死刑にいたる病

劇場公開日:

死刑にいたる病

解説

「凶悪」「孤狼の血」の白石和彌監督が、櫛木理宇の小説「死刑にいたる病」を映画化したサイコサスペンス。鬱屈した日々を送る大学生・雅也のもとに、世間を震撼させた連続殺人事件の犯人・榛村から1通の手紙が届く。24件の殺人容疑で逮捕され死刑判決を受けた榛村は、犯行当時、雅也の地元でパン屋を営んでおり、中学生だった雅也もよく店を訪れていた。手紙の中で、榛村は自身の罪を認めたものの、最後の事件は冤罪だと訴え、犯人が他にいることを証明してほしいと雅也に依頼する。独自に事件を調べ始めた雅也は、想像を超えるほどに残酷な真相にたどり着く。「彼女がその名を知らない鳥たち」の阿部サダヲと「望み」の岡田健史が主演を務め、岩田剛典、中山美穂が共演。「そこのみにて光輝く」の高田亮が脚本を手がけた。

2022年製作/128分/PG12/日本
配給:クロックワークス
劇場公開日:2022年5月6日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第46回 日本アカデミー賞(2023年)

ノミネート

最優秀主演男優賞 阿部サダヲ
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映画レビュー

4.0分からない、を分からなければ

2022年5月10日
iPhoneアプリから投稿

 爽やかな上天気の日に、あえてこんな暗い映画なんて…と思っていたら、意外にも大入り。8、9割の席が埋まっていた。周りに気兼ねするかも…と気後れしたのは最初だけ。あっという間に深い沼に沈められ、他の人の気配どころか、底なしの孤独感。ぽつんと一人でスクリーンに対峙しているような錯覚に陥った。  うさん臭いと思いながらも、ずるずると連続殺人の謎に引き込まれていく大学生•雅也。鬱々とした日常から逃れる憂さ晴らしのはずが、「自分だけが知っている」かもしれない真実のかけら集めに、自らのめり込んでいく。  そんな彼と対照的なのが、白石組の常連•音尾琢真が演じる、かつてのボランティア仲間だ。中盤のワンシーンのみながら、強い印象を残す。本作では唯一、カラッとした明るさ(軽薄ともいう)の持ち主だが、榛村の本質をいち早く見抜いた人物でもある。彼と雅也との決定的な違いは、榛村の不可解さとの付き合い方ではないか。雅也は、不可解さを抱えきれず、「分かる」ことを急ぎすぎたのかもしれない。  とにかく、阿部サダヲ演じるパン屋•榛村は怖い。事前の予想(覚悟)を、軽々と飛び越える狂気に満ちている。黒みの多い目は、何を考えているのか分からない。黙ってそこにいるだけで、得体の知れないオーラが漂っている。けれども、皆なぜか彼をやり過ごせない。彼の所業を知れば知るほど、初めは小洒落ていると思えた服装や店の作り、柔らかな物腰が、ぞっとするものに反転する。一体何を見聞きしていたのかと、自分の感覚に自信が持てなくなるほどに。  彼を取り巻くキャスティングの意外性に加え、拘置所の面会室でのやり取りに、毎回息を呑んだ。アクリル板に反射する互いの顔が、初めは向き合い、次第に重なり合っていったかと思いきや、すっと指先が触れ合う。気付くと、そっと肩を抱かれている。透明な板に仕切られ、安全な遠い対岸にいたはずが、いともたやすく繋がってしまう。そんな危うさが、視覚的に描かれ秀逸だった。 「あなたが決めて」、「君はすごい」、「あなただけ」、「私にはわかる」、桜の花びら、きれいな手指…。冒頭から折り込まれていた恐るべき伏線に、最後は息を呑む。観終えてからも、日常の中で映画の言葉や物事に再度触れたとき、あの世界が、自分の住む世界と地続きなのだと、思い知らされる。こうやって本作について幾たびも思い返していること自体、すでに榛原に支配されつつある証なのかもしれない。

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cma

3.0サイコな怖さよりゴア描写の痛々しさが悪目立ち

2022年5月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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ニコ

3.5白石和彌は止まらない。

2022年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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高橋直樹

4.0灯里役・宮崎優を世に出す衝撃作

2022年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

興奮

全体的に好キャスティングが光る。シリアルキラー・榛村を演じる阿部サダヲは、大人計画入団時に提出した履歴書の写真で顔色が悪かったことから芸名が「死体写真」になりかけたという逸話がよく知られるが、常に死んだような目をしていることもそんな印象に影響しただろう。穏やかな物腰と細やかな気配りで狙った相手の心を支配するという人物設定に、あの眼差しが説得力を与えている。 榛村に取り込まれそうになりながらも抗おうとする大学生・雅也を演じた岡田健史も、阿部とのコントラストが絶妙だ。長髪の謎の男は誰が演じているのかわからないまま、エンドロールで岩田剛典の名を見て「ああ、あの男か」とようやく気づいた。それほど見事にスターオーラを消している。 そして、雅也と同じ大学に通う灯里を演じた宮崎優。初めのうちこそ彼女の目立たず内にこもった感じが、映画の中で“映えていない”ように感じたが、次第に秘めていたものが表に出てきて、あの地味目な見かけも実は伏線だったかと驚愕させられた。過去の出演作「任侠学園」「うみべの女の子」を観たのに印象に残っていないが、本作での演技は映画関係者と観客の心にしっかりと刻まれるだろう。宮崎優を世に出す一本でもある。

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高森 郁哉