リトル・フォレスト 冬・春

劇場公開日:

リトル・フォレスト 冬・春

解説

「海獣の子供」などで知られる漫画家・五十嵐大介の同名コミックを、「春」「夏」「秋」「冬」の4部作として実写化し、「夏・秋」(前編)、「冬・春」(後編)の2編にわけて劇場公開する「リトル・フォレスト」の後編。一度は街に出たものの居場所を見つけることができず、生まれ故郷の小さな村に戻ってきた女性いち子が、東北の美しくも厳しい自然に囲まれた自給自足の生活を通じて、自らを見つめ直していく姿を描く。秋の終わりに、5年前の雪の日に突然姿を消した母・福子から1通の手紙が届き、いち子は今までやこれからの自分を思い、心が揺れ始める。そうした日々の中でも季節はめぐり、雪解けとともに春の足跡も近づいてくる。来年もここにいるかどうかわからなくなったいち子は、春一番で作付けするジャガイモを今年は植えるかどうか迷うが……。

2015年製作/120分/G/日本
配給:松竹メディア事業部
劇場公開日:2015年2月14日

スタッフ・キャスト

監督
原作
五十嵐大介
脚本
森淳一
企画
河合勇人
製作
大角正
加太孝明
中村理一郎
宮本直人
鈴木伸育
松田陽三
坂東浩二
宮田三清
エグゼクティブプロデューサー
高橋敏弘
プロデューサー
守屋圭一郎
石田聡子
撮影
小野寺幸浩
照明
たかだつぐひら
美術
禪洲幸久
録音
田中博信
西山徹
小林圭一
装飾
高木理己
フードディレクション
野村友里
山本有紀子
スタイリスト
宮本茉莉
ヘアメイク
小林真之
キャスティング
緒方慶子
編集
瀧田隆一
音楽
宮内優里
主題歌
FLOWER FLOWER
VFXスーパーバイザー
樋口良
助監督
佐和田惠
制作担当
金子堅太郎
ラインプロデューサー
山下秀治
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(C) リトル・フォレスト製作委員会

映画レビュー

4.0季節の移ろいそのままに…

2015年2月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

子どもを連れて、家族3人で観に行きました。
きれいで美味しい、絵葉書みたいな映画でしょ、なんてハスに構えて「夏・秋」を観たところ…おお、と鮮烈な印象を受けました。確かに、美味しい食べ物と豊かな自然がいっぱい出てきて、話はあるのかないのか…という外見なんだけれど、実はそうじゃない。これはいったい何だろう、という良い意味でのモヤモヤ、ひつかかりが、ずーっと残っていたのです。
そして、本作。エネルギッシュで彩りある季節を駆け抜け、物語の舞台は、しんしんと雪に降り込められる冬へ。
季節の移ろいそのままに、今回はぐぐーっと地下層で大きな変化が…。けれども、静謐さは変わらず。改めて、この空気感がいいなあと思いました。美味しい湯気やあたたかな火の向こうで語られる言葉は、時に厳しく、重い。はっとさせられ、じんわりと心に響き、揺り動かす。ばたばたとした日常では気付かなかったり、知らないふりをしたりで通過しそうなあれこれに、改めて目を向けさせてくれます。
橋本愛さんはじめとするキャスティングも絶妙。溌剌としているけれど、どこか翳りがあって、孤独を抱える佇まいが、大自然の中で映えます。真っ直ぐであろうとするがゆえに、時には気紛れで身勝手に見えてしまうような不器用さ…。映画には(または、良質の物語には)、陰が必要。朗らかで楽しいけれど、どこか抜き差しならない、落とし穴がいきなりポッカリ広がっているかもしれない…という不穏さが、私の思う「映画らしさ」なのだ、と改めて感じました。
そしてやっぱり、目(とお腹)を奪われるのは、食べ物のシーン。画面いっぱいに展開される料理や自然の成り立ちは、科学映画の趣きです。子どもは、初めて見た納豆作りと餅つきに魅せられたようでした。翌朝、正月から冷凍庫に眠っていた切り餅を揺り起こし、映画どおりの砂糖醤油仕立ての納豆餅にしました。私も砂糖醤油仕立ては初めてでしたが、なかなかでした。
「夏・秋」も、家族みんなで観返したくなりました。

cma

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cma

4.0【一人の女性が、東北の或る村”小森”で、ほぼ自給自足する姿を豊かな自然と、小森の人々の生きる姿と共に描いた第二弾。と共に、私が東北の庄内平野で暮らした3年間の想い出を記す。】

2024年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

ー 今作の魅力は、ひとりで暮らすいち子(橋本愛)が、作る素朴な料理の数々であろう。
 作り方を、橋本さんがナレーションで説明してくれるのも嬉しい。
 ストーリー展開は、いち子が幼かった頃と現在と行き来しながら描かれる。母(桐島カレン)が、失踪した理由も詳しくは語られない。
 この田舎暮らしの魅力と大変さを描いた映画は、それで良いのだと思う。-

◆感想<Caution!余り内容に触れていません!あと、個人情報駄々洩れである。>

・前作に引き続き、今作では小森の冬の生活と春の生活が描かれる。
 で、イキナリ私事で恐縮であるが、私は高校三年間を父の仕事の関係で山形の庄内平野で過ごした。
 都会から移り住んだ庄内平野は、今でこそ食で有名であるが、当時は余り知られることも無い田舎町であった。庄内弁は何を言っているのか分からないし、受験した時は三月だったので雪深く(”雪の降る町を”が生まれたきっかけになった町である。)、太陽は一切顔を出さずに、嫌になったモノである。

・米を収獲した頃から、雪国は冬に向かって行く。だが、新米(庄内米)はとても美味く、海も近いので魚も美味いし、野菜も美味い。
 時折、父に連れて行って貰った寿司屋で食べた寿司は、今まで食べていたのは何だったのか!と思う位美味かった事は、今でも覚えている。
 故に、今では庄内平野には地元食材を使った、フランス料理店が林立している。隔世の感がある。だだちゃ豆も、私が住んでいた頃は美味い枝豆だなとは思っていたが、今やブランド品である。

・今作でも描かれているように、雪国の冬は厳しい。今はドンドン地球が温かくなっているので、当時の友人に聞くと雪の量は激減しているそうだが、当時の冬の朝の私の仕事は降り積もった雪を橇に乗せて、近くの側溝まで運び、捨てる事であった。
 それから、雪の中を自転車で学校まで通うのである。城の中の道が近道だったので、そこを通っていたが、一度踏み固められた自転車道からコケルと悲惨であった。新雪の中に突っ込むと、起き上がるのに大変な苦労をするからである。

・故に、今作でも描かれているように雪国で春を迎える喜びは、大変なモノであった。何しろ、半年近くどよーんとした雪雲に覆われていたのだから。
 そんな時は、友人達と学校をさぼって、自転車で遊びに行ったものである。

<今作で、少し気になるのは東北弁が使われていない点であるが、映画であるから仕方がないと思う。何しろ、東北弁(多数あり。特に難易度が高いのは、年配の方が喋る青森弁である。)は、ハッキリ言ってナカナカ聞き取れないのである。
 庄内弁で言えば、”ミッコイ””ゴショグ””イシゴグ”などなど。友人に”どういう意味だ!”と聞いても、東京弁(と言われた。)には上手く訳せない微妙なニュアンスがあると言われたモノである。
 今作は、農村で暮らす大変さと、豊かさを食を通じて描いている点が、公開された当時は魅力だったのだろうな、と思う。
 ケドネ、ホントウニイナカデクラスノハイロイロトタイヘンナンダヨ。
 今作でも触れられているが、プライバシーはほぼ無いし(私が、或る大学に合格した際には、あっと言う間に噂が広がったモノである。)、人付き合いも大変なのである。
 当時、都会を脱出して、多くの人が移住してきたが、感覚的には8割程度が田舎暮らしに馴染めずに、戻って行った事を少し思い出したな。
 それでも、庄内で暮らした三年間は、我が人生を豊かにしている事は、間違いないと思っている。唯一の弊害は、人混みが大嫌いになった事だろうな。>

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NOBU

4.0春は始まりの季節

2023年4月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

冬の山里は美しい。静かだ。雪景色の中に佇むと、心が浄化される気がする。しかし!そんなふうに酔っていられない!雪かきという、命に関わる重労働を、やらなければならない! それさえなければ、あったかい家の中で、ごろごろしてるのは至福なんだけど。

収穫した野菜をいかに長期保存するか。冬を生きていくためには、夏秋から計画しておかなければならない。いもの保存にかなり気をつかうと、初めて知った。加えて、生産者から自分のところに来るまでに、どれだけの人の手間をかけて、食材が加工されていたかもわかった。都会で生きるって、やはり便利さをお金で買ってるんだなぁ。

そして、水ぬるむ春。あたたかいとうれしい。また、次の一年の生活のスタートだ。一年、自問自答しながら、必死に生きてきたいち子。小森を離れ、また帰ってきた彼女の顔は、キリッとしている。

淡々としていて、地味な作品だが、地に足が着いているというか、なんか、いいものを見せてもらった、と思った。観終わって、何とも言えず爽やかな気持ちになった。けっこう忘れられない作品になりそう。あと、四季があるってほんといいなーと思った。日本の四季、最高!

BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。

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ぷにゃぷにゃ

3.5丁寧な生活の日々

2023年1月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

夏秋編より変化があり面白かった。
と言うより、ゆったりとした時間の流れに慣れてきたのかもしれない。
ラストの空意味深いです。

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jiemom

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