さがすのレビュー・感想・評価
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師ポンジュノに敵わぬのが悔しい。
ネット上での多くの絶賛コメントに釣られて観に行ったものの・・・
この映画、初めは観る候補から外していたのですが、たまたま時間に余裕が出来て、色々と調べてみたところ、多くの人達があちこちで大絶賛しているのを見て、それに釣られて観に行く事に。
映画館で席に着くと、口コミが凄いのか、予想以上に多くのお客さん達が入っててビックリ。
娘役の伊東蒼ちゃんが素晴らしい演技で魅せてくれるので、ここは見どころの一つです。
後半、家に案内してくれる老人の某コレクション部屋が凄くて、面白かった(笑)。
コメディ要素もあり、実際の犯罪事件からヒントを得たであろう視点も良い。
しかしながら、全体的なストーリー展開、脚本がイマイチ練り上げられてない印象です。
ラストのオチのために作られたであろう伏線が冗長過ぎて、面白味が薄いのが問題。
この長さに堪えるのが少々キツく、真相の解明まで待ちくたびれてしまう疲労感があります。
突っ込みどころが幾つも出てきてしまう、リアリティーに欠ける部分も目につきます。
そのため、感情移入がしにくく、作品世界に引き込まれる吸引力が弱いです。
ネット上で多くの絶賛コメントにあった「衝撃」というのも、それほど感じられませんでした。
お客さん達の反応や、空気感から判断しても、個人の勝手な解釈かもしれませんが、
場内に期待ハズレ感や物足りない感が漂っていたように感じました。
面白いと感じたシーンは幾つかあったし、俳優陣も悪くなかっただけに、ちょっと惜しい作品。
60年代の某名作映画のオマージュ的シーンの撮影は見事で、これは良かったです。
韓国映画の方で助監督として活躍していたという情報も観に行ったキッカケの一つですが、
残念ながらその観点からも、満足度はイマイチ低かったというのが正直な感想。
事前の絶賛評が妙に多過ぎた事も踏まえて、厳しいですが辛口評価になります。
この監督はまだ2作目という事なので、次の3作目の方に期待したいと思います。
「さがす」の果てにあるもの。
ある日突然姿を消した父。懸命に父をさがす娘。目の前に現れた父の名を語る連続殺人犯。正直まんまと予告に騙されてしまった。先入観を見事に裏切られた。二転三転する展開。予想外のクライマックス。途中混乱しつつもスクリーンに釘付けで、終わった頃には目がカピカピでした。
脚本、演出はもちろんのこと音楽も良い。妙に胸がざわつくエンドロールがお洒落。サスペンスとホラー要素を融合した見ごたえのある1本でした。後々効いてくる人物像の断片が垣間見える表現も上手かった。
そしてなんといっても伊東蒼が圧倒的な演技力で本当に素晴らしかった。ただ佐藤二朗よ。あの界隈が舞台ならその大阪弁はないですよ。あの辺のおっちゃんらのパンチ力もっとエグいですよ。
規則正しいピンポンのリズムに乗って明かされる「さがす」の本当の意味。その果てに背負うものの正体に息をのんだ。
手に負えないかも
衝撃的な作品でしたが、前作には及ばす
ダメだ…
試される倫理観
観る人の倫理観が問われる
探し物ってなんだろう?
物語の更生が現在から始まり、過去にさかのぼるが、一回さかのぼって現在まで見せていく構成の中にちゃんと伏線があって、合間合間の答え合わせが面白い。あの場に父親がいたんだという驚きも含まれていてもしかしたら画面の端に映っているのではないか?とついつい探したくなるようなストーリーテリングだった。一昔前にSNSで自殺志願者を募り実際に殺した事件があったが本作はそれを下敷きにしているのかなと思い、予告で思い描いていた内容とのギャップはとても凄まじく思えた。
人は常に何かを探している。生活の安心感、居場所、目的。この話はみんなひたすらに何かに飢えているけれどまるで雲をつかむようにもがいている人々の葛藤を描いているようにも思える。その一つが「愛」なのではないか。刑事が事情徴収して「そこまでするかね?」と同僚と話し合うシーンがあるがそれはこの物語自体がそこまでした結果思いがけないものまで見てしまう人々、ということを表しているのかと思う。
また全編にわたる生命の躍動感というのも大きなポイントになっていて、死にたいと願う人が出てくるがそういう人ほどなかなか死ねない。そんな皮肉めいたこともこの映画は真剣に描いていて、中でも殺しを志願するムクドリという女性は本当になかなか死ねないし、死なない。死のうと思えば思うほどそれに執着して、3回目の「自分を殺してほしい」と鬼気迫る演技がALSの奥さんと重なるところは死にたいけどその選択を迫る=必死に生きようとしているともとれるし這いつくばってそれをつかみ取ろうとする描写は見事だ。その躍動感は大阪の日常にも通ずるところはあって、人々に活気があり、相手との距離感が近いところを見るともしかして脚色されてるんじゃないか?と思うときはあったがどうも本当の風景のようだ。人々が交わす会話が嘘とは思えないくらい自然なものを感じてそこがいい。おばちゃんから自転車を借りるがそれを気にせず『ちゃんと返してや』というところも本当にそう返答しそうで自然に感じた。なんだかそれが温かみのある含みでまた良い。
父親と娘の卓球のラリーはボケと突っ込みであることもわかる。どうしようもない父親を持つ娘の苦悩だがその実の父親を健気に心配して決して見放そうとしない。娘の突込みは手厳しいがそれでもその裏に愛情を感じる。娘は最後まで父を信じ続ける。両者の呼吸は阿吽の呼吸で球がなくてもぴったり息があってラリーを続けることを見てわかるように絆は確かにあるのだ。最後の通報の決断は父親も想定外だったのだろう。しかしちゃんと更生してほしいと願う娘の想いは余りにも一途でそれでいて美しい。
日常に何か物足りなさを感じ、それでも生きようと思っている人は少なくないと思う。そういう人に響く作品だと思うし、またこの映画のことを振り返って思い出したくなるし、ずっと噛みしめたくなる一本だ。
それは有料コンテンツだね
極力前情報無しに見てほしい有料コンテンツ
貧困と障害、西成区が象徴する生々しい底辺の生活や現代社会の闇="病み"と生きづらさ。そして本来そういう人たちの受け皿であるべきにも関わらず手を差し伸べない行政(教師、警察)。しっかりとエンタメしながら根本やテーマは『岬の兄妹』から一貫して何も変わっていない作家主義。見たくないものまで見させられる力強さみたいなものは揺らいでいない、作り手として嘘のない本気が胸ぐらを掴まれるようにヒシヒシと伝わってくる。日本映画と日本社会に大きなクエスチョンを突きつけるように、予告からいい意味で印象がガラッと変わる作品!大義と金儲け、責任感や意義あることもいつか薄れて変わっていってしまうのだろうか…。
本当の汚さとは?生きたいと思っても生きられない人がいる世の中で簡単に"死にたい"とか言っちゃいけないなと思った。と同時に自分もいつそっち側に行ってもおかしくないなとも思う。それくらい片山監督は他人事では済ませてくれない。それを可能にする演者の力。『空白』に続き一貫した出演軸、ブレない作品選びで、役柄に類似点も見出だせる伊東蒼。眉毛の下がった幸薄そうな顔だからか(かわいいけど!)不幸せなさまがよく似合い、韓国ノワールの刑事役ばりに走らされる。また、ずっと『ミスミソウ』の終盤みたいな清水尋也の狂気。そして監督自らオファーしたという佐藤二朗もいい意味で彼らしくも、役者としての懐の深さをしっかりと感じさせられた。福田作品には絶対ない魅力!見事な適材適所的キャスティングとそれに全力で応える役者陣の熱演にタジタジ。予期せず笑いどころもあった。ログアウト。
全く先が読めない展開にスクリーンに釘付け! メッチャ面白かったー!
一昔前なら赤井英和の役どころ佐藤二朗の大阪弁はアウト!
観たい映画がいっぱいあるのにこんな時期に公開するなよ片山慎三と言いたい。前作のあらゆる意味で衝撃を受けた「岬の兄妹」と同じく大傑作なのだがあまり人にはお勧めできない映画である、つらくてやるせないのだ、見ない方が良いとも言える。商業映画一作目で良くここまでやったとは思うがちょっと考えすぎのひねくりすぎの気負いすぎのアイデアに自己陶酔しすぎでツーマッチなのだもっとシンプルで充分面白いのに。前作もそうだが何といっても撮影の池田直矢が素晴らしい、ドアタマの佐藤二朗がハンマーの具合を確かめる隠し撮りのカットがかなりいきていて青春の殺人者のアバン(原田美枝子と水谷豊が戯れるシーン)を想起させる。何といっても伊東蒼が素晴らしく大阪弁がかわいくて悲惨な物語を救済している。佐藤二朗の大阪弁はダメ、そんなアクセントの大阪のおっちゃんはいません。「ちゃうねん」だけOK。
オチのための準備(伏線バラまき)を見せられ続ける映画
このシーンいらないな、このやりとりいらないな、もっとテンポよく出来そうなのに、なんでわざわざタルい画を撮って、それをことごとく編集で生かしてるんだろう?と思っていたら、全部ラストで見せたいオチのための伏線だったわけですね
例えば、離島行きの切符発見から次はすぐ離島シーンに飛べばいいのに、間に彼氏がおっぱい見せてのシーンを挟むとかね、いらないのに
清水尋也のパートは全部いらないですよね
説明しておかないとあとで伏線にならないから存在してるだけで
難しいところですけど、まぁ並みの映画ですね
オチのドンデン返し、驚きのラストが見せたいがために90分ぐらいはずっと中途半端で面白くない伏線バラまきを見せられ続けたわけですから
例えばユージュアルサスペクツだったら、まず普通に面白くて目が離せないのにラストで騙された!全部伏線だったのか?!って驚きがありますからね
これは伏線蒔きました、伏線回収します、どう?すごいでしょ?ぐらいのものですね
自分が道端に捨てたゴミは自分で拾うのは当然の行為なのに、すごいことしてると勘違いしてるんでしょうね
そもそも佐藤二朗がなんで殺人や教唆してるの?とかね、オチのどんでん返しのために動機とか感情の流れとか全部ムリヤリ繋げているだけですから
タイトルも伏線だったとか、それは誰でも、どんな映画でもやろうと思えば出来ますから
普通の製作者は、宣伝優先でキャッチーなタイトル付けてるだけですしね
伏線にしたいだけのタイトル「さがす」では客が観たいと思わないって失敗しないと気づけないのかな?
監督さんも岬の兄妹で注目されての商業デビューだったから、気負ったんでしょうね
所詮は自主映画界での話だから、一般人は誰も知らないからもっと普通にやれば良かったんですよね
中途半端な脚本家が何人も入ることで、岬の兄妹みたいにゴツゴツしてた部分も丸くなっちゃったし、とても残念な出来でした
でも、次回作も一応見ておこうとは思ってます
それもつまらなければ、多分この監督さんの名前では観ないです
あ、それと、カット割らないように長回しで引きの画ばがりだったから顔のアップが極端に少なかったです
それも役者の感情、葛藤、変化が観客に伝わってこない原因だと思いますね
感情移入して話にのめり込めませんでした
あと疑問だったのが、父親が真犯人だって娘が断定できた決め手って何ですか?
すげえご都合でラスト繋げたなと驚いたんですが、それまでがつまらないから私が伏線を見逃した可能性もあります
それに、母親が絞殺されたのに事件にならなかったの、何でですか?
自由が効かない身体だから自殺に見せかけるのも無理があるので、すぐに殺人と疑われて捜査が始まり警察介入するはずなんですが……
そこら辺を、娘の勘を良くさせて作者に都合よく話を繋げたり、ご都合で警察をバカにして介入を遅らることで話を思い通りに仕向けたり、そういう脚本書かれると本当に醒めますね
この辺の二流脚本家はそれで観客を騙せると思ってるのかな?
監督さんは無理してトリッキーな脚本作ろうとしないで、もう一度シンプルな話を考えたほうがいいと思いました
第3作目はシンプルで強いヤツを期待しています
早くも本年度ベスト級
「岬の兄妹」の片山慎三監督の商業デビュー作!にしてベスト級!!!
「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督のお弟子さんです!!この予想を超えてくるダイナミックな展開はポン・ジュノ監督譲りでしょうか。
とにかく脚本が素晴らしい。
このテーマはネタバレになるかもしれませんが、クリント・イーストウッド監督の「ミリオンダラー・ベイビー」で物議を醸し出した"尊厳死"を中心として、
アマチュア犯罪もののリアリティやシリアルさと、アマチュアが故の滑稽さやバカバカしさが交わる絶妙なラインを行き来する展開で2時間があっという間です。
ここでキャスティング佐藤二朗さんですよ。この狙いは完璧に当たりでした。演技の力を感じる中盤の見せ場。号泣必死。
大阪の西成地区でのロケハン!すごい!怖い!笑
あ!っと驚くカメラワークもあり、バカバカしくて笑ってしまうシーンもあり、クラシック音楽をバックにした重厚なドラマもあり、こういった商業作品としてのエンタメ性は「岬の兄妹」とはまた違った感じで面白かったです。
ただ公開規模が小さい!笑
都内だとテアトル新宿か渋谷シネクイント、池袋シネマ・ロサ。
これは久しぶりに凄い映画ですよ。
片山慎三監督は今後も絶対に注目の監督になりました。
和製ポン・ジュノの「娘なる証明」はどこをとっても大傑作!
他にもいろいろ出ているとはいえ、『湯を沸かすほどの熱い愛』⇒『空白』⇒『さがす』になる伊東蒼の映画内世界の親ガチャ結果がすごすぎる…。褒めるというより称えることばかりのこの映画だけど、何よりこの作品の根幹は伊東蒼の作品の牽引力に尽きる。佐藤二朗の本気にも負けない下品さを示すシーン(クチャクチャ 唾吐き)、シリアスなのにコメディーリリーフができている点、本場の関西弁、若干の上目遣い…。とにかくとんでもない役者だった。
改めて本編を見終わって思うのは、予告編がかなり周到に作られているということ。実は終盤の重要なシーンも入れ込み、作品の世界観を提示しつつも、映画初見時に驚いてほしいところは上手く抜き取っている。これは凄い。
「おっぱいバレー」?「おっぱい卓球」?シーンが物凄くノイズだなあと序盤は思ったけど、こういう風につながってきてたのかというのは納得。
また、倫理観問われるシーンもあるけれども、自分は誠実に向き合っていると思った。僕は安楽死は積極的にしていっていいと思っているからかもしれないが。
和製ポン・ジュノの「娘なる証明」という映画を見届けた感じ。ジャンルが多岐にわたるところや、ブラックユーモアがバンバン決まっていて、笑っちゃいけないところで思わず笑ってしまうところもいい。
オープニングカットがこう繋がるんかというのもそうだけど、アバンが出るまでの流れが完璧。伊東蒼の全力疾走。人間臭さ。西成の風景。部屋の中の細部までこだわられた美術の素晴らしさ。若干下から撮ることで不穏さを演出しつつ、甘ったるいクラシック音楽をかけているのもグッド。
どんでん返しというか視点を変えることで見えてくるものが面白い。ネタバレなしで見て欲しい。2回目の方が面白いタイプの作品だけど、1回目の衝撃は忘れることはできないだろう。予告編でも使われていた父と娘の卓球ラリー、余韻がエグい。ピンポン球の音はもう恐ろしい。
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