死刑にいたる病のレビュー・感想・評価
全412件中、1~20件目を表示
分からない、を分からなければ
爽やかな上天気の日に、あえてこんな暗い映画なんて…と思っていたら、意外にも大入り。8、9割の席が埋まっていた。周りに気兼ねするかも…と気後れしたのは最初だけ。あっという間に深い沼に沈められ、他の人の気配どころか、底なしの孤独感。ぽつんと一人でスクリーンに対峙しているような錯覚に陥った。
うさん臭いと思いながらも、ずるずると連続殺人の謎に引き込まれていく大学生•雅也。鬱々とした日常から逃れる憂さ晴らしのはずが、「自分だけが知っている」かもしれない真実のかけら集めに、自らのめり込んでいく。
そんな彼と対照的なのが、白石組の常連•音尾琢真が演じる、かつてのボランティア仲間だ。中盤のワンシーンのみながら、強い印象を残す。本作では唯一、カラッとした明るさ(軽薄ともいう)の持ち主だが、榛村の本質をいち早く見抜いた人物でもある。彼と雅也との決定的な違いは、榛村の不可解さとの付き合い方ではないか。雅也は、不可解さを抱えきれず、「分かる」ことを急ぎすぎたのかもしれない。
とにかく、阿部サダヲ演じるパン屋•榛村は怖い。事前の予想(覚悟)を、軽々と飛び越える狂気に満ちている。黒みの多い目は、何を考えているのか分からない。黙ってそこにいるだけで、得体の知れないオーラが漂っている。けれども、皆なぜか彼をやり過ごせない。彼の所業を知れば知るほど、初めは小洒落ていると思えた服装や店の作り、柔らかな物腰が、ぞっとするものに反転する。一体何を見聞きしていたのかと、自分の感覚に自信が持てなくなるほどに。
彼を取り巻くキャスティングの意外性に加え、拘置所の面会室でのやり取りに、毎回息を呑んだ。アクリル板に反射する互いの顔が、初めは向き合い、次第に重なり合っていったかと思いきや、すっと指先が触れ合う。気付くと、そっと肩を抱かれている。透明な板に仕切られ、安全な遠い対岸にいたはずが、いともたやすく繋がってしまう。そんな危うさが、視覚的に描かれ秀逸だった。
「あなたが決めて」、「君はすごい」、「あなただけ」、「私にはわかる」、桜の花びら、きれいな手指…。冒頭から折り込まれていた恐るべき伏線に、最後は息を呑む。観終えてからも、日常の中で映画の言葉や物事に再度触れたとき、あの世界が、自分の住む世界と地続きなのだと、思い知らされる。こうやって本作について幾たびも思い返していること自体、すでに榛原に支配されつつある証なのかもしれない。
灯里役・宮崎優を世に出す衝撃作
全体的に好キャスティングが光る。シリアルキラー・榛村を演じる阿部サダヲは、大人計画入団時に提出した履歴書の写真で顔色が悪かったことから芸名が「死体写真」になりかけたという逸話がよく知られるが、常に死んだような目をしていることもそんな印象に影響しただろう。穏やかな物腰と細やかな気配りで狙った相手の心を支配するという人物設定に、あの眼差しが説得力を与えている。
榛村に取り込まれそうになりながらも抗おうとする大学生・雅也を演じた岡田健史も、阿部とのコントラストが絶妙だ。長髪の謎の男は誰が演じているのかわからないまま、エンドロールで岩田剛典の名を見て「ああ、あの男か」とようやく気づいた。それほど見事にスターオーラを消している。
そして、雅也と同じ大学に通う灯里を演じた宮崎優。初めのうちこそ彼女の目立たず内にこもった感じが、映画の中で“映えていない”ように感じたが、次第に秘めていたものが表に出てきて、あの地味目な見かけも実は伏線だったかと驚愕させられた。過去の出演作「任侠学園」「うみべの女の子」を観たのに印象に残っていないが、本作での演技は映画関係者と観客の心にしっかりと刻まれるだろう。宮崎優を世に出す一本でもある。
阿部サダヲの“遊び”を心まで堪能する作品
見応えのある作品だけど、胸糞悪い話だ
マインドコントロールに長けたシリアルキラー
といってしまえば、カッコいいけど
精神はただの弱いものいじめと、命の尊さをわからない人にあらざる物です
能力があっても、獣なんですよ
社会に害する物は排除対象
賞賛すべきでは無い
そこはしっかりと心に留めておかないといけない
マインドコントロール時の光の無い眼はさすが阿部サダヲだ
恐ろしい
ただ、拷問のシーンでは狂気のオーラが無い
この男は不能なのかな?
性的欲求より、拷問の方が快感に感じる人間はいるだろう
たが、残虐な行為には、性的欲求が付随する
場合によっては、残虐行為が性的興奮を増長させる
しかし
彼にはそれがない
この事が犯罪者をヒーロー扱いさせてしまうことになる
実際、彼のことを悪い人と思わないと言わせていましたね
あれを言わせた以上、作品の中で彼を人非人であることを証明しないといけない
この作品において、彼をヒーローたらしめないためにも、性的暴行を描くべきだったと思う
いかに、醜悪であるかをみせて、彼をおとしめてこそ社会的意義があると思う
マインドコントロールの能力や頭脳ゲームに終始する限り、悪もまたヒーローに祭り上げられる
”羊たちの沈黙”シリーズもそうですよね
映画は原作以上に、犯人のの心理を補足して分かりやすくしているようです
それは評価できる
ただ、結末にオリジナルの追加シーンを入れたのは賛否両論あるかな
まあ、ホラー映画の最後のどんでん返しのような軽い気持ちでやったんなら、監督権限でいいでしょう
そうでなければ、原作とは変わってしまう
気になったのは、最後の面会で、今日は時間をいくら使ってもいいと言われた事
もしかして、翌日に死刑がおこなわれるのかな?って思いました
たしか、本人には当日までわからないはずだけど
職員にもマインドコントロールをしているようなので、教えてもらったのかな
宮﨑優という女優は初めて見ました
古い言い方ですが、エッチな感じがとてもいい
それでも僕はやってない(23人殺ってる)
僕はこだわりの殺人鬼!
被害者と信頼関係を築いてから、
懇切丁寧に殺すのだ!
「なぜ?どうして!?」と、困惑する姿がたまらんのじゃー!
調子乗ってたら警察に捕まったわ
やっちまったわー
警察に罪を立件されたけれども待ってれ!
違うって!他の殺人は確かに僕だけど、
その殺人は僕じゃないってば!!
その1件だけは違うんだってば!!!
そんな雑な殺人を僕がするわけないじゃないですかー!ヤダー!!
近所の顔見知りの大学生君に頼んで真犯人を探してもらおう!!
頼むぞ学生君!
僕の無実(別に無実ではない)を証明してくれーー!!
------------------------
あらすじからして面白い
内容も面白かった
バイオレンス映画好きな人に勧められたから、
おそらくバイオレンスなだけのクソ映画なんだろうなぁと、思ってたけど内容面白かった。
冤罪を扱った作品は数あれど殺人鬼が
「その殺人は俺じゃないよっ」てのは、なかなか見ないシチュエーションかも。
前半数分のエグい表現を我慢すれば、普通のミステリーだったわ。
単純に真犯人気になるものね。
阿部サダヲってやっぱ演技上手いな、狂人が普通の人として暮らしてる演技上手いな。
深い闇を感じる目の演技マジよかった!
演者の演技みんな良かった
日本映画のわりにテンポいい作品なので非常に見やすくて好感が持てました。
暗闇を彷徨うような想像できない展開
連続殺人犯のサイコパスを阿部サダヲに抜擢した人は誰?素晴らしい仕事ぶりと拍手をしたい。とにかくこの男に主人公を含め多くの登場人物、ならびに観客までも振り回されることになる。
序盤からエグい拷問シーンから始まり、なぜ主人公が殺人犯の頼みを聞いてるのか?という疑問だらけから話はスタート。物語が進んだと思いきや、今度は家族を巻き込んだ展開に…
何が正しくて間違っているのか、謎が謎を呼び、とにかく物語がどのように着陸するのか全くわからなくなる。
まるで暗闇を彷徨うかの如く、主人公の鬱屈した感情を晴らすシーンも重なり、気持ちが重くなりながらも目が離せなくなる。
阿部サダヲの面会シーンなんかは、相手の心に入り込む様をとてもうまく表現していた。加えてラストでは頭を抱えてしまった…
とんでもない邦画サスペンスだなと感じました。高評価。
怪演
君みたいに普通の人間達は、どこかで特別な人間になりたいと思ってる
・阿部サダヲさんの怪演が光ってるなあという第一印象。でも謎に迫る雅也役の水上さんも、一定のトーンで役を演じている印象があり凄い
・原作を読んでないけど、タイトルの通り病が伝染していく表現が全体を通して感じられ、オチもしっくりきた。ただ、他の批評にもある通りこの先(映画終了後)、どうなっちゃうんだろうと鑑賞者側に考えさせる余地も与えている気がして、そこんところ考えて作られてるなあと思った。
・猟奇的な場面が最初から映されてちょっとウッとなったけど、だんだん慣れた。リアルでこういう人が世の中にいると思うとうかつに人を見た目で判断したらいけないよなあと思えてしまった。
久々に面白いと思えた邦画〜こっち側に来たらもう戻れないよ…
2022年公開、配給はKlock Worx(クロックワークス)。櫛木理宇による同名の長編サスペンス小説を原作としている。
監督:白石和彌
脚本:高田亮
監督の白石和彌は『日本で一番悪い奴ら』、『孤狼の血』などハードタッチなクライムサスペンスを得意としている。
【榛村大和】:阿部サダヲ
【筧井雅也】:岡田健史
【金山一輝】:岩田剛典
【加納灯里】:宮﨑優
【筧井衿子】:中山美穂
1.犯行シーンの残虐さ
R12となっていたので油断した。
R18で良いと思う。
2.岡田健史がイケメンすぎる件
原作によると筧井雅也は、陰キャである。
イケメンすぎると陰キャが負けてしまう。
3.面白い展開&緊迫感のある映像と音
4.その他
書こうかどうか迷いましたが、
雅也の母親の衿子役は、別の女優さんが良かったかも。
久々に面白いと思えた邦画でした。
ゆえに、☆4.0
久々エグい
惹き込まれるが
人心掌握の天才が、快楽殺人鬼だったら
阿部サダヲはハマり役。このサイコパス感がすごい。昔、悪の教典ていう映画があったけど、あの主人公も周囲の信頼を得るのがうまかった設定。そういう人の狂気が面白いところ。
一応ミステリーなのかな。
この殺人鬼の犯した殺人のうち、1人だけが真犯人が違うから探してほしいという依頼を解決しようと奔走する。
ミステリー好きなら、まず真っ先にこの探偵役が実は犯人なのでは?と勘繰るところから始まる。
阿部サダヲは捕まえた少年少女を監禁し、ひどい拷問にかける。拷問というものの、特に聞き出すことはないから、ただ単に苦しめて殺すのが好きなだけ。
その描写が冒頭に出てくるのだが、なかなかに痛々しい。苦手な人は注意。
その中でもダントツに胸糞悪かったのが映画終盤の回想にある河原のシーン。わかる人にはわかるが、なによりもキツかった。
最後にはサプライズも飛び込んできて、なかなか面白かった。
俳優陣の演技力がすごい!
とっても面白かったです。
久しぶりにいい映画を見ました。
阿部サダヲさんの演技力はもちろんのこと
出演しているみなさんすごかったです。
特に岡田健史さんは中学聖日記の演技力で残念に思ってたのですが
本作をみて印象が本当に変わりました。
冒頭のナレーションも合っていてうまく引き込んでいったと思います。
最後には思いもよらないところからのアプローチだったり
爽快な気分にはなることはありませんが
不思議と見終わっても不快感はありませんでした。
演じている方々の演技力や優れた脚本が元にあると成功するんだと改めて気づきました。
ただかなりグロいシーンが何回もあるため
耐性がない方にはきついと思われます。
実際自分も思わず目を背けたくなるシーンがありました。
とんでもないストーリーですが不気味で気持ち悪いだけではない
不思議な感覚に陥りました。
終始鬱々とした作品ですが一度見ても後悔しないものだと思います。
全412件中、1~20件目を表示