幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ
劇場公開日:2010年4月10日
解説
山田洋次監督が高倉健を主演に描く人間ドラマ。共演に倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおり。失恋して自暴自棄になった鉄也は、新車を買って北海道へ傷心の旅に出る。そこで鉄也は一人旅をしていた朱美のナンパに成功し、さらに2人は海岸で勇作という男と知り合う。旅をともにすることになった3人だが、刑務所から出所したばかりだと話す勇作が、愛妻へ出した葉書のことを語り始め……。2010年、英語リメイク版「イエロー・ハンカチーフ」(08)の日本公開にあわせ、デジタルリマスター版がリバイバル公開された。
1977年製作/108分/G/日本
配給:松竹
日本初公開:1977年10月1日
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る

- ×

※無料トライアル登録で、映画チケットを1枚発行できる1,500ポイントをプレゼント。
2023年3月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
タケテツファンなのでちょっと冷静な採点はできないが、後に彼が役者として発揮する全てがこの映画に詰まっていたように感じられ、山田洋次の眼力に感服した。
コメディを演じるも、そのセリフや動きもさることながら、それ以上にメタ的に「それを演じてる僕、面白いでしょ?」感がうざくて笑えてしまう、刑事物語に顕著なタケテツコメディ。
女に振られるのも似合うし、次の女を口説くのが下手なのもよく似合う、「101回目」でも全く同じ構造を見せたタケテツシナリオ。
時代の現れでもあろうが、北海道の人々をことある度に百姓呼ばわりしたり、女性に襲いかかったりするところに見られる、暴言でお馴染みのタケテツサイコパス。
これらは、後にミュージシャンではなく役者として名を上げていくタケテツの大枠の要素がほぼ揃っているように思える。
海援隊のボーカルにこれをやらせてハマると見抜いた山田洋次の眼力は一体どうなっているのか。天才の所業に頭が下がる思いであった。
2023年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
昔から気になっていたタイトル。少し前に放送された「ガキの使いやあらへんで!」の「遠藤VS陣内 真の大根役者頂上決戦」で2人が演技バトルするテーマ作品として扱われていたのを切っ掛けに観る事とした。古い作品でもある事から、結末や粗筋は何となく知っている状態で鑑賞。
前半はコメディ色強めで観る人によってはイラっとする事が多くなる作品かもしれない。自分は桃井かおりさんが自動車を暴走させるシーンがキツかった。ただ、どこか影のある男の高倉健さんや、時々差し込まれる健さん、倍賞千恵子さんとの短い馴れ初めのシーンが結末への期待を膨らませてくれる。
中盤、高倉健さんの過去が旅の御供達に知られた辺りから作品の雰囲気が変わってくる。コメディ色は薄れ、健さんの過去が明らかになっていくが期待してた物とは少し違っていた。顔見知りの警察が健さんの事を凄く気に掛けてくれていたから、どんな理由で人を殺めてしまったのだろうと気になっていたが、ただムシャクシャして喧嘩相手の頭を地面に何度も叩きつけたという、とんでもない理由。ついさっき、たこ八郎さんの頭を車のボンネットに何度も叩きつけていたが止めが入らなけりゃ、とことんやっていたのかと思うと恐ろしい。刑務所で離婚話を持ち掛ける健さん、気持ちは分るが自分勝手な言葉に千恵子さんが気の毒で涙が出た。
有名なラストは風に揺れる大量の黄色いハンカチから千恵子さんの感情が伝わってきて良かったが、家の前まで来ているにも関わらずハンカチを見ようとしない健さんの姿には幻滅するしかなかった。
普段、洋画を観る事が多いからか自動車が走る車線に違和感が有って仕方がなかった。日本人なのに。運転だってするのに。
高倉健さん、武田鉄矢、桃井かおり、倍賞千恵子・・・四人の巨大な個性が何故か不思議なまでに上手く調和され、面白いと感動するが同時に味わえる稀な作品だと思います。
健さん演じる勇作が欽也と朱美に感謝の気持ちを言葉ではなく、ただただ無言のまま握手をかわす場面・・・とにかくかっこよく、とにかく泣けてきて、とにかく美しいのですが、これは三人の珠玉の個性が作り上げた日本映画史に残る名場面だと思います。
不器用なる主要登場人物たちに各々頑張れ!と応援した後、ありがとうと伝えたくなる・・・何回見ても、そんな幸せな気持ちにさせてくれるのです。
2022年10月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
今まで何度か見た事がある映画。本日BSで放送していたので、あらためて見た。
正直「これが名作?」というのが率直な感想。
まず、ストーリーのオリジナル性。タイトルにもある、クライマックスの黄色いハンカチは元々日本でもヒットしたドーンの「幸せの黄色いリボン」の歌詞を題材にしている。
その歌詞もオリジナルではなく伝承に基づいたもの。
そのクライマックスに結び付けるために武田鉄矢と桃井かおりの絡みなど創作ストーリーでつなげて映画にしたもの。感動するべきクライマックスにオリジナリティがなく、初めからわかっている。
武田鉄矢が桃井かおりに絡む態度もしつこく見苦しいし、高倉健が犯した殺人も擁護できるものではない。刑期を終える男を黄色いハンカチを掲げて待つその理由や女心にしても十分に描かれているとは思えない。
全てが、たった1曲の歌詞・伝承の通りのクライマックスにつなげるための「つなぎ」。
結果がわかっているため感動する要素もない。
山田監督はじめ俳優陣は皆好きだが、この映画は名作と呼ぶのにふさわしいのだろうか。
「幸せの黄色いリボン」のヒットがなかったら、山田監督がこま映画をつくる事もなかっただろう。