こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話のレビュー・感想・評価
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いい映画でした。
この作品こそが障害者を差別している。
評価:★★☆☆☆ 32点
作品の評価は高いので、私の性格が屈折していると思って読んで頂けると嬉しいです。
この作品の感想は、難病もの映画をユーモアに描き、毎日を明るく必死に生きていた鹿野さんを描いたエンターテイメント作品としては良い作品だと思いますが、実際の鹿野さんの生き様と脚本にかなり乖離があると感じ、全てを美談として、まとめようとしたことに違和感がありました。
原作、史実は本当に鹿野さん、ボランティアスタッフはこの通りだったのでしょうか? 凄く疑問です。というのは、劇中からでは鹿野さんの魅力が全く描けていないため、なぜ彼の周りに人が集まるのか、無償で時間を使って、ボランティア活動をしているのかわからなかったからです。
また作品の中で鹿野さんの発言は終始、矛盾があったと思います。
本人は対等というが、ボランティアスタッフを奴隷のように指示し、家族の世話になりたくないといったにも関わらず、終盤で私の家族だと発言したりなど、脚本でもう少し彼の良い部分をクローズアップするべきだと思います。
鹿野さんの魅力は障害者だからといって、「我慢しない、遠慮しない、出来ないことは出来ないという」ことだと勝手に解釈しました。自分の身の周りのお世話をするボランティアの人達と対等に会話をし、時にはぶつかり、喧嘩をし、時には励まし合い、そこから真の友情や恋愛が生まれて、本当に意味の対等な関係を築いたのではないかと。
しかし、この作品は鹿野さんの横暴なわがままに高畑充希が冒頭で「何様だ?」と言及するだけで、後はまるで彼の信者のようにボランティアスタッフが従い「障害者だから、誰も文句を言えない」という構図をこの作品が作りあげてしまっているように感じてしまいました。もう少し受け入れられないスタッフや喧嘩などを作中に描きエンタメ要素だけではない、リアルなどを描いても良かったと思います。
面白くなる要素はあったのに、とてももったいない作品だと思いました。これを鑑賞するなら、同じ障害者をテーマにした『博士と彼女のセオリー』『ワンダー 君は太陽』『最強のふたり』『世界一キライなあなたに』の鑑賞に時間を使った方が良いと個人的には思います。
キャスティングが渋い
主役は大泉洋以外にないよね。大泉洋がいたから成立したような企画だったもん。そしてヒロインに高畑充希。この二人が無茶苦茶うまいからね。もうそれで大体大丈夫。
そこにもってきて渡辺真起子。そして宇野祥平。韓英恵をそこまで重要な役でない看護士に使える豪華布陣。
筋ジストロフィー患者を扱う題材だからね。ちょっと下手すると単純に泣かせる話になっちゃうから、これだけ役者を揃えたんだと思う。制作に気合が入ってる。
それで脚本もうまいよね。ここは感情高ぶらせていくだろってところも抑えめにできてる。
デートシーンで高畑充希が逆ギレするシーンがあるんだけど、ここで「あ、高畑充希も大泉洋と似た性格なんだ。だからぶつかるけど理解もしあえるんだ」って解るの。この見せ方がうまい。
お母さん役の綾戸智恵も良かった。手を握るシーンは号泣必至。
あと古川琴音いいね。バイト先の友人役で出てくるんだけど、パーティーシーンで高畑充希と並ぶとね、高畑充希を食っちゃう。演技はそこまでうまくないと思うけど、存在感あるのね。
そんなこんなで安心して観ていられて、笑いも感動もあるから、いい映画だよ。
涙腺が緩む。
筋ジストロフィーの鹿野とそれを支えたボランティアの話。
病院の天井の穴を数えたまま死ぬのはゴメンだ。鹿野はそんな病院が家で自宅での療養を望む。
死にそうになっても人口呼吸器はつけないし、とにかく鹿野はわがまま。ただ障碍者だからってなにも出来ないという考えを捨てさせてくれる。
人に支えて、助けてもらう勇気も必要なのだ。
鹿野は筋ジストロフィーになりながらも英検やアメリカ行きを夢見て努力する。なにかをやるのに遅いことはないのだ。
最後の方のお涙頂戴の演出はいらなかったなと。
好きな人を落とすための嘘ならいくらだってついていい。それでも後ろめたかったら、それを現実にすればいい。(鹿野)
笑えて楽しめる!いい映画。
もう夜更けに近くて。
レイトショーにて。
ポップコーンセットでコーラとビールと。
平日だったので、一人かと思いきや、ちょこちょこちょこと。
探偵はバーにいるとか、北海道が舞台っぽくて。
まあ、日本映画としては、悪くなかったと思います。
打倒『ボヘミアン・ラプソディ』
障害者の言う「必死」は健常者の言う「必死」とはニュアンスが違うのかもしれないなぁ。
昨年観た『ブレス しあわせの呼吸』や『パーフェクト・レボリューション』を思い出してついつい比べてしまいましたが、共通してるのは、想像以上に生きることに前向きだということでした。
人の手を借りること。自立することの意義。最初はこの境界線が曖昧だと感じるものの、ボランティアしてる者の目線で見るとまた違う感情が湧いてくる。特に萩原聖人目線だと、鹿野、他のボラの気持ちが見えてきたように思える。
高畑充希の恋愛部分や学生だと嘘をついたところはオマケのように感じたけど、大泉洋が「打倒ボヘミアン・ラプソディ」と言ってたのはかなりいい比較!バンドは家族→ボラは家族に置き換えるとピタリ当てはまる…
笑いあり、感動あり、社会への訴えもあり!
大泉洋さんの演じる鹿野さんのキャラが笑えるんだけど、色々なことを乗り越えてきて、複雑な思いを抱えながら前向きに生きていく姿が素敵でした。人は平等ではないかもしれないけど、どんな人でも幸せを追い求める権利はあるなと、それを社会がどうサポートしていくか考えさせられた作品でした。
鹿野さんを支える皆さんも完璧な人たちではなく、それぞれが悩みを抱えながら共生していくのがとてもよかったです!
大泉洋 最高💕 でも普通です。
元気をもらえる映画
自立していくために必要なこととは何か
ありきたりな病気映画ではない。
私は、仕事柄…筋ジストロフィーの方を実際に介護をしています。
首や身体、本当に力が抜けてて、移乗は健常者や片麻痺等の方とは違いコツがいります。
実際に私がみている方と同じような状態の演技をしている大泉洋さん。
演技力は、素晴らしかったです。
人工呼吸器をつけるかどうか、これはALSと同じく非常に現実的に悩む所で…
やはりつけたくない、という選択肢が多く
実際に鹿野さんのように直前に選択する方もいます。
CPAP(人工呼吸器をつける前の機械)を試すシーンもリアルでした。
あれも、やはり慣れるまで大変です。
そういう細かい所が描ききれてました。
病気系の映画は、感情の起伏が大きく出て悲しい、悲しいのものが多いと思います。
だけど、この映画の素晴らしい所は、笑いが常にある。同情だけの映画ではないとこ。
更に、両親の想いのスポットもきちんと描かれていました。
ここ近年の中では、断然にNo. 1映画です。
仕事仲間と行きましたが、もう1回観たいと観終わった後になった映画でした。
タイトルと予告編にヤられる作品。
タイトルと予告編にヤられる作品。
これは狡い!(いい意味で(笑))
正直やり過ぎな出だしだから、
これだけで拒否反応を示す人も多いと思うけど
そこは、大泉洋パワーがギリギリのバランスで
かろうじて乗り越えさせてくれるので
そこを耐えれば、内容の濃い映画ですね〜
主人公、鹿野さんの
「障害者の世話を家族だけがするものと言う風潮を変えたい!」
の通り、生きたい様に生きるその生き様に
感化されてゆく若者たちの姿が感動させてくれます。
年明けだし、清々しいものを観たい!と言う方にお勧めです。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
大泉洋の
「何やってもどこか笑える不思議な存在感」が
十二分に発揮されてる作品。
共演の高畑充希の普通の女の子感が可愛いくて目が離せない〜
この人、全力で笑うと美形が崩れて庶民的な顔になる
そこも、愛嬌があって好きな女優さん〜
三浦春馬もちょっと屈折を抱えた青年なんてお手のモノ。
脇もみなしっかり固められているので
映画自体は安心して観られます。
ただし、鹿野さんの主張は解るけど
結局は鹿野さん個人の
発信力や人間力があってこそ実現できた生き様なんだろうと
思ってしまったんですね。
もしも自分が同じ様な境遇になった時、
こんなに親身に世話を焼いてくれる友達、
萩原聖人さん渡辺真起子さん宇野祥平さんが演じた
旧友3人自体が自分にはいないし、
やっぱりボランティアの人にあそこまで
自由にモノは言えない。
何もない自分〜〜
鹿野さんにヤキモチを焼いている自分に気がついて
自分が哀れになって、自分のために泣いてしまった。
だから、鹿野さんの様には
声をあげられない人(自分を含めて)のためにも
もっと世界を変えなくては〜〜
結構重い映画だと思います。
@もう一度観るなら?
「劇場で観ないとテレビだと現実的過ぎてもっと辛いかも〜」
自分の人生の主人公になる難しさと格好良さ
「こんな夜更けにバナナかよ」という題名はプロローグに過ぎなかった。理不尽な要求に、初めから振り回される美咲ちゃんの心の中のセリフが眼で叫ばれる。
途中、佐藤浩市(友情出演)の登場で、私の中の本気スイッチが押された。「ただのコメディーじゃないな、この映画」
主人公と彼を24時間365日見守る在宅ボランティアの関係を軸に、男女の関係、母子の関係、父子の関係、友人の関係、師弟の関係…と様々な関係にフォーカスがなされ、結局「『人間関係』にとって何が大切なのか」という問いを観客に提示し続ける。
自分を犠牲にして他人を活かすことが大切か?他人を犠牲にして自分を活かすことが大切か?
「そうじゃないでしょ」と主人公の鹿野さんは生き方でその問いに応えていく。
一見傲慢に思える自己主張。「でも、そうしないと1秒も生きられないんだから」
鹿野さんが呼ばれた講演会で、車椅子の少年が「鹿野さんが大切にしていることは何ですか?」と問うと、「自分が困っている時に、人に頼む勇気です!」と答える鹿野さん。
その少年は、その後、入院している病室で車椅子から落ちて困っている時、偶然通りかかった医者になる夢を諦めかけた田中君に助けを求め、田中君にとって大事なことを思い出させる。
そして、7年後のエンディング。
気管支切開をして人工呼吸器を付けざるを得なくても、常識を覆しアングラな方法で再び声を取り戻したものの、英検2級に合格し、アメリカに行って、自分を鼓舞してくれた自立生活運動家のエディ(…さんだっけ)に会う夢は叶わなかった。
しかし、夢多く生きた鹿野さんは、『美咲ちゃんと田中君に仲直りしてもらいたい』という夢を成就し、「カラオケに行きたい!」という夢も叶っていた!!
という事が分かる最高のエンディング。
鹿野さんはわがままで、勝手で、ストレートだった。でも、その結果の全てに自分で責任を取っていた。
自分の意志を大切に、覚悟して一瞬一秒を生きていた鹿野さんは、その点において偉くカッコいい。
鹿野さんの母親役の綾戸智恵がとてもいい。
歌い手も演者も、同じアーティストということか。
兎に角、死してなお、生きる意味と勇気を示してくれた鹿野さんの『愛しき実話』は、想像を越える良作だ。
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