異端の鳥

劇場公開日:

異端の鳥

解説

ナチスのホロコーストから逃れるために田舎に疎開した少年が差別に抗いながら強く生き抜く姿と、ごく普通の人々が異物である少年を徹底的に攻撃する姿を描き、第76回ベネチア国際映画祭でユニセフ賞を受賞した作品。ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した同名小説を原作に、チェコ出身のバーツラフ・マルホウル監督が11年の歳月をかけて映像化した。東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である1人暮らしの叔母が病死して行き場を失い、たった1人で旅に出ることに。行く先々で彼を異物とみなす人間たちからひどい仕打ちを受けながらも、なんとか生き延びようと必死でもがき続けるが……。新人俳優ペトル・コラールが主演を務め、ステラン・スカルスガルド、ハーベイ・カイテルらベテラン俳優陣が脇を固める。2019年・第32回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門では「ペインテッド・バード」のタイトルで上映。

2019年製作/169分/R15+/チェコ・スロバキア・ウクライナ合作
原題または英題:The Painted Bird
配給:トランスフォーマー
劇場公開日:2020年10月9日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第76回 ベネチア国際映画祭(2019年)

出品

コンペティション部門 出品作品 バーツラフ・マルホウル
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映画レビュー

5.0大変な傑作

2020年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

35ミリフィルムのモノクロームのシネスコの映像は美しい。しかし、その美しい映像が照らし出すものはひたすらに残虐で醜い。これは人間の残虐な本性についての映像詩だ。人間に対しては口を聞かない主人公の少年は、ナチスの手から逃れるためにあてのない旅を続ける。彼が目の当たりにするものは、生き延びるためにはどんな残酷なこともいとわない人間たちの痴態だ。男も女も関係ない、ここには人間普遍の醜さがこれでもかと連続して描かれる。
しかし、本作は悪趣味な見世物とならない。この映画は観客を安全な立ち位置に置かない。お前も同じだと終始突きつける。ここに描かれた人々は、時には善良な小市民である。元々人間とはこういうものなのだと、人は生きるために残忍さを引き受けなくてはならない時があると冷徹に示しているのだ。
この映画はたしかに不快である。しかし、人の心に傷をつけ、意識を変えるのが本来のアートだ。まぎれもなく一級品のアートである。不快であっても目が離せない、観終わった後には世界が変わって見える傑作だ。

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杉本穂高

4.5言葉の削減とモノクロ映像は“引き算の美学”

2020年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

知的

169分の長尺ではあるが、原作と比較するとかなり情報を間引いて整理しており、それが奏功している。少年の視点で綴られた小説は、地の文で彼の内声が記され、前半までは会話もする(都会育ちの少年の言葉が、疎開先で田舎者から攻撃される一因になる)。一方で映画の少年はほとんど言葉を発しない。これが観客の想像の余地を広げ、各自の経験や知識に重ねて感情移入する助けになる。

モノクロ映像が選択されたことの大きな利点は、原作で地域の住民と異なるとされた少年の瞳と髪と肌の色に関し、映画ではさほど差異が目立たないこと。大して違わないのになぜそこまで虐め攻撃するのかと、差別と暴力の理不尽さを強調する効果が生まれた。もちろん、墨絵に通じる省略の美、余白の味も認められる。

ナチスの戦争犯罪やユダヤ人迫害にフォーカスするのではなく、普通の人々の罪を提示したこと、そして少年自身の変容を描いたことにも喝采を送りたい。

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高森 郁哉

3.5自分の名前

2024年7月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

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ゆい

3.5☆☆☆★★★ とりとめのない感想 まあ、、、どうレビューを書こうと...

2024年3月10日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆★★★

とりとめのない感想

まあ、、、どうレビューを書こうとも、多くの人と同じ感想になってしまう。

まあ、1つだけ神の視点で、、、
冒頭直後、小川のほとりに佇む少年。
カメラはいきなり神の目線となる。
終始無表情の少年だったが。中盤で殺されそうになると、突然感情を露わにする。
すると、神の誘いを受け。赦しの機会を得るのだが、、、

またしても神から見放される少年。

やがて少年は、殺人マシーンとしてどんどんと無機質な人格へと変わって行く。

だがそんな少年も、最後には神の赦しの視点からのエンディングが、、、

ロードムービーで有り、ある意味ではオムニバス系
と言っても良い。
2時間50分はあっとゆう間に終わってしまうものの。少年を主人公に据えつつ、性描写が生々しい為に、多少は好き嫌いが分かれそうだ。

最後のパートが駆け足で。いきなり少年の感情が戻ってしまう辺りは、ちょっと勿体なくは思いましたが。

後半の焼き討ちの場面で、『荒野の七人』『地獄の黙示録』『ジョーズ』
また他の場面では、ブニュエルの『忘れられた人々』等を、意識していた様なショットが有った気が💦

2020年 11月7日 TOHOシネマズ/シャンテシネ2

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松井の天井直撃ホームラン