家族の灯り
劇場公開日 2014年2月15日
解説
1908年生まれで現役世界最高齢監督のマノエル・デ・オリベイラが、104歳となる2012年に発表した長編作品。ヨーロッパの小さな港町で、帳簿係として働くジェボは、妻と義理の娘とともに、8年前に失踪した息子ジョアンの帰りを待ちわびていた。そんなある日、息子が突然姿を現し、家族は動揺を隠し切れず……。ジャンヌ・モロー、クラウディア・カルディナーレという2人の名女優を筆頭に、マイケル・ロンズデール、ルイス・ミゲル・シントラらをキャストに迎え、ある家族の愛を描いたポルトガルの戯曲を映画化した。
2012年製作/91分/G/ポルトガル・フランス合作
原題:O Gebo e a Sombra
配給:アルシネテラン
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2016年12月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
2015年に106歳で亡くなるまで現役最高齢だったポルトガルの名匠マノエル・ド・オリヴェイラが、2012年103歳の時に手掛けた作品。
まず目を引くのが、映像。
カメラを固定した構図、薄暗い室内で眩い輝きを放つランプの灯り。
絵画のような美しさ。
舞台はほぼ室内、登場人物も最小限、ストーリーもシンプル。
無駄を削ぎ落とし残ったものこそ、長老が辿り着いた芸術の境地。
でも自分には、敷居が高過ぎた。
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冒頭の海のシーンで、あれっ?となる。
人物・手前の錨・奥の船・さらに奥の海の向こう、それら全てにピントが合っている。映画作法をあえて無視した、違和感のある絵作り。
オリベイラ監督、百歳をこえてなおアバンギャルドやっとるなーと思う。
—
劇中、ほのかな灯りが室内を照らす。
灯りがあるところには影ができる。
原題「ジェボの影」。
ジェボ(主人公の老人)にとっての影とは何だったのだろう?
他人から預かった金なのか?(分配されない富・停滞する経済)
何も知らぬまま愚痴をたれる妻なのか?(無知)
閉塞を打ち破ろうと勝手に出て行く息子なのか?(革新)
現状を憂いマリア像を仰ぐ義理の娘なのか?(信仰)
オリベイラ監督は、その100年の生涯で、それら全てを見て経験したのではないか。停滞するポルトガルの経済も、無知な民も、それらを打破しようとする革新も、何もかも。
それで何か変わったのか?それとも変わらなかったのか?
独りの老人に起きる出来事は、劇中に降る雨のように避けようがないのか。
雨が最後は海に辿り着く摂理のごとく、運命には逆らえないのか。
ラスト、罪を被るジェボに、室外の強い光が当たる。
運命を受け入れた「諦観」よりも、「力強さ」を感じたのは何故だろう。
受け入れ、それでも尚、生きていく意志だろうか。
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老人のジェボと若い息子。
ジャンヌモロー、クラウディアの若き日の残像と、この映画に刻まれた彼女たちの「老い」。
若さと老いの対比が印象的な映画だったなと思う。
過ぎ去った「若さ」への郷愁より、行き着いた「老」の方に迫力を感じた。悔しかったら此処まで来てみやがれ的な。
2014年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
現役最高齢105歳の巨匠マノエル・ド・オリベイラの新作。
まるで定点観測するかのようにカメラは動かず、灯りはランプ。
外舗道にガス燈も見える。これは絵画か或いは神話の世界か
と迷う空間に、観客が取り残されるか一緒に漂うかの選択を
強いられるような作品だが、妖しさだけは艶かしく潜んでいる。
C・カルディナーレとJ・モローが並んでいるだけでも世界遺産。
映像は綺麗で見入りました…
ストーリーも面白かったですが、結末がえー‼︎ と思ってしまいました……
映像や流れるような構成は好きです…
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