長いお別れ

劇場公開日:

長いお別れ

解説

初の商業映画監督作「湯を沸かすほどの熱い愛」が日本アカデミー賞ほか多数の映画賞を受賞するなど高い評価を獲得した中野量太監督が、認知症を患う父親とその家族の姿を描いた中島京子の小説「長いお別れ」を映画化。これまでオリジナル脚本作品を手がけてきた中野監督にとっては、初の原作ものとなった。父・昇平の70歳の誕生日で久しぶりに集まった娘たちは、厳格な父が認知症になったという事実を告げられる。日に日に記憶を失い、父でも夫でもなくなっていく昇平の様子に戸惑いながらも、そんな昇平と向き合うことで、おのおのが自分自身を見つめなおしていく。そんな中、家族の誰もが忘れていた思い出が、昇平の中で息づいていることがわかり……。一家の次女・芙美役を蒼井優、長女・麻里役を竹内結子、母・曜子役を松原智恵子が務め、認知症を患う父・昇平を山崎努が演じた。

2019年製作/127分/G/日本
配給:アスミック・エース
劇場公開日:2019年5月31日

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(C)2019「長いお別れ」製作委員会 (C)中島京子/文藝春秋

映画レビュー

4.5中野監督はまたも家族映画の傑作を我々に届けてくれた

2019年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

認知症を患った父との7年間の日々、と書くと、介護日記のようなものと思われるかもしれない。私の印象も最初はそうだった。しかしいざ幕が上がると、そこにはむしろ「私たちの物語」が映し出されていたように思う。描かれるのは7年間だが、ある意味、昭和、平成を超えて新たな時代へと向かおうとする私たちの誰しもに通底するクロニクルが、そこには刻まれていたのではないか。

過ぎ行く季節の中で、忘れてしまうこと、俄かに思い出されること、手では掴めずとも残り香のようになって留まり続けるものもあるかもしれない。私たちはその全てを抱きしめながら、この時を歩んでいく。

鑑賞中、あらゆるシーンと登場人物が愛おしてたまらなくなった。生きること、生きていてくれることが尊く思えるようになった。おそらく俳優陣のとびきりの笑顔と、決して光を失わない明るさがそう思わせるのだろう。中野監督はまたも家族映画の傑作を私達に届けてくれた。

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牛津厚信

5.0回転木馬のシーンは忘れえぬ名場面

2019年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

笑える

幸せ

中島京子がアルツハイマーの父を“見送った”実体験をもとにした小説が原作というだけあり、認知症の家族を持った人にとってはあるあるエピソードが満載。実際に介護をしている時には、悲しい、やるせない、振り回されることへの怒り、明日は我が身かとの不安など、さまざまな感情が入り混じって余裕がなくなる。でもお別れの後から振り返ると、なんだか笑えるような状況でもあったなあと。そんなことを思い出させてくれる、あたたかくて愛すべき珠玉作。

「湯を沸かすほどの熱い愛」は中野量太監督のオリジナル脚本で、本作は原作ものだが、一家の大黒柱的存在が緩慢な死を迎える過程と、それに寄り添い自らも変わる家族たち、という要素は驚くほど似ている。これも映画の神様がもたらす奇縁だろうか。俳優陣それぞれが素晴らしいが、認知症の進行をリアルに再現しつつ、じわりとしみるチャーミングさを失わない山崎努の演技力には改めて感服した。

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高森 郁哉

4.0ボケた本人は幸せかも

2025年1月12日
Androidアプリから投稿

蒼井優扮する東芙美の電話に松原智恵子扮する母親は何度も留守電を入れていた。

無邪気そうな竹内結子が痛いね。山崎努扮する校長にまでなった父親がボケた設定になってたな。70歳でボケてはね。しかしボケる可能性は誰にでもあるから自分にはね返るときついな。ボケた本人は幸せかもしれんが。それに記憶が混濁して若返るかも。娘がいるといいね。ただ家族はじめ皆に迷惑はかけたくはないね。

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重

4.0いいなぁ、中野量太ワールド

2025年1月6日
PCから投稿

「湯を沸かすほどの愛」の

中野量太監督がまた魅せてくれます。

認知症の父と家族の物語を、

ここまで優しく愛しく描いた映画は

ないんじゃないかな。



僕は喪主として両親を見送ったけど

介護も認知も経験しないままだ。

けれど周りの人の話を聞く限り、壮絶な

日々を家族は強いられることが多い。

だからこの話は甘すぎるし、キレイすぎる。

ファンタジーといってもいいかもしれない。

でもそこが胸を打つ。



これまで映画や歌やテレビを作ってきた。

いつも願っていたのは、人間のキレイなことを

書きたいということだ。

だけど腕がないので、たいがいキレイごとになって

しまう。



生きていてよかった。

人生捨てたもんじゃない。

観客にそう思ってもらえるのは、

現実の悲惨さや醜さを描く物語より

何十倍も難しい。

監督は見事にそのハードルを越えている。

主演の山崎努さんに、スタンディングオーベション!

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高坂圭