アルマジロ

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アルマジロ

解説

アフガニスタンの最前線アルマジロ基地に派遣された若きデンマーク兵たちの7カ月に密着し、若者たちが体験する恐ろしい戦争の現実を映し出していくドキュメンタリー。2009年、アフガニスタン南部ヘルマンド州のアルマジロ基地に、デンマーク人の青年メス、ダニエル、ラスムス、キムらが派兵される。アフガニスタン駐留の国際治安支援部隊支援国として、デンマークはイギリスとともに最も危険なエリアを担当。タリバンの拠点までわずか1キロという死と隣り合わせの戦場で、若者たちは数回の戦闘で極度の興奮状態を経験し、敵味方の区別もつきにくい戦争中毒に陥っていく。2010年・第62回カンヌ国際映画祭批評家週間グランプリ受賞。

2010年製作/105分/PG12/デンマーク
原題または英題:Armadillo
配給:アップリンク
劇場公開日:2013年1月19日

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映画レビュー

5.0人が死にゆく瞬間

2024年6月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

デンマークの戦場ドキュメンタリー映画。 アフガニスタンに派兵されたデンマーク兵の日常と戦場を映す。 【ストーリー】 アフガニスタン民主共和国南西部に位置するヘルマンド州ゲリシュク。 デンマーク陸軍が駐屯する基地"アルマジロ"。 そこに派遣された数人の兵士をメインに、カメラは現地での生活と戦闘を代わる代わる写してゆきます。 最新の装備に固められた機動部隊が、たった三名の潜伏したタリバンによって数時間足止めされてしまう。 狙撃してくる敵の居場所がわからないため、みな遮蔽物のこっちがわでくたびれた顔して航空支援を待つ。 『ジャーヘッド』でも語られた、戦場でほとんどの時間をしめる不便な退屈さと、不意を突かれて撃たれた瞬間から死の恐怖に襲われいきなり緊張MAXでの戦闘。 そのギャップが、よりリアルに観客に迫ります。 この映画の芯の強さはもちろんドキュメント撮影された映像の強さそのものなんですが、DVD特典映像には負傷して後送される若い兵士の短い映像があります。 首を撃たれてかなりひどい出血で、彼は搬送先で死亡が確認されました。 本編ではないとしても、よくぞ収録できたなあという重すぎるシーンでした。 人類史では銃が発明され、戦場に導入されて兵士の損耗数が一気にはね上がったそうです。 それまではひどくても三割が死傷すれば勝敗がついた戦場が、最悪全滅するまで戦うことになる殲滅戦となってしまった。 戦場の質が変わってしまった。 そしてその傾向はどんどん増してゆく。 これは銃だけではなく、近代兵器すべての作用によるものでしょうけれど。 自分には人類のあり方や未来を語るような知性も知識もないので、なにかを糾弾したいわけではないのですが、こんな映像があっても人類は戦争をやめないのですから、そろそろ戦争反対のシュプレヒコールよりも有効な手段を発明したいですね。 争うにしても、死や破壊をまき散らさない、なにか別の方法で戦争を代替したい。 負けたら週末のバーでチクショーとくやしがるぐらいの、肉体の傷つかない争いにとどめてもらえないものかなと。 声が出たら負け、わきの下くすぐりファイトクラブとか。 自分はガンアクションや戦争映画は好きですが、実際の戦争は本当に怖いので、ぜったいに巻きこまれたくないし、それが遠い世界でもやってほしくないです。 後半、お気楽なことばっかり書きましたけど、あの特典映像こそが、多分この映画の本質の一つなのだと思います。 あの映像に関しては、さすがに視聴をおすすめはしません……。

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かせさん

3.5人が麻痺していく感覚

2018年6月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

壮行会でストリップに騒いだり、戦場の夜にパソコンでポルノ観賞したりと普通の成人男性の様子も描かれる。親から反対を受けながら戦場へ向かう若者メス。戦争ゲームから夜の現場にシームレスにカメラが切り替わるのゾッとした。実戦の最中あちこちから声が飛んで、敵と味方の区別が分かんなくなるくらいパニックになる。キムカメラ臨場感すげ。死体を引きずり出す。民間人に隠れるタリバン兵。片撃たれた兵士の絶望感の顔が、その後療養に訪れた時の晴れやかな顔との対比が凄まじい。実戦の後基地に戻った兵士たちの高揚した開放感が、バイクウィリーで駆け回ったり河に飛び込んだり独特のテンションで印象的。

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mimiccu

3.0あまりにも洗練されすぎている

2015年8月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

デンマーク軍の強力な協力があったであろうと推測される作品。実際の戦場、カメラの設置箇所、兵士の会話、現実とは思えないほどの密着度を感じた。 編集なども巧みで、洗練された劇映画を見ているよう─。作っている─というか、再構築している部分は多いだろう。例えば、兵士の会話のシーンにおいては、カメラ位置やアングル、画角といったものは明らかな事前のすり合わせが見て取れる。真実といったものを伝えるための再構成であることは明白で、特段やらせなどとは思わない。しかしながら、あまりにも劇的すぎて、他の戦闘シーンなども再構成したドラマなのでは!?と疑いたくなる。例え作られたものであったとしても、描かれていることはすべて事実であり、ドキュメンタリーであることは疑いようもない。 ただ、視点があまりにもデンマーク軍オンリー過ぎはしないかと思わざるを得ない。その思いのせいで、軍の多大なる協力というものを想起してしまうのだが、あるいは軍の関係者が制作していて、これは半ばプロパガンダ的要素も含まれてるでは?との飛躍した想像をもしてしまう。 自分は今でも戦争は完全否定するし、決して戦争などには行きたくも参加したくもない。 しかし、自分などよりももっと未来がある若者がこれを見たらどう思うのか─。戦場への抵抗を減殺してしまうのではないかと危惧してしまう。 これは、あくまで戦争の一面を切り取っているだけで、戦争そのものを描いているものではない。 映画としての完成度は非常に高く、興味を削がれることなく、最後まで観賞できるはず。それ故に“ドキュメンタリー”という名の冠がたちの悪いものに見えてしまう。 映画館が主体となってWEB上で自らの権利作品を流すことには、感謝・賛嘆の念しかありません。アップリンクにはこれからも足繁く通い続けます。

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SH

3.0気が遠くなりそうな非対称性

2015年8月16日
iPhoneアプリから投稿

吐き気がする戦後70年談話の後、 怒りのままに無料配信中の『アルマジロ』。 ……ふむ、こういう作品だったのか。 キャッチ通りに「これが、戦争だ。」 と捉えるのはかなり危うい。 時折、楔のように差し込まれる、 気が遠くなりそうな非対称性をこそ 意識したいドキュメンタリーだった。

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るり