さがすのレビュー・感想・評価
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世の中知らない方が良いこともある
※後半で若干ネタバレ含みます。
「お父ちゃんな、今日電車で指名手配犯見たんや。」
その翌日、父・原田智は姿を消した。
母親を亡くし、日雇いで働く父親と2人暮らしの楓は、早速父親を探し始める。
しかし、行方不明の父親を探していくと、知らなかった真相があらわになっていき…
心の奥がモゾモゾした。
『パラサイト』を観た後に近い感覚との口コミを聞いていたが、確かに邦画ながら韓国映画のようだった。
連続殺人鬼を追う父親を追うだけでは終わらない、予測不能な父親探索。
探せば探すほど、見ようとすれば見ようとするほど、見たくなかった真実が見えてくる。
「君はいったい誰を探してんの?」
最初は父親を探していたはずが、観ている側も途中から何を探していたのか分からなくなる。
明らかになる父親失踪事件の真相も、良いか悪いか簡単に判断できない、なんとも言いがたいものだった。
あの境遇と状況で山内照巳にあんなこと言われたら、誰だってそちらへ靡いてしまうよ。
とにかく構成が上手い。
登場人物ごとの視点による章立てと少しずつ過去に遡るやり方は『悪なき殺人』を彷彿とさせる。
ポスタービジュアルから分かるように、それぞれの視点によるすれ違いを意識しているらしい。
原田家の家族の繋がりを表すような卓球も効果的。
会話のキャッチボールならぬ会話のラリーや、踏み潰されるピンポン玉、そしてエンディングの音楽にも取り入れられているピンポン玉の弾む音は、いつまでも耳や目に残る。
伊東蒼という女優さん、最近来てます。
一個一個の表情が本当に良い。
無口な役のイメージだったけど、喋らせるとなお良い。
今年はもしかしたら彼女の年かも。
冒頭で、車道へ飛び出したりスーパーに入ったり『空白』っぽかったのでヒヤヒヤしたけど、万引きしたのは父ちゃんでした…
その父ちゃん役の佐藤二朗もまた良い。
最近は福田組でのあのノリを捨てた、静かな佐藤二朗が見れて嬉しい。
私的にはうるさい佐藤二朗も嫌いじゃないけど、静かな狂気を纏った佐藤二朗は無敵なので。
清水尋也は冗談抜きで怖かった。
「これは人助けです」とか言ってる時の正義に満ち溢れた目も怖いし、人殺しをなんとも思わなくなった時の何かに取り憑かれたような目も恐ろしい。
とりあえず役者みんな良かった。
案外探し物はすぐそばにあるのかもしれない。
父親捜索中に楓のすぐ近くに父親がいたように。
死は思っている以上に隣り合わせなのかもしれない。
指名手配中の“名無し”が楓に深く関わっていたように。
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伊東さん良かった
心拍数が上がる
伏線が貼られているとわかる展開
レビューが高めなのと佐野二郎のあの声がいいので観てみた。ミステリー要素もからんでいて、最後の結末はどうなっている?って伏線が多く貼られている展開だった。少し動機という面では弱いような気がしていまひとつ感情移入ができなかった。
異常心理な犯人とそれに共謀するかのような父親と、それを探す娘という構造なんだけれど、やはり動機かなぁ。いい大人がなんのためにそんな異常心理の犯人に加担するようになっていくのか。そこがもっと納得がいくような脚本にしてほしかったけれど。それとやはり、佐野二郎はもっと笑いに振った雰囲気の脚本が合っているのかなと。
カメラワークは寄りから引きへの動き、チルトアップ&ダウンの動き、パンの動き、わりと動きが多かったという印象。その分、ミステリアスな要素も引き出しているのかなと思えた。
師ポンジュノに敵わぬのが悔しい。
ネット上での多くの絶賛コメントに釣られて観に行ったものの・・・
この映画、初めは観る候補から外していたのですが、たまたま時間に余裕が出来て、色々と調べてみたところ、多くの人達があちこちで大絶賛しているのを見て、それに釣られて観に行く事に。
映画館で席に着くと、口コミが凄いのか、予想以上に多くのお客さん達が入っててビックリ。
娘役の伊東蒼ちゃんが素晴らしい演技で魅せてくれるので、ここは見どころの一つです。
後半、家に案内してくれる老人の某コレクション部屋が凄くて、面白かった(笑)。
コメディ要素もあり、実際の犯罪事件からヒントを得たであろう視点も良い。
しかしながら、全体的なストーリー展開、脚本がイマイチ練り上げられてない印象です。
ラストのオチのために作られたであろう伏線が冗長過ぎて、面白味が薄いのが問題。
この長さに堪えるのが少々キツく、真相の解明まで待ちくたびれてしまう疲労感があります。
突っ込みどころが幾つも出てきてしまう、リアリティーに欠ける部分も目につきます。
そのため、感情移入がしにくく、作品世界に引き込まれる吸引力が弱いです。
ネット上で多くの絶賛コメントにあった「衝撃」というのも、それほど感じられませんでした。
お客さん達の反応や、空気感から判断しても、個人の勝手な解釈かもしれませんが、
場内に期待ハズレ感や物足りない感が漂っていたように感じました。
面白いと感じたシーンは幾つかあったし、俳優陣も悪くなかっただけに、ちょっと惜しい作品。
60年代の某名作映画のオマージュ的シーンの撮影は見事で、これは良かったです。
韓国映画の方で助監督として活躍していたという情報も観に行ったキッカケの一つですが、
残念ながらその観点からも、満足度はイマイチ低かったというのが正直な感想。
事前の絶賛評が妙に多過ぎた事も踏まえて、厳しいですが辛口評価になります。
この監督はまだ2作目という事なので、次の3作目の方に期待したいと思います。
「さがす」の果てにあるもの。
ある日突然姿を消した父。懸命に父をさがす娘。目の前に現れた父の名を語る連続殺人犯。正直まんまと予告に騙されてしまった。先入観を見事に裏切られた。二転三転する展開。予想外のクライマックス。途中混乱しつつもスクリーンに釘付けで、終わった頃には目がカピカピでした。
脚本、演出はもちろんのこと音楽も良い。妙に胸がざわつくエンドロールがお洒落。サスペンスとホラー要素を融合した見ごたえのある1本でした。後々効いてくる人物像の断片が垣間見える表現も上手かった。
そしてなんといっても伊東蒼が圧倒的な演技力で本当に素晴らしかった。ただ佐藤二朗よ。あの界隈が舞台ならその大阪弁はないですよ。あの辺のおっちゃんらのパンチ力もっとエグいですよ。
規則正しいピンポンのリズムに乗って明かされる「さがす」の本当の意味。その果てに背負うものの正体に息をのんだ。
手に負えないかも
衝撃的な作品でしたが、前作には及ばす
ダメだ…
試される倫理観
観る人の倫理観が問われる
探し物ってなんだろう?
物語の更生が現在から始まり、過去にさかのぼるが、一回さかのぼって現在まで見せていく構成の中にちゃんと伏線があって、合間合間の答え合わせが面白い。あの場に父親がいたんだという驚きも含まれていてもしかしたら画面の端に映っているのではないか?とついつい探したくなるようなストーリーテリングだった。一昔前にSNSで自殺志願者を募り実際に殺した事件があったが本作はそれを下敷きにしているのかなと思い、予告で思い描いていた内容とのギャップはとても凄まじく思えた。
人は常に何かを探している。生活の安心感、居場所、目的。この話はみんなひたすらに何かに飢えているけれどまるで雲をつかむようにもがいている人々の葛藤を描いているようにも思える。その一つが「愛」なのではないか。刑事が事情徴収して「そこまでするかね?」と同僚と話し合うシーンがあるがそれはこの物語自体がそこまでした結果思いがけないものまで見てしまう人々、ということを表しているのかと思う。
また全編にわたる生命の躍動感というのも大きなポイントになっていて、死にたいと願う人が出てくるがそういう人ほどなかなか死ねない。そんな皮肉めいたこともこの映画は真剣に描いていて、中でも殺しを志願するムクドリという女性は本当になかなか死ねないし、死なない。死のうと思えば思うほどそれに執着して、3回目の「自分を殺してほしい」と鬼気迫る演技がALSの奥さんと重なるところは死にたいけどその選択を迫る=必死に生きようとしているともとれるし這いつくばってそれをつかみ取ろうとする描写は見事だ。その躍動感は大阪の日常にも通ずるところはあって、人々に活気があり、相手との距離感が近いところを見るともしかして脚色されてるんじゃないか?と思うときはあったがどうも本当の風景のようだ。人々が交わす会話が嘘とは思えないくらい自然なものを感じてそこがいい。おばちゃんから自転車を借りるがそれを気にせず『ちゃんと返してや』というところも本当にそう返答しそうで自然に感じた。なんだかそれが温かみのある含みでまた良い。
父親と娘の卓球のラリーはボケと突っ込みであることもわかる。どうしようもない父親を持つ娘の苦悩だがその実の父親を健気に心配して決して見放そうとしない。娘の突込みは手厳しいがそれでもその裏に愛情を感じる。娘は最後まで父を信じ続ける。両者の呼吸は阿吽の呼吸で球がなくてもぴったり息があってラリーを続けることを見てわかるように絆は確かにあるのだ。最後の通報の決断は父親も想定外だったのだろう。しかしちゃんと更生してほしいと願う娘の想いは余りにも一途でそれでいて美しい。
日常に何か物足りなさを感じ、それでも生きようと思っている人は少なくないと思う。そういう人に響く作品だと思うし、またこの映画のことを振り返って思い出したくなるし、ずっと噛みしめたくなる一本だ。
それは有料コンテンツだね
極力前情報無しに見てほしい有料コンテンツ
貧困と障害、西成区が象徴する生々しい底辺の生活や現代社会の闇="病み"と生きづらさ。そして本来そういう人たちの受け皿であるべきにも関わらず手を差し伸べない行政(教師、警察)。しっかりとエンタメしながら根本やテーマは『岬の兄妹』から一貫して何も変わっていない作家主義。見たくないものまで見させられる力強さみたいなものは揺らいでいない、作り手として嘘のない本気が胸ぐらを掴まれるようにヒシヒシと伝わってくる。日本映画と日本社会に大きなクエスチョンを突きつけるように、予告からいい意味で印象がガラッと変わる作品!大義と金儲け、責任感や意義あることもいつか薄れて変わっていってしまうのだろうか…。
本当の汚さとは?生きたいと思っても生きられない人がいる世の中で簡単に"死にたい"とか言っちゃいけないなと思った。と同時に自分もいつそっち側に行ってもおかしくないなとも思う。それくらい片山監督は他人事では済ませてくれない。それを可能にする演者の力。『空白』に続き一貫した出演軸、ブレない作品選びで、役柄に類似点も見出だせる伊東蒼。眉毛の下がった幸薄そうな顔だからか(かわいいけど!)不幸せなさまがよく似合い、韓国ノワールの刑事役ばりに走らされる。また、ずっと『ミスミソウ』の終盤みたいな清水尋也の狂気。そして監督自らオファーしたという佐藤二朗もいい意味で彼らしくも、役者としての懐の深さをしっかりと感じさせられた。福田作品には絶対ない魅力!見事な適材適所的キャスティングとそれに全力で応える役者陣の熱演にタジタジ。予期せず笑いどころもあった。ログアウト。
全く先が読めない展開にスクリーンに釘付け! メッチャ面白かったー!
一昔前なら赤井英和の役どころ佐藤二朗の大阪弁はアウト!
観たい映画がいっぱいあるのにこんな時期に公開するなよ片山慎三と言いたい。前作のあらゆる意味で衝撃を受けた「岬の兄妹」と同じく大傑作なのだがあまり人にはお勧めできない映画である、つらくてやるせないのだ、見ない方が良いとも言える。商業映画一作目で良くここまでやったとは思うがちょっと考えすぎのひねくりすぎの気負いすぎのアイデアに自己陶酔しすぎでツーマッチなのだもっとシンプルで充分面白いのに。前作もそうだが何といっても撮影の池田直矢が素晴らしい、ドアタマの佐藤二朗がハンマーの具合を確かめる隠し撮りのカットがかなりいきていて青春の殺人者のアバン(原田美枝子と水谷豊が戯れるシーン)を想起させる。何といっても伊東蒼が素晴らしく大阪弁がかわいくて悲惨な物語を救済している。佐藤二朗の大阪弁はダメ、そんなアクセントの大阪のおっちゃんはいません。「ちゃうねん」だけOK。
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