたのですねΣ('◉⌓◉’)ナント!
諸事情によって延期となってしまったのですが。
(私の言う“諸事情”とは決してコロナ禍の問題ではなく、いつも金銭面のことなのね・笑)
また余計な情報でしたよね…(^_^;
とっととレビュー行きますね。
父・智がいなくなってしまうまでのパートがもっと丁寧に描かれていると思ったです。
ところが、あっさりすぎるほどテンポよくお話が進んじゃうのね。
20円足りずに、万引きという凶行に及んだ情けない父にはちょっと笑っちゃいましたけれど(笑)
なので、ともすれば娘・楓ちゃんの父に対する気持ちが描き切れていなかったようにも思いました。
そこまで感情移入していなかった父を必死で捜す理由とか。
おっぱいクエストには爆笑しちゃいましたけれど(笑)
父に対するの心の機微をもう少し描いていてもよかったかも。
それとも、今回もそこを見落としていたかもしれない私がバカなのか?
きっとそうだ…(。´・_・`。)
とかいう杞憂は物語が進んでいくうちに解消されていきました。
やたらデカいクレジットで〇日前だとか〇カ月前だとか出てきて、あぁ…これ私の一番苦手な時系列バラバラ系だわ…と心配しちゃったのね。
でも大丈夫。作り方が上手かったので、頭を混乱させずに観続けることができました。
あぁ、あそこはこう繋がってるのね。あれはこういうことだったのね。
と、数々の疑問が見事にラストに向かって収斂されていきます。
そして、何よりも苦手だった佐藤二朗さんの、別の顔を見ることができてよかったです。
人の好いオジサンが人の好いまま、どんどん狂っていく過程が、本当に怖かったのね。
「あぁ…この人、元来はこっち系の、人の好いまま狂気を演じるキャラクターの人なんだわ」と思い苦手意識が半分消えました。
半分ですけれど。どうしても佐藤さんのコメディーサイドの絵面が浮かんじゃうんだよ!(笑)完全なダークサイドキャラにまではスイッチが切り変わらなかったの!
描ききれなかったと思っていた、楓ちゃんの父への気持ちはラストシーンで涙ながらに爆発していたのね。
でも、父への決別の気持ちをもう少し丁寧にわかりやすく描いてくれれば、なおよかったですが。
それでは余韻が醒めるか。
にしても、二朗さん卓球上手なのな。シェークハンドで見事に返球してるし。
この映画のために猛練習重ねたのかな?
【脱線…余計な情報】
にしてもですよ。やはり出てくる街の風景に憧憬を禁じ得ませんでした。
少額ずつでもお金貯めて、この秋には新世界に女装旅行行こう!
魔窟・オブ・魔窟の国際劇場で、中途半端に古い洋画を観に行こう!女装で。(ココ、マジでヤヴァい映画館なの!普通におとなしく映画鑑賞させてもらえるかなぁ…)
できれば東映劇場で、カビの生えたような埃っぽいヤクザ映画も観に行こう!女装で。(ココはちょっと安全牌っぽいかな?)
もちろん通天閣も上りたいなぁ。女装で。(高い所苦手だけれど)
喫茶ドレミで名物のミックスジュース飲んだりパフェ食べたり。女装で。(飲食の時はマスク外さないといけないから、低クオリティー女装ヴァレヴァレになっちゃうんだよ…)
当然、夕食は串カツレディースセットを。女装で。(飲食の時はマスク外さn…)
女装クオリティーめっっちゃ低いからほんとは大心配なんだよ!
完パス女装になりたいよ!(´Д⊂ヽ
(完パス=どんなシーンでも女性扱いでパスしてもらえるほどクオリティーの高い女装のこと)
でも、そこは何でも許容してくれる懐の深い新世界だからオッケーか?(笑)
ちゃんと真面目にレビューを締めろよ!って話ですよね…
結局のところ、タイトルの“さがす”って、行方の知れなくなった父を“捜す”と並行して、狩りの獲物を“探す”だったのかな?
とか、無理くり強引に締めます。合っていますか?←人頼りに投げ出しやがった!
3人は何を「さがした」のか。
すばらしい演出でした。
まずは、佐藤二朗という役者。
イメージとしてはコミカルな役者と、ダークなテーマ。
そして、大阪という街。
ダーク過ぎず、コミカル過ぎず、絶妙なバランス。
「映画は映像で説明するもの」として絶妙な演出。
音楽と、ホームランバーと、モルツと、卓球。
特に卓球ですよね。
家族の絆としての卓球。
母の命を奪う、閉じられた卓球台。
妻への未練を断ち切る、山内に踏まれた卓球玉。
ダークサイドとノーマルサイドを隔てる卓球ネット。
登場人物を「善と悪」に単純に分けていいのか。
父親は元々ダークサイドの人間なのか、
妻と娘がとどまらせていたのか。
元々ダークサイドの犯人山内は、
父親原田やムクドリとの出会いにより、
ノーマルサイドに移行する機会はあったのか。
いろんな場面でダークサイドに落ちずに
踏みとどまった娘は、(この後)シスターのもとで
無理やりに善を押し付けられ、反発でダークサイドに
落ちはしないだろうか。
描かれていない(あえて描いていない)部分を
あれこれ考えられるのがいい映画だとしたら、
本作の演出は絶妙としか言いようがない。
ひとつだけ救いがあるとしたら、
やはりラストシーン。
卓球ネットのクローズアップ。
娘の「勝った」というセリフ。
今後、何があってもネットの向こう側
つまり父親が引き込まれてしまったダークサイドに
落ちずに生きられる強い人に成長した。のだ。
という、私なりの解釈。
佐藤二郎さんは言わずもがな若手二人の演技が凄い
予告で面白そうだなと思っていましたがスルーしてしまい、この度アマプラに入ったので視聴。
2時間の中で父の失踪した理由が分かるまでに1時間、後の1時間はクライマックスまでの前座と言った感じ。考察し甲斐があるシーンの連続に心躍った前半とは裏腹に、後半は少々間延び感がありました。
今作はなんと言っても役者さんの演技が素晴らしい。特に伊東蒼さんと佐藤二郎さんのラストシーンは圧巻でした。また清水尋也さんは病的な青年役をよく演じられていて且つ毎回素晴らしいですが、舞台挨拶などで素の優しい彼を見ると分かっているはずなのに毎回驚く自分がいます。笑
重たい話なので2度目を見るのは覚悟がいりますが、片山監督作品を初めて視聴し、終始重たい話なのに時折漫画ライクな表現が入る作風は面白いかったです。今作が監督2本目という事で1本目の「岬の兄弟」も観てみようと思います。
伊藤蒼!
導入部はスゴいワクワクした。
殺人犯を見つけた父親が、翌日いなくなり
娘と娘の事が好きな男の子が一緒に
父親を探す。めちゃくちゃ面白そうだ。
しかし、そこから時間軸をいじり
犯人パート、13ヶ月前と遡り、
そこが蛇足をずっと見せられてる感がありました。
僕的にはラストで全てが分かる展開を期待して
たので、過去を見せて謎を明かしてしまうのは
もったいない気がしました。
韓国映画を思わせる過激な演出もあったけど、
トンカチを使ったアクションはまだまだ韓国が先を
行ってるなと思いました。
西成の生々しい生活とリアリティーあるキャラ造形に
比べて、警察や役所のディテールは取って付けたよう
な感じを受けてしまいました。
佐藤二郎も良かったけど、
伊藤蒼さんが特にそこで生活をしてるかのような
キャラそのもので素晴らしかった。
真・死刑にいたる病
シンプルな物語で観たかった
全編、娘が主役かと思った。
誰が誰を”さがす”のか?
さがす
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