どうなることかと心配していたアニメの実写化映画。ところが、着ぐるみによる妖怪たちとか、VFXの効果はある程度満足いくものに仕上がっていた。幼い頃、初めて見たTVアニメのゲゲゲの鬼太郎は白黒でしたが、さすがにその衝撃度は全く感じられませんでした。俳優陣でもウエンツなんてどうなることかと思ってましたけど、ネズミ男の大泉洋、猫娘の田中麗奈、砂かけ婆の室井滋、子泣き爺の間寛平たちがソックリ度において充分カバーしてくれたと思います。
映画のストーリーとしては理解し難い部分も多く、大人が楽しむよりは子どもが鬼太郎の行動をどのように受け止めるのかという製作サイドの願いがあったのかもしれません。ネズミ男が妖怪石を盗んで換金した行為、小学生の健太が父親との約束のため妖怪石を秘匿し続けた行為、妖怪裁判で有罪判決を受けた鬼太郎と仲間たちがとった行為等々。大人の観点からすると、環境破壊や住民運動、バブル期を思い起こしてしまうテーマパーク建設のための地上げ行為、一方的な裁判制度、「憎しみは憎しみしか生まない」といった重要なテーマなど・・・ところがそれが上手く絡み合わないのが残念でした。
その他、健太と美香の父親(利重剛)が現総理大臣に見えてしょうがなかったこと。鬼太郎はあちこちで色んな約束をしてしまうけど、大丈夫なのか?と心配になってしまったこと。妖怪石を今日中に見つけなければ目玉おやじと砂かけ婆が釜茹での刑に処せられるのに、鬼太郎が健太を強引なやり方で石を奪おうとしなかったこと・・・これが重要なポイントになるのに、お子様たちにはどう映ったのでしょうね・・・
予告編でも見られたマトリックス風の目玉おやじや、一反木綿に乗ったときの疾走浮遊感、鬼太郎の家を取り囲んだ狐たちの特撮など、心地よいほどの映像もありました。もちろん一番の見所は鬼太郎の一瞬ハゲです。また、彼にはちゃんと両目がありましたので、彼の目が目玉おやじになったという噂はあっさりと払拭してしまいました。子どもにせがまれてしょうがなく鑑賞したお父さんには田中麗奈の太股と猫ダンスがオススメです。