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死刑にいたる病 : 特集

2022年5月2日更新

映画史に輝くサイコパス誕生…阿部サダヲ、ヤバすぎ、
怖すぎ、狂気的―― 人間の闇を目から飲み込み、
ゾクゾク止まらぬ衝撃体験もたらす【会心の一作】

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あなたはこの殺人鬼に恐怖するか? それとも魅了されるか――? 日本、いや世界の映画史にその名を刻むかもしれないサイコパスが誕生した。

「孤狼の血」シリーズなど話題作を次々と世に送り出す白石和彌監督。その最新作「死刑にいたる病」が5月6日に公開となる。

主人公・榛村大和は24件もの殺人容疑で逮捕された死刑囚……こちらの特集では、阿部サダヲが演じたこのヤバすぎる殺人鬼にフォーカスしつつ、“現時点での白石和彌の最高傑作”と断言したくなる本作「死刑にいたる病」の見どころについて、たっぷりと紹介していく。


【予告編】殺人鬼からの要望は、たった一件の冤罪証明だった──

【人間の闇を覗く快感】
なぜ私たち映画ファンは、連続殺人鬼に惹かれるのか?

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●「ハンニバル」レクター博士、「ジョジョ」吉良吉影…映画や漫画に刻まれる“魅力的”なサイコパスの歴史

理性では「近づいてはいけない!」と危険性を理解しつつ、惹かれずにはいられない――。エンタテインメント史にその名を刻むサイコパスたちは、そんな抗いがたい魅力を放っているものだ。

例えば、著名な精神科医にして猟奇殺人犯でもあるハンニバル・レクター。映画「ハンニバル」で名優アンソニー・ホプキンス演じる彼が、殺害相手の脳みそを食べる場面は、究極のトラウマシーンとして世界中の映画ファンを震え上がらせた。

映画「ハンニバル」より
映画「ハンニバル」より

日本が誇る最強コンテンツである漫画において、圧倒的な人気を誇る連続殺人鬼と言えば、「ジョジョの奇妙な冒険」の吉良吉影だ。表向きは平穏な生活を送りつつ、たまに生じる内なる衝動を抑えきれずに、殺人を繰り返す。女性の美しい手に異常なまでの執着があり、死体処理後も手だけを持ち歩き、指輪やバッグを買い与えたり……。

さらに近年の映画界における“最凶の悪”と言えるのが、「ジョーカー」のタイトルロールであるジョーカー。老いた母と暮らす心優しきコメディアンだった男が、社会の不条理に直面する中で鬱屈した感情を爆発させ、悪のカリスマへとのぼりつめていく様に、衝撃を受けた観客は少なくないだろう。

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以上、現在の映画・マンガなどの歴史に残る殺人鬼やサイコパスを、3人、例に挙げさせてもらった。本作「死刑にいたる病」の主役・榛村大和は、彼らに勝るとも劣らない稀有な存在感を放っている。その闇の深さを、心して目撃してほしい。


●新たな“強烈”が誕生――怪優・阿部サダヲ演じる榛村に、鳥肌が止まらない

物語は、1通の手紙から始まる。大学生の筧井雅也(岡田健史)は、24件もの殺人容疑で逮捕され、死刑判決を受けた榛村(阿部サダヲ)から手紙を受け取った。榛村はかつて雅也の地元でパン屋を営んでおり、雅也も中学時代にその店によく通っていた。

榛村は、拘置所に面会に訪れた雅也にあるお願いをする。それは彼が起訴された殺人事件の中で最後の1件は彼の犯行ではなく、その冤罪を晴らしてほしいというもの。求めに応じ、雅也は事件の再調査を始めるが……。

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殺人鬼・榛村を演じたのは、阿部サダヲ。コメディからシリアスまで幅広い演技で、お茶の間や映画館に笑いと涙を届けてきた阿部が、本作ではこれまであまり見せてこなかった“狂気”の男を怪演。

語り口も佇まいも優しく穏やか――だからこそ、時折りその目に宿る怪しい光が怖い……観るものが思わず「こんな阿部サダヲ、見たことない」と口をふさいでしまうようなサイコパスを見事に体現している。


【榛村大和】関わる者全てを地獄へ導く“殺人芸術家”
ヤバすぎる“3つの異常性”に、心の底から震撼する…

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榛村の犯行には、非常に特徴的な要素がある。まさにそれが榛村の怖さの源なのだが……この項目では、3つの異常性を紹介する。


[異常性①]殺す対象にはルールがある…真面目で賢い高校生、男女問わず――

榛村がターゲットにするのは、黒髪で、制服をきちんと校則通りに着るような真面目な高校生(曰く「17歳か18歳」)。彼の営むパン屋のカフェで放課後にテスト勉強をするような優等生タイプの少年少女たちに狙いを定め、餌食にしていった。

もうひとつ、対象は“男女を問わない”のも彼の特徴的な嗜好だった。雅也は中学生時代にこのパン屋を頻繁に訪れており、「自分も被害者のひとりになっていたかもしれない」という事実に戦慄しながらも、どういうわけか榛村に強い興味を抱いていく。

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[異常性②]まるでガーデニングをするみたいに、少年少女を殺していく――

殺す際にも“秩序型”殺人犯らしく、自らの強い美学がにじむルールを踏襲する。

被害者を縛り付け、爪を1枚1枚ペンチではがし、コレクションに。さらに、慈しみに満ちたまなざしで花を愛でるかのように被害者をいたぶり、楽しみ、決められた手順に沿って手際よく死体を“処理”する。

その際に出た灰を肥料に、記念の(?)植樹をする姿も……まさにガーデニングだ……!

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[異常性③]人の心を操るのが上手すぎる…関係者全員が、榛村を“好き”になる――

榛村の周囲の人間は、彼の言葉や醸し出す雰囲気につい心を許してしまう。それはカフェで親切にされた、被害者の少年少女たちに限らないから驚きだ。

拘置所では、厳しく接するはずの刑務官が榛村に敬語で話しかけ、自分の娘に読ませるおすすめの児童文学を尋ねるほどに心酔。榛村の自宅近隣の老人は、「あの人がいま警察から逃げて『匿ってくれ』と言ってきたら、匿っちゃうかもしれない」とまで口にする。

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文字通り、榛村に接した者は誰もが、彼を“好き”になってしまう。それは雅也も例外ではなく……ある事実を知ったとき、物語は大きくうねり、想像を絶する結末へと突入していく。


【レビュー】膝から崩れ落ちるほどのどんでん返し…!
白石和彌の“最高傑作”は、何度も観たい“魔の迷宮”

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最後に、実際に鑑賞した映画記者のレビューを記述し、特集を締めくくろう。本作のどのポイントが“尖っている”のか、詳細に語っていく。


●ハリウッドの力作と遜色ないレベル…白石和彌、現時点の最高傑作が出た!

ノンフィクション小説を原作にした「凶悪」で、白石和彌の名が一躍、邦画界に知れ渡ったのが2013年。そこから10年ほどの間に「彼女がその名を知らない鳥たち」「サニー 32」、「孤狼の血」シリーズなど、高品質の作品を生み出してきた。

が、本作は白石和彌の“現時点での最高傑作”といっても過言ではない。いや、ハリウッドなど世界最高峰のサスペンスと比べても遜色ない、とさえ言えるほどの出来栄えとなっている。

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この最高傑作の“軸”を担っているのはもちろん、阿部サダヲの怪演が生み出した稀代のサイコパス・榛村。相手の心に寄り添い、思いのままに操っていく魔性のカリスマを発揮する描写は、まさに白石作品の真骨頂だ。

拘置所の面会室で受刑者と面会者が1対1で向き合うという描写は、「凶悪」「孤狼の血」などでもおなじみの白石作品でよく見られる構図だが、本作の面会室は過去作品とはまた趣が違う。

事件を再調査する雅也(岡田健史)が、面会室での榛村との交流を通じて、透明のパネル越しに心を掌握されていく。その過程は、見ていて“背筋が凍るような恐怖”としか言いようのない、奇妙な不気味さを感じさせられる。

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●ゾクゾクが全力疾走して止まらない“どんでん返し” 2度目の鑑賞が「笑っちゃうくらい面白い」

こうした心理描写に加えて、サスペンスとしての完成度の高さも本作の魅力。櫛木理宇による原作小説は出版当初から“イヤミス”の傑作として、ラスト10ページの展開が大きな話題を呼んだが、その鋭い切れ味は映画版でも健在だった。

だからこそ、本作はリピート鑑賞することを強く推奨したい。まず一度目は“探偵役”と言える岡田健史演じる雅也の視点で事件を追いかけ、たどり着いた真相に驚がくすべし!

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そして二度目は、“犯人”の視点で登場人物ひとりひとりの表情やしぐさなど、細部に至るまで観察してほしい。結末を知っているからこそ、あちこちに散りばめられた伏線を楽しめるはず。そして、思わず笑いがこみ上げてきてしまうほど“面白い”時間を過ごせるだろう。

最高の演出と演技によって紡ぎ出された、極上のサスペンス――ぜひ、劇場で堪能してきてほしい。

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インタビュー

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