「魚が獲れなくなったのは濡れ女(寺島しのぶ)のせいだ~!」と妖怪イジメのシーンにビックリしてしまいました。丁度今日は全国一斉休漁が行われたからだ。漁船の燃料費高騰による漁業者の窮状・・・現代の妖怪に当たるのは重油の税を引き下げない政府か、それとも燃油価格を釣り上げている先物取引投資家たちか?そのうち魚を食べられなくなる日がやってきて、千年ほど我慢しなければならないのかもしれません・・・
前作『ゲゲゲの鬼太郎』では原作アニメの世界観を楽しんだにとどまったため、それほど期待もしていなかったのですが、ストーリーも映像も妖怪キャラもパワーアップしている印象が残ります。「かごめ歌」をモチーフにして、その歌を聞いてしまった者が魂を抜かれてしまうというホラー仕立ての内容と、人間と妖怪がそれぞれ憎しみあう醜い構図と“それでも人間を守るのか”というヒーロー鬼太郎の内なる葛藤。テーマだけ取り上げても意気込みが感じられる続編となっていました。
濡れ女の物語は泣ける。泣ける鬼太郎映画を作ってしまったというべきか。しかも笑える要素も散りばめられ、そのバランスはさすが松竹映画(?)というべきなのでしょうか。ぬりかべをスクリーンにした映像では東映をリスペクトした“妖映”というロゴも見られるし、寛平ちゃんのギャグも楽しめる。それに軽部さんの人魂も・・・
さらにゲスト俳優の演技も映画を引き締めたものに貢献していました。特にマーチングバンドでトランペットを吹く楓役の北乃きいと、ぬらりひょんを演ずる緒方拳。そして濡れ女の夫役である萩原聖人だ。イケメン好きの女性には夜叉(ソ・ジンブ)。お父さん方には星野亜希がお勧めです。個人的には猫娘の田中麗奈だったんですけど、今回はどうしても妖怪に見えなかったのが不思議・・・
呪いを解くには濡れ女を封印するという展開となり、雅楽器を集めるところも見どころの一つでしょうか・・・日頃お目にかかれない珍しい楽器だし。そして、鬼太郎の出生の秘密にも触れていて、一族が人間に追いやられ、生き残ったのが鬼太郎たちだけだとか、お母さんの名前が“岩子”だともわかるくらい、かなりマニアックなエピソードも楽しめました。