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劇場公開日:

解説

「Helpless」の青山真治監督が、バスジャック事件で心に傷を負った人々の再生への旅を描いた人間ドラマ。2000年・第53回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞とエキュメニック賞を受賞した。九州の地方都市でバスジャック事件が発生し、多くの乗客が殺害された。生き残ったのは運転手の沢井と、中学生の直樹と小学生の梢の兄妹だけで、3人は心に深い傷を負う。2年後、家族を置いて消息を絶っていた沢井が町に戻ってくる。時を同じくして周辺で連続殺人事件が発生し、沢井に疑いの目が向けられる。そんな中、兄妹が2人だけで暮らしていることを知った沢井は、彼らの自宅を訪ね一緒に暮らし始める。さらに兄妹の従兄・秋彦も加わり、4人は沢井の運転するバスで旅に出るが……。沢井を役所広司、直樹と梢を実際の兄妹である宮崎将と宮崎あおいが演じた。2022年3月に青山真治監督が他界したことを受け、同年5月に追悼上映としてデジタル・マスター完全版を劇場公開。

2000年製作/217分/日本
配給:東京テアトル
劇場公開日:2022年5月13日

その他の公開日:2001年1月20日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第53回 カンヌ国際映画祭(2000年)

出品

コンペティション部門
出品作品 青山真治
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映画レビュー

5.0またバスに乗って

2024年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

青山真治監督作品。 凄い作品をみました…。 とにかく凄い。物語が、語られ方が、カメラワークが、省略が、、、凄い。 大きな物語が失墜してしまったポストモダンで私たちはどう生きるか。 私たちは沢井がバスの運転をするように、取るに足らない日常を往還して生きている。そんな日常にバスジャックという〈出来事〉が到来しても、バスジャック犯を撃退するようなヒーローにはなれず、トラウマを抱えて「以後」を生きざるを得ない。しかも家族には疎まれ、古き良き共同体の中で生きることもできない。私たちはあまりにも孤独に一人で生きないといけない。 そんな生き方は、バスジャック事件を生き残った兄妹のように、死へと放棄されていく。しかしそれでも生きなければいけない。ではそれはどのようにか。それが沢井と梢、直樹の邂逅と生への営み、バスでの旅によって「発見」されていく。 その「発見」について言うには、全てのショットについて言葉で語らなければならない。だがそれは不可能な営みだ。だから〈私〉が〈私〉自身で本作をみて、〈私〉の仕方で「発見」をしなくてはいけない。とにかくみなければならない。 ひとつ言えるとしたら、「哀悼すること」だろう。絶えず哀悼する旅に出向くこと。けれど日常に帰る道筋はあるのだろうか。そしてどのような日常に帰るのだろうか。 その答えにはたどり着けていない。私の「発見」の旅は往路の途中でしかないのかもしれない。

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まぬままおま

3.5小説を映像で読む

2023年11月24日
iPhoneアプリから投稿

2023 89本目 長いので心を委ねて観る作品。 編集すれば2時間に収まるだろう。 しかしそれでは意味がない。 これは見た人しかわからないだろう。 3時間半を超える作品にほとんど台詞は無く、役者の表情と音だけ。 故に役者は物凄く大変だっただろう。 宮崎あおいさることながら、ナオキ演じる宮崎将さんの目が本当にすごかった。 バスジャックに巻き込まれて生き残った3人を軸に再生物語だが、まあ台詞が少ない分、頭で考える時間が非常に疲れてしまった笑 セピアカラーなので、エモショーナルな印象だが他に目がいかないので役者の演技にどっぷり集中できる。 最後まで見切るも、満足感などは無い。 あの後、幸せになれるのだろうか?? おそらく、沢井さんは遠からず… 彼女を信じるしかない。 と色々と考える作品でした。

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M.T

5.0映像が醸し出し時間に身を委ねる。

2023年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

見ててしんどい映画である。映画の長さもさることなが別所の咳が後半になるほど酷くなり聞いていてしんどいのである。勿論その震度は差は計算済みのものである。音が重要になる。音は目の前に起こった拳銃で人を殺害する情景のシンボルである。「帰ろう」の最後の言葉が救いとなる。帰るところがある。見る者も映像の呪縛から解放される。物語はトリックスターの斉藤陽一郎演ずる秋彦に委ねられる。役所と宮崎あおいの演技は突出してる。

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mark108hello

4.0「北九州サーガ」

2023年3月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

知的

秋彦を演じる斉藤陽一郎が登場しカメラでパシャり、同じような経験を忘れた頃に語り始め『Helpless』で感じた無機質な雰囲気が漂いながら光石研は新たな役で、必要が無くなったみたいに感情を捨てたような兄妹に寄り添い自分を取り戻す旅なのか、奇妙に思える三人の関係性が良い方向へと進んでいるのかすら半信半疑のまま。 善悪の判断がつかない、全てを黙認しながら微かな表情や行動で意思表示をしている宮崎あおい、あの兄妹を見ていると原因となったバスジャックが本当に致命的だったのか、全てを投げ出した役所広司の行動は大人だから、まだ子供である兄が逃げ出す術はあの方法しかなかったのかもしれない。 純粋無垢だからこそ見え隠れする狂気性と変な方向で観てしまう、自分の人生を振り出しに全てをやり直す為には兄妹の側にいる事と、何かしらの責任感では無いように、わかり合うことはないにしろ、強く引かれあっている三人に思える。

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万年 東一