卑弥呼

劇場公開日:

解説

日本古代史の謎〈耶馬台国〉の女王・卑弥呼を捲きこんだ土着民と征服民という二つの勢力の宗教的な争い通して日本人の根源的な美意識を描く。脚本は「札幌オリンピック」の富岡多恵子、監督は脚本も執筆している「化石の森」の篠田正浩、撮影は「薔薇の葬列」の鈴木達夫がそれぞれ担当。

1974年製作/100分/日本
原題または英題:Himiko
劇場公開日:1974年3月9日

ストーリー

このクニは神の祭事もクニの祭事も、ヒミコの聴く日の神の言葉で行われていた。そして、クニの政事は、オオキミを長として、ミマキ、イクメという二人の息子と、ナシメ老人が中心となって行われていた。タケヒコが遠い国から、このクニに帰って来た。ある夜、ヒミコはナシメに、タケヒコを呼ぶように命じた。タケヒコには国ツ神の臣の娘アダヒメが、というナシメの意見を無視するヒミコ。逞しい若者に成長したタケヒコはヒミコにとって異母弟にあたった。タケヒコを抱きしめるヒミコの顔が女の顔に変る。タケヒコは肉親の情から異性への欲情に変化するには少しのためらいがあったが、肉体の若さがそれを打ら消した。ヒミコがタケヒコを恋い慕っているという噂がオオキミの耳に入り、彼はヒミコが聴く神の託宣に疑問を持ち始めた。ヒミコなくしては、このクニの政事はできぬ、と思うナシメは秘かに策をめぐらした。神殿で神を招くために琴をひきならすオオキミ。ヒミコの口からでた神のお告げは、神の言葉を疑ったオオキミの死だった。それを聞いて怒ったオオキミを背後からナシメが刃物で刺し殺した。琴の上に倒れたオオキミを見て、人々は恐れおののいた。やがて、オオキミの埋葬が行われ、ミマキが王となった。クケヒコを追ってこのクニにやって来ていたアダヒメは、彼に恋する想いを打ち明けた。強く抱き合う二人。この二人のことを知ったヒミコは怒り狂い、タケヒコを逮捕して、彼の瓜を剥ぎ、入れ墨をしたうえ、このクニから追放した。タケヒコの後をフダヒメが追った。やがて、ヒミコはミマキとイクメに、タケヒコが国ツ神に守られて再びこのクニに現われる、というお告げを呻くように繰り返した。ヒミコのお告げ通り、国ツ神の兵をひきいて先頭に立つタケヒコとアダヒメか襲って来た。だが、戦いは国ツ神側の敗北に終り、タケヒコは死んだ……。この戦さの後、ナシメとミマキはヒミコ殺害の謀議を行い、数人の国ツ神の男たちにヒミコを襲わせ殺害してしまった。ヒミコの死後、老いさらばえたナシメは、ひとり荒れ果てた台地をさまよっていた……。

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映画レビュー

3.5シャーマン卑弥呼

2023年7月9日
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知的

難しい

中国の『魏志倭人伝』に記されている人物、卑弥呼が邪馬台国を統治していた弥生時代の話。
1974年、篠田正浩監督の作品で、主演は奥さんの岩下志摩。

卑弥呼については謎が多く、架空の存在だという節もあるらしいですが自分がイメージする卑弥呼に岩下志摩はぴったりでした。艶めかしくて謎が多く独断的。冒頭から卑弥呼登場。太陽の光を浴びながら悶えるシーンが何ともエロいです。

映画を見ようと思ったキッカケは、某書物に篠田正浩氏が「魏志倭人伝に記録された卑弥呼の存在がどれほど皇国史観的に馴致された少年に打撃を与えたか測りしれない」と書いていたのを読んだからです。実際、篠田正浩はこの作品の構想に10年掛けているらしいです。

ATG作品で前衛的な土方巽と暗黒舞踏団の独特な雰囲気が漂っておりシュール。時代も弥生時代なので、とっつきにくいかもしれません。エンタメ性はないですね。古墳時代の話だからといって、お子様にはちょっとおすすめできないし。自分は卑弥呼に興味を持って見たので、最後まで飽きずに見ることができました。(天津神、国津神なども事前にちょっと調べていたし^^;) 1970年台の映画の割には、古さを感じませんでした。

草刈正雄は卑弥呼の異母弟なのですが、美しい鬣(たてがみ)を翻したお馬さんみたいでかっこいい!顔だけみると、
ディーン・フジオカでした。弟といえども、銅色の肉体美に魅せられ卑弥呼がタケヒコに恋をしてしまうのもわかります。(魏志倭人伝では、卑弥呼は人前には姿をほとんど見せず、弟がすべて卑弥呼の世話をしていたとか。その弟がタケヒコなのかどうかはわかりませんが、弟の存在にスポットを当てたのかもしれません)

タケヒコと卑弥呼の上からのショット、赤と黒のコントラストがきれいでした。

ナシメ役の三国連太郎はさすがの何気ない存在感。ラスト近くでは、ナシメも卑弥呼を愛していたことがわかりますが、卑弥呼とナシメが絡むところ(ラブシーンではないのですが)、何とも艶めかしくて。

王子役のようでしたが河原崎兄弟がちょっとインパクトなかったです。特に河原崎長一郎は、台詞棒読みなのが気になりました。

二度見すれば、また発見がありそうです。

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mitty