GOEMON : インタビュー
信長、秀吉、家康が次々と天下を争う時代に自由気ままに生きた大泥棒、石川五右衛門を主人公に、驚愕の映像美と独自の世界観で描く戦国アクション絵巻「GOEMON」。「CASSHERN」から5年ぶりとなった監督第2作を送り出す紀里谷和明が、この映画で試みたものを語ってくれた。(取材・文:編集部)
紀里谷和明監督インタビュー
「世界を創造したい、という欲求があるんです」
紀里谷和明監督が「GOEMON」で描こうとしたものは、まず、織田信長に代表される安土桃山時代の自由な精神だという。それを物語だけではなく、“映画創り”においても実践するというのが、紀里谷監督のコンセプト。なので、建築物や衣装は時代考証に束縛されず、アクションは重力の法則から解放され、独自の世界を創りだしている。
「そもそも“なにゆえ人間は束縛されなくちゃいけないのか”というのは常に抱いている疑問です。子供の頃からそうですね、“あれをやっちゃいけない”という学校のルールに疑問を感じました。とくに何かを創るときには自由であるべきだと思うんです。映画に限らず、料理だって何だって、“こうでなくちゃいけない”という制約に縛られるべきじゃないと思う」
そんな彼にとっての映画創りとは、世界をまるごと創造してしまうことだ。
「世界を創造したい、という欲求があるんです。今は、ですが。ちょっと“神コンプレックス”かもしれないんですけど。映画を創るときは、極端な話、空のデザインから始まっちゃいますからね。写真は点、ミュージッククリップは線で、動きによる表現が可能ですが、映画になると空間も時間もあって、ストーリーというものが始まる。すると登場人物に感情というものが生まれる。それも含めたものが世界なんですよ。今回は、登場人物が放つ“匂い”にも興味がありました。山を創ってみた、海を創ってみた、そしたら生きものを創ってみたくなったんです」
この「GOEMON」への取り組み方は、前作「CASSHERN」とはかなり異なる。
「今にして思うと『CASSHERN』を撮るときは、ジェームズ・キャメロン的なものからデビッド・リンチ的なものまでをひとつにしようとしてたんです。自分の内包する両極端の世界を一緒にしようと。
というのも僕はアングラなものと、そうでないものの両方が好きなんです。小さい頃はブルース・リーとか『ダーティハリー』とか松田優作の『野獣死すべし』とかが好きで、映画を楽しんで見ていたんですが、15歳でアメリカに行って全く別の世界が開くわけです。友達がデビッド・リンチの『イレイザーヘッド』とかを見せるわけですよ。それこそ今まで見たことがない世界。そこから映画についての意識が大きくが変わりました。ラース・フォン・トリアーの『エレメント・オブ・クライム』は今でも好きです。ピーター・グリーナウェイの『プロスペローの本』、鈴木清順の『陽炎座』とか、僕のルーツは間違いなくそういうアングラ映画ですよ。
でもアングラじゃない映画も好きなんです。『地獄の黙示録 ディレクターズ・カット』『2001年宇宙の旅』『シン・レッド・ライン』『パッション』。ジェームズ・キャメロンは大好きです、『ターミネーター2』とか『エイリアン2』とか、ものすごい構成力で創ってる。
それで『CASSHERN』ではその両方をやろうとしたんですが、一度やると自分の中で別のベクトルを探してしまうので、『GOEMON』はまったく違う。『CASSHERN』が最左翼だったら『GOEMON』は最右翼。今回はジェームズ・キャメロン的なエンターテインメントで、ほんとにみんなが分かる作品です。『CASSHERN』では“分からない”という人たちがいたので、そういう人たちをなくそうという意識は大きかったです」
すでに次回作への構想も進められている。
「もっと人間ドラマ、もっと恋愛をやるかもしれない。そして英語劇ですね。というのも今、製作費が限界にきてて、これ以上のバジェットを求めるならマーケットを世界に拡大していくしかないんです。でも、もし日本で撮るなら、カルマ(輪廻転生)をテーマにしたものをやってみたいなと思います」
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