焼肉ドラゴン

劇場公開日:

焼肉ドラゴン

解説

「血と骨」など映画の脚本家としても活躍する劇作家・演出家の鄭義信が長編映画初メガホンをとり、自身の人気戯曲「焼肉ドラゴン」を映画化。高度経済成長と大阪万博に沸く1970年代。関西のとある地方都市で小さな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む夫婦・龍吉と英順は、静花、梨花、美花の3姉妹と長男・時生の6人暮らし。龍吉は戦争で故郷と左腕を奪われながらも常に明るく前向きに生きており、店内は静花の幼なじみの哲男ら常連客たちでいつも賑わっていた。強い絆で結ばれた彼らだったが、やがて時代の波が押し寄せ……。店主夫婦を「隻眼の虎」のキム・サンホと「母なる証明」のイ・ジョンウン、3姉妹を真木よう子、井上真央、桜庭ななみ、長女の幼なじみ・哲男を大泉洋がそれぞれ演じる。

2018年製作/126分/G/日本
配給:KADOKAWA、ファントム・フィルム
劇場公開日:2018年6月22日

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(C)2018「焼肉ドラゴン」製作委員会

映画レビュー

3.0掛け値なしに「小さな家族の大きな歴史」

2025年1月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
わしらは、この先ずっと日本で暮らしていく。
そやから、日本の教育が一番や。

<映画のことば>
「留年なんかしたら、もっといじめられる。」
「この日本でわしらは闘こうていかなならん。いじめくらいでへこたれて、どうする。」

龍吉か隻手(せきしゅ)なのは、戦争の故にということのようです。戦時中は徴用工として、戦役に従事していたのでしょうか。

おそらく、もともとネイティブではない日本で生きていくためには、日本という国家に忠誠を示す必要があったからでしょう。
龍吉にとっても、この国での家族の生活の安定のため、苦渋の決断だったのだろうと、評論子は推察します。
そういう龍吉の決心は、上掲の映画のことばに色濃く滲み出ているというべきでしょう。
まったくをもって、胸が張り裂けるような痛みを禁じ得ません。

かてて加えて、世は高度成長期の景気に華やいでいるときに、人種的な差別もあり、すっかり、その趨勢(すうせい)から取り残されてしまい、家族が不幸を襲っても、ただじっと耐えながら「片手にカネ、片手に涙の在日物語」という哲夫の台詞のように、ひたすら社会の末端で生きることを余儀なくされる日々。

本作でも美花の彼氏・長谷川が妻子もちであったり、彼の生業が高度成長期を支えたいわゆるモーレツ社員の憩の場として享楽的な産業だったり、進学校といわれる学校の学校の教育に時生か馴染むことができなかったりといったということのほか、大量輸送時代の花形でもあり、作中に何度も描写される航空機の轟音は、家族が高度成長という世間の波に翻弄される様(さま)を表現して余りがあったように、評論子には思われました。
(経済の活発化やレジャー=旅行需要の増大による旅客の大量輸送時代という「正」「陽」ないしは「花形」という部分の恩恵には、あまり(ほとんど?まったく?)与ることはないのに、その騒音という「負」の部分の影響だけは大きく受けている)

「小さな家族の大きな歴史」とは、本作の予告編での表現でしたけれども。
その形容には少しの誇張もなく、観終わって、充分な佳作だったとも思います。

(追記)
龍吉の店は国有地を不法占拠しているみたいでもあるようです。
日本に居つくためには、仕方がなかったのでしょうか。
それとも、戦役にまで従事して忠誠を示したのだから(国有地に住み着くくらいは)、日本という国家から恩典を受けても責められる道理はないと、龍吉は考えていたのでしょうか。

いずれにしても、本作の半ば頃に、哲夫に対して吐き捨てるように言った「終戦後すぐに醤油屋の佐藤さんからこの土地を買ったんや。確かに買ったんや。」という龍吉の説明は、とりも直さす「言い訳」そのものなのでしょうけれども「真っ当に自分が使っていい土地なのだ」という彼の思いが込められていたことには、疑いがありません。

そして、それが「言い訳」に過ぎないことは龍吉本人も重々承知の上のようで、そのときの苦しそうな龍吉の面持ちを、評論子は忘れられそうにありません。

(追記)
本作では、真木よう子の演技が光っていたと、評論子は思いました。
幼馴染みの哲夫に対する思慕と、哲夫をめぐる妹・梨花との確執をひっそりと心の奥底に秘めながらも、終始にわたって抑制の利いた彼女の演技が、外面とは裏腹に反対に哲夫に対する思慕を浮き彫りにさせながら、両親を助けて一家を取り仕切る長女の役柄にピッタリだったように思われます。

本作は、主演という役者が存在せず、両親を始め、家族役の全員が、皆で合わせて「主役」だったような一本でしたけれども。
その全員の演技を取りまとめる「主役」が彼女であったと言っても、過言ではないと思います。

(追記)
「造反有理(ぞうはんゆうり)」という台詞は「造反にこそ理(ことわり)有り」という中国語、つまり「謀反側や反乱者こそ正義が持っていること」の謂(いい)であり、梨花との婚姻届を市役所に出しに行ったおりに、市の職員と口論になったことの、いわば哲夫の「腹いせ」として本作に登場する台詞でしたけれども。

しかし、ある意味では、作品の冒頭で哲夫が叫んでいたこのフレーズこそが、高度成長期の日本に住まっても、いろいろな意味で「日陰者」であることを強いられていた龍吉一家にとって、本作を通底する彼・彼女らのポリシーがあったのかも知れないと、評論子は思います。

(追記)
本作では、そのエッセンスとして、時生のナレーションが効いていたとも思います。
時生のナレーションで始まり、それと対を成すような時生のナレーションで締めくくられる構成も秀逸だったと思います。

(追記)
考えてみれば、高度経済成長の掛け声の下、日本中が踏ん張っている最中(さなか)、いわば「清濁併せ呑む」ような猥雑な時代背景を、本作は余すところなく描いていたとも思います。

その意味では、「昭和の猥雑さと混沌に溢れる」というレビュアーbloodtrailさんの指摘には、まったく同感です。
適切なレビューでそのことを評論子にも再認識させてくださったbloodtrailさんに、末尾ながハンドルネームを記して、お礼に代えたいと思います。

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talkie

4.0兵庫県伊丹市の在日韓国人家族を描く。 本人はその土地を買ったつもりらしいが、 結果的に伊丹空港近くの土地を不法占拠して焼肉屋を営んでいる家族6人。

2025年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

萌える

動画配信で映画「焼肉ドラゴン」を見た。

2018年製作/126分/G/日本
配給:KADOKAWA、ファントム・フィルム
劇場公開日:2018年6月22日

真木よう子(静花)
井上真央(梨花)
桜庭ななみ(美花)
大泉洋(哲男)
大谷亮平(美花の男)
宇野祥平(店の常連)
根岸季衣(美花の男の妻)
李姃垠(おかあちゃん)
金相浩(おとうちゃん)

兵庫県伊丹市の在日韓国人家族を描く。

本人はその土地を買ったつもりらしいが、
結果的に伊丹空港近くの土地を不法占拠して焼肉屋を営んでいる家族6人。

長女、静花は美人で愛想が良くてにこやかで客たちにも人気がある。
脚が悪い。
びっこをひいている。

※びっこ。片方の足が不自由で、歩き方が不自然であること。

次女、梨花はいつも何かに怒っている。
ほとんど笑顔を見せない。

三女、美花は妻がいる男に夢中で他のことに興味を示さない。

店主はおとなしい男で、自己主張は控えめ。
20年以上この土地で必死に働いてきた。

店主の妻はこれは韓国人らしい特徴かもしれないがすぐに激昂し当たり散らす。

哲男も在日韓国人だが、
梨花と結婚してみたが上手く行かない。

哲男はずっと静花が好きなのだ。
梨花にもそれは判っていた。
梨花はやがて韓国人の男と恋仲になる。
梨花は結局、哲男とは別れることになる。

静花は在日韓国人の男と婚約したがその男とは結婚しなかった。
静花は哲男と一緒になった。
結局、すべては収まるべき所に収まったわけだ。

静花ほどの美人ならオレだって必死にモノにしたいと思うだろう。

在日韓国人家族の私的な物語だが、
元々は戯曲であり、
舞台で演じられていた話だ。

真木よう子や大泉洋らによって映画化されることになった。

おかあちゃん役の李姃垠は「パラサイト半地下の家族」にも出演しているらしい。

満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。

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ドン・チャック

0.5あえて共感させて貰います

2024年12月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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共感した! 5件)
アンドロイド爺さん♥️

3.0バラバラとなって、血は繋がらずとも…

2024年12月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

萌える

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共感した! 15件)
KEI