ブレードランナー ファイナル・カット インタビュー: リドリー・スコット監督&主要キャスト インタビュー

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ブレードランナー ファイナル・カット

劇場公開日 2017年10月13日
2007年11月15日更新

絶え間なく酸性雨が降り続ける2019年のロサンゼルス。この大都会に迷い込んだ新型アンドロイド、レプリカントを追う、ブレードランナー特捜班の刑事(ハリソン・フォード)の姿を映し出した、リドリー・スコット監督のダークな未来派フィルム・ノワール「ブレードランナー」(82)。斬新かつ先駆的なビジュアルと哲学的なストーリーから、今なお議論が絶えず、“SF映画の金字塔”とまで讃えられる伝説の映画が25年の時を経て、スコット監督自らの手で再編集・デジタル処理されたのが、いよいよ日本でも劇場公開される真の最終版「ブレードランナー ファイナル・カット」(07)だ。今年9月初頭にベネチア国際映画祭でプレミア上映された際に、 スコット監督をはじめ、ルトガー・ハウアー、ダリル・ハンナ、エドワード・ジェームズ・エルモスら、この再編集版のカギを握る人物たちへの独占インタビューを敢行。「ブレードランナー」の熱狂的なファンの方も、これから初めて見る方も、読んでナットクの裏ネタ集を加えた大特集をご一読あれ。(取材・文:佐藤睦雄

リドリー・スコット監督&主要キャスト インタビュー

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リドリー・スコット監督インタビュー
「何の後悔もない。これが最終版だ」

──「ブレードランナー」とは、あなたにとってどのような存在ですか?

「良質の映画は良質の本のようなものだ。本棚にある1冊をいつでも手に取り、読み直すことができる。映画の一部は後世まで残って“アート”と呼ばれる。何度も見る価値のあるシネマアートは少ない。撮影監督や特撮監督(ダグラス・トランブル)の芸術的手腕、俳優たちの素晴らしい演技、ヴァンゲリスの音楽、アートディレクション(シド・ミード)、衣装デザイン(メビウス)……。この映画は全てアートだ」

──カルトな人気があるのは、どういう部分だとお考えですか?

撮影中のリドリー・スコット監督(左)とハリソン・フォード 撮影中のリドリー・スコット監督(左)とハリソン・フォード

「『ブレードランナー』はフィルム・ノワールとして作られたものだ。未来に生きる男デッカードには、私立探偵フィリップ・マーロウのようなキャラクターを想定した。進むべき道に迷い、任務が高じて窮地に陥る。デッカードはレプリカントと名づけられた人造人間を追跡している。こういうストーリーだ。『バットマン』のようにダークなSFで、笑えるタイプのSFではない。脚本は素晴らしく、キャラクター描写も優れており、これが観客の感情を激しく揺さぶるのだろう」

──新しいバージョンが存在する理由は?

「25年前、ワークプリント版のテスト試写(スニーク・プレビュー)後に聞かれた質問を憶えている。“なぜ、善玉は悪玉にこてんぱんにやられるのか”というもので、それはデッカードのことだった。というのも、デッカードを演じたハリソン・フォードは、まさに『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』でスターとして大ブレイクしていた時だった。

一方、私は『エイリアン』をロンドンで撮影した後で、ハリウッドでは新人監督。初めてのハリウッド映画だったが、弟(トニー・スコット)もとても気に入っていた。ところが、試写の反応は最悪で、ほとんどの観客が首をかしげたわけだ。僕の創り出した世界観に対してね。なぜいつも雨が降っているのか、なぜいつも暗いのか、なぜ悪役に同情的なのか、当時の観客は困惑した。観客はなぜハッピーエンドでないのかと不満だった。私はフィルム・ノワールなのだと主張したのだが、彼らは、エレベーターの前でユニコーンの折り紙を拾うシーンに納得いかなかったようだ。

25年を経て、時代がようやく「ブレードランナー」を受け入れられるようになった 25年を経て、時代がようやく「ブレードランナー」を
受け入れられるようになった

そこで劇場公開するため、“意図したもの”と“そうでないもの”とを混ぜ合わせたハイブリッド版が出来上がった。(状況説明をする)ボイスオーバーも、ハッピーエンディング(デッカードとレイチェルの逃避行)も全くバカげたものだったがね。その結果、映画評論家には酷評されたり、こっぴどくやられたもんだ。このことは、のちにMTVが出現するまで忘れていた。当時のMTVでは『ブレードランナー』のラッシュフィルムかと見間違う創造的な映像があふれていた。映像作家たちは劇場公開版を見ていない世代だろう。ある特定の世代には大受けしていたわけだ。やがてワーナーはこの“進化”を見て、『ディレクターズカット』を進言してきた。15年後、細かい修正がなされた『ファイナル・カット』がこうしてリリースできるようになった」

──劇中に描いたことで、今実際に起こっていることはありますか?

「私が広告を手がけていた頃からニューヨークへよく行っていた。『エイリアン』が41歳、『ブレードランナー』が42歳の時だった。あの頃のニューヨークはかなり汚くて、時には危険なこともあった。香港でもよく撮影した。ゴテゴテした最初の高層ビルの香港銀行ビル(89年建設)が建てられる前の話だよ。まるでガラクタだらけの都会で、汚かった。その2つのコンビネーションが未来のイメージだと感じたんだね。全てが“オーバーロードし(詰め込み過ぎ)ている”だろうと、ね。今のニューヨークは見事な大都会だが、不測の事態(9・11)以後、お金によっていっそうオーバーロードされているね」

──この映画では酸性雨が絶えず降ります。ところが、同じ原作者フィリップ・K・ディックのSF映画「マイノリティ・リポート」にはハイブリッドカーが登場します。エコロジカルな問題についてどうお考えですか?

紆余曲折をへたが、これこそが本当に最終版 紆余曲折をへたが、これこそが本当に最終版

「『ブレードランナー』で、かい? もちろんさ。だからオープニングで空は赤い。工業都市的な光景から入っていったわけだ。僕はニューカッスル(イングランド)のハートリプール出身だ。そこには巨大な製鉄所がある。日本の鉄鋼業はもう斜陽だろ。『ブラック・レイン』では日本の製鉄所を撮影したよ」

──このバージョンには望んでいた全てを盛り込めたのでしょうか?

「実は、25年前の観客が首をかしげたバージョンと大差ない。どちらかというと、ルトガー・ハウアー演じるレプリカントのほうに同情的な(笑)、正真正銘のフィルム・ノワールだ。ストーリーの中で、遺伝子工学の粋とも言えるレプリカントが存在するという、SF映画らしい“独自の真実”がある。この独特の世界観が今の観客なら受け入れられるはずだ。だから、何の後悔もない。これが最終版だ。この形でボックスの中に収まる。永遠にね」

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